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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第129話

同日、11:45――



~ガレリア要塞・ブリーフィングルーム~



「―――今回の特別実習は今日を入れて残り2日……その間、お前達は実習課題に取り組む必要はない。代わりに『実地見学』と『特別講義』に参加してもらう。」

「実地見学……」

「それは……どういったものでしょうか?」

ナイトハルト少佐の説明を聞いたマキアスは考え込み、初めて聞く言葉がわからなかったアリサは尋ねた。



「―――本日14:00.本要塞に付属する演習場で、第四機甲師団、第五機甲師団による合同軍事演習が行われる。お前達はそれを見学してもらう。」

「軍事演習の見学……!」

「だ、第四機甲師団って……!」

「エリオットのお父さん、『クレイグ中将』率いる師団ね。帝国正規軍の中でも最強の機甲師団と言われてるわ。こちらの少佐殿はその師団のエースになるわね。」

「コホン、私の事はともかく、先程も言ったように『参加』ではなく『見学』だ。その意味では気楽なものだと高を括るかもしれないが……まあ、それは実際にその目で確かめてもらおう。―――それとエヴリーヌは前もって話があったと思うが『実地見学』の後にお前達の力を見せてもらう事になっているが本当にいいんだな?お前とベルフェゴールの相手は”アハツェン”と飛行艇の部隊になるんだぞ?」

サラ教官の説明を咳払いで流したナイトハルト少佐はエヴリーヌを見つめ

「”アハツェン”に加えて飛行艇ですって……!?」

「最新鋭の部隊だね。」

ナイトハルト少佐の話を聞いたアリサは驚き、フィーは真剣な表情で呟いた。

「別に誰が相手でもいいよ。リウイお兄ちゃんからもえ~と、”列車砲”だっけ?その兵器を手に入れて良い気になっているなんとかっていう宰相にメンフィルには絶対に敵わないって思わせるように、存分に”魔神”の力を見せつけてやれって言われてるし。」

「え、えっと、そのなんとかっていう”宰相”はもしかして……」

「エヴリーヌさん……オズボーン宰相の名前を覚えていないなんて、ちょっと問題がありますよ……」

エヴリーヌの答えを聞いて仲間達と共に冷や汗をかいたエマは表情を引き攣らせ、セレーネは疲れた表情で指摘し

「……………―――現在、11:55。食堂に昼食を用意している。まずは腹ごしらえをして午後に備えてもらおうか。」

ナイトハルト少佐は顔に青筋を立てて厳しい表情でエヴリーヌを見つめた後、リィン達を食堂に案内した。



~食堂~



「こ、これは……」

「え、えっと……」

食堂で出された昼食の内容を見たリィンは驚き、セレーネは冷や汗をかいて苦笑し

「……塩辛いコンビーフ……味気ない豆のスープ……」

「この黒パン……固すぎないか……?」

「あ、あはは……もうちょっとハーブを効かせて欲しいかも……」

呆れた様子でそれぞれ文句を言うアリサとマキアスに苦笑したエマは冷や汗をかいて遠回しに目の前の料理に対して苦言した。



「―――正直、あり得んな。」

「リベール軍だと、これとは比べ物にならないくらいのご飯が出たよ。」

ユーシスとエヴリーヌもそれぞれ呆れた表情で言った。



「噂には聞いてましたけど……何というか、噂通りですね。」

リィンは疲れた表情で感想を言い

「ふむ、ゼンダー門の食堂は悪くない味だったはずだが……」

「もう少し何とかしてもバチは当たらぬのでは……?」

ガイウスは目を丸くし、ラウラは呆れた表情で指摘した。



「去年、トワたちと一緒に来た時、振舞われたメニューと同じだな。相変わらずの味で懐かしいぜ。」

「あはは……僕も父さんに連れられてここで食べた時はビックリしたよ。」

一方クロウとエリオットはそれぞれ苦笑しながら食事していた。



「んー、そんなにマズイかなぁ?」

リィン達の感想を聞いていたミリアムは首を傾げ

「なんか昔を思い出すわね~。」

「チーズとリンゴがついてるだけマシだと思う。」

サラ教官やフィーの感想を聞いていたリィン達は冷や汗をかいた。



「軍の食事は基本的に保存が利くものを食材とする。ここで使われているものはどれも備蓄がしやすいものだ。―――いざ戦争が起きた時にも必ず供することができるような。」

「それは……」

「……なるほど。」

「いざという時、士気が下がらぬよう普段から粗食しているわけですか。」

ナイトハルト少佐の説明を聞いたユーシスやガイウス、リィンは仲間達と共に表情を引き締めた。



「まあ、さすがに毎日ではないが。だが――――この食事はメンフィルが現れるまでは大陸最強と謳われ、そして再び”大陸最強”の座を取り戻そうとする帝国正規軍の”在り方”を象徴しているといえる。是非はともかく、兵士の一人一人が『常在戦場』の意識を持つ意味で。」

「じょ、常在戦場……」

「常に戦場に在るつもりで気を引き締めるか……」

ナイトハルト少佐の説明を聞いたマキアスは驚き、ラウラは真剣な表情になった。



「ま、精神論みたいでアレだけど知っておいて損はしないと思うわよ。ちなみに領邦軍の食事メニューは結構イケてるものが多いのよね~。いざ戦争とかになった場合、ちょっと心配になるくらいだけど。」

「フン……」

「ま、食事が美味い軍隊が必ずしも弱いとは限らないけどな。」

サラ教官の話を聞いたユーシスは鼻を鳴らし、クロウは苦笑した。

「というかそれ以前にエヴリーヌ達―――メンフィルに勝つ事なんて不可能だから、不味い食べ物ばかり食べていても無駄なあがきだけどね?キャハッ♪」

「………………」

そしてエヴリーヌの発言を聞いて厳しい表情でエヴリーヌを睨むナイトハルト少佐の様子を見たリィン達は冷や汗をかいた。



「あ、そう言えばお隣のリベールとか軍の食事もオイシーらしいね?」

「リベール軍はわりと精鋭。エレボニアの脅威に晒されて緊張感がある事もそうだけど、何より”剣聖”や”剣聖”の教え子達が優秀だし。」

「そ、それはそれでちょっと複雑だけど……」

ミリアムとフィーの説明を聞いたエリオットは複雑そうな表情をした。



「お兄様、メンフィル軍の食事はどうなのでしょうか?お兄様は訓練兵なのですよね?」

「へっ!?え~と、少なくとも一般大衆向けのレストランくらいと同じくらい美味しかったと思うし、メニューも結構豊富だったな。」

セレーネに尋ねられたリィンは驚いた後考え込みながら答え

「メニューが豊富という事は少なくとも士官学院の食堂のメニューよりは豊富なんでしょうね……」

「さすが広大な領地を持つメンフィルよね……そう言えばプリネ達もランチを食べてる頃だと思うけど、プリネ達は何を食べてるのかしら?」

リィンの答えを聞いたエマと共に苦笑していたアリサはある事に気付いた。



「あの3人ならクロスベル市にあるレストランにでも食事を取っているんじゃないかしら?食事をどこで取るかとは決めていなかったし、”特務支援課”自体の普段の食事は自炊か、外食をしているそうよ。」

「むぅ。わたしもクロスベルでの”特別実習”がよかった。」

「例え自炊でも少なくとも目の前の食事と比べれば数倍はマシな食事だろうな。」

「実習地を選択できるなら、僕もそっちを選択していたぞ……ハア……」

「クロスベルに”特別実習”しに行ったプリネ達が羨ましいわね……」

「ま、まあまあ。」

サラ教官の話を聞いたフィーとユーシスはジト目になり、マキアスは疲れた表情で溜息を吐き、アリサは羨望の表情になり、仲間達の様子を見たエマは苦笑しながら諌めた。



「ま、こういうのはバランスよ、バランス。粗食ばかりだと舌がバカになるからメリハリが大事だとは思うけどねー。」

「……バレスタイン教官。まぜ返さないでもらいたい。」

そしてジト目のサラ教官に見つめられたナイトハルト少佐は呆れた表情で答えた。その後食事を終えたリィン達はサラ教官の前で集合してこれからの予定を聞いていた。



「―――さて、聞いての通り本日14:00から演習場で軍事演習が行われるわ。現在、12:30。1時間ほど自由行動にします。13:30になったらアナウンスが流れるはずだから指示に従って行動すること。」

「了解しました。」

「自由行動ということは……見学なども出来るんですか?」

「ええ、許可された場所なら入っても構わないそうよ。要塞司令室なんかもあるし遠慮なく見学してきなさい。ま、実習の疲れがあるなら部屋で休んでても構わないけど。」

「いえ……せっかくの機会ですし。」

「せいぜい概要だけでも確認させてもらおうか。」

サラ教官の話を聞いたマキアスとユーシスはそれぞれ答えたが

「自由にしていいなら、エヴリーヌは今から寝るね。全然興味ないし。時間が来たら誰か起こして。」

エヴリーヌの発言にその場にいる全員は冷や汗をかいて呆れた。



「エヴリーヌ、あんたね……別にあたしの言った通り、確かに休んでいいけど、普通こんなとこに来てよく昼寝する気になるわね?」

サラ教官は呆れた表情でエヴリーヌを見つめて尋ね

「えっと、エヴリーヌはメンフィル帝国の客将なんだよね?せっかく堂々と要塞内を見学できるのに、メンフィルからは何も言われてないの?」

エリオットは冷や汗をかいて尋ねた。



「別に何も言われてないよ。それに結界も張っていないこんな無防備な要塞、見かけ倒しじゃん。エヴリーヌが本気を出せば1時間くらいで瓦礫の山にできるけど?キャハッ♪」

そして無邪気な笑顔を浮かべて言ったエヴリーヌの物騒な発言にリィン達は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「エ、エヴリーヌさん……少しは時と場所を考えて発言してくださいよ……」

「頼むから、これ以上エレボニア帝国軍の前で物騒な発言を口にするのは止めてくれ……」

セレーネとリィンは疲れた表情で溜息を吐いた。



その後リィン達は時間が来るまで要塞内の見学を始めた。



一方その頃、支援課のビルに戻ったロイド達は昼食を取りながらセルゲイから説明を受けていた。


 
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