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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  龍騎 ~復活の狂戦士~


「北岡法律事務所」
有罪を無罪にする男と言われる弁護士、北岡秀一の自宅兼事務所である。


大きな窓ガラスを背に、デスクに座るスーツ姿の一見すると気さくで社交的な男、北岡秀一が口を開いた。


「で、また戦うっての?」

事務所を訪れた蒔風、城戸、蓮の三人に、北岡は渋い顔をして言った。

「まったく、思い出さなくてもいい顔思い出しちゃってうんざりしてるのに、しかも世界の崩壊?勘弁してよ。ね、ゴローちゃん」

北岡が傍らに立つ、秘書である由良吾郎に話し掛ける。
彼もどうやら関係者として、記憶が戻っているらしい。


北岡秀一
かつて仮面ライダーゾルダとして、不治の病に侵された自分のために永遠の命を望み戦った男である。
ライダーバトルがなかったことになり、その病も残るかと思われたが、どうやらそれすらも無くなってるらしい。


「ま、あいつも刑務所にいないみたいだし、そんなもんでしょ」とは北岡の談。

そして由良吾郎
北岡秀一の秘書兼ボディーガードを勤める。
かつて北岡に裁判で救われたことから、先生と呼び慕い、ライダーバトルでは北岡の私生活のサポートをした。


「ま、たしかにお前には、結果的とは言え病気の件で借りがあるわけだし・・・それに世界が壊れちゃ人生楽しめないしね」

「それはなによりだ」

「ところで・・・そっちが蒔風舜かい?ヒョロッちいねぇ、ホントに戦えんのかい?」


確かに蒔風は少しばかし細身である。
しかも着痩せするタイプで、初対面ではそこまで強くは見えない。


「大丈夫だ。奴の実力は本物だ」

珍しいことに蓮が他人を高めに評価する。
ならば大丈夫だろうと北岡も納得した。


「で?城戸が狙われるんだって?なんでまたこんなやつが・・・・」

「なんだよ・・悪いかよ」

「いや、ある意味適任かもな」

「ま、確かに。厄介ごとを背負い込むって意味ならこれ以上の適任はいないな」

「チェッ、やっぱこんなんかよ・・・お前らやっぱ嫌いだー!」

久しぶりに話すので話題は尽きない。



が、そこにあの耳鳴りに近い音が響く。

そして部屋に立てかけてあったガラスから、モンスターのものと思われる溶解液が吐き出された。


それは椅子に座っていた北岡を狙ってのものであり、すんでのところで北岡はそれを回避した。
溶解液は誰もいない椅子とデスクを瞬時に溶かし、元がなんだったのはもうわからなくさせてしまう。


「先生!大丈夫ですか!?」

「ああ、ゴローちゃん、大丈夫大丈夫」

「城戸、北岡!」

「いちいち言わなくてもわかってるよ」

「よし・・・行くぞ!」


バババッ

『変身!!』


三人が変身し龍騎、ナイト、ゾルダのライダーが揃う。

「ふっ」
「はっ」
「っしゃあ!」

三人がミラーワールドに飛び込み、蒔風もあとに続く。


-------------------------------------------------





モンスターの気配を追い、ミラーワールド内の廃工場にたどり着いた。
そこには人影がユラ~っと立っていて、こちらを見据えていた。


その顔は仮面で覆われ、表情は確認できないが、その視線には確実に殺気が含まれている。
そしてその姿が明らかになると三人は驚愕するしかなくなってしまった。


「「「!!」」」

「?どうしたんだ?あれは・・・ライダーか?」


そう、ライダーだ。
紫を基調としたカラーで、契約モンスターの形状であるコブラを模したライダーがそこにいた。
何人ものライダーを葬った男が、そこにいた。



「王蛇・・・・だと?」

「貴様、まさか・・・」

「浅倉ぁ!!」


「はぁぁぁあ・・・北岡ぁ、てめぇとの決着をつけてやる・・・」


浅倉 威
かつて仮面ライダー王蛇として戦った男。
しかし願いなどなく、ただ戦いを楽しむために戦った、戦闘狂。

その凶暴性は留まることを知らず、放火、殺人、強盗と、その犯罪歴を挙げればきりがない。
家族すらも自ら放った炎で殺している。

しかもその理由が「イライラしていたから」といい、蓮や北岡に「人間じゃない」と言わしめた男。
その罪は北岡すらも無罪に出来なかった。
浅倉はそのことで北岡に逆恨みをしており、それ以来ライダーということもあり、執念深く襲ってきたnodaga




「なぜだ・・・何故浅倉にライダーの力と記憶が戻っている!?」

「はっ、わけのわからん奴がイラつきを消す方法があるとかなんとか言ってな・・・だがそんなことはどうでもいい!北岡と・・・あと戦いをなくしやがった秋山とか言う貴様をぶっ殺す・・・・戦え・・・・戦え!!」


《Sword Vent》


王蛇が杖状の召喚機、ベノバイザーにカードをベントインし、コブラ型の契約モンスター・ベノスネーカーの尾を模した黄金の突撃剣・ベノサーベルを振り回し走ってくる。


「おらぁ!!!」

「クソっ!!」
「チッ!!」


《Sword Vent》

《Shoot Vent》


ナイトがソードベントで剣を、ゾルダがシュートベントでキャノンを取り出し、応戦する。


「くっ!!連!!北岡!!」

「城戸さん!!俺たちも・・・・」





「お前らはこっちだ」

カツン、カツン、カツン・・・・

黒い影が現れた。
そのシルエットは龍騎と全くと言っていいほど同じもの。
しかしそのボディは黒く、龍騎とはまったく違っていた。



「お前は・・・龍騎?」

「いや、違う・・・・その姿・・・・・リュウガか!!!」

「リュウガ?」

「そうだ!!先のライダーバトルで、貴様らと遭遇することのなかったライダー。それをこの俺が世界の記憶を読み出し、このデッキを復活させた!!!」


《Advent》


「奴」が、リュウガがアドベントで黒龍・ドラブラッガーを召喚する。
それをみて対抗しようと、龍騎も同じようにドラグレッダーを呼ぶ。



《Strike Vent》

《Strike Vent》

「こっちも行くぞぁ!!」

「はぁ!!」

「ちぃ、獄炎砲!!!」


そして、戦いは二龍だけには終わらない。
龍騎とリュウガのストライクベントにより業火が繰り出され、蒔風の獄炎砲が龍騎を後押しする。


しかし・・・・


「このオレが!!基本スペックは龍騎を上回ったリュウガに変身し!!放ったこの技!!!その程度で崩されッかァァァ!!!」

「「うぁぁぁぁぁぁッ!!!」」


二人の炎が徐々に押し戻され、ついにリュウガのストライクベントをくらってしまう。
ナイトとゾルダも、ただえさえ浅倉の驚異的な戦闘能力と身体能力で性能が上がっており、さらに「奴」によって底上げされている王蛇に非常に苦戦していた。


「はぁ、はぁ・・・・」

「ふぅ、ふぅ・・・・・・・ッ!!」


《Finel Vent》

ソルダがファイナルベントを発動させる。

エンドオブワールド
契約モンスター・マグナギガの全身から放たれるミサイルやレーザーによって敵を一掃するものだ。
その爆発は、まさに世界の終わりといわれる程で、一面を一気に爆発で巻き込むのである。





それを王蛇に放った。
ゾルダもナイトもこれで終ったと確信した。

確かに終わっていたかもしれない。
王蛇の性能が「奴」によって上げられてなければ。



《Final Vent》


王蛇がファイナルベントを発動。

空中からベノスネーカーの毒液の勢いを乗せて放つ必殺の連続蹴り・ベノクラッシュを放つ。
バタ足のように脚を振るい、その連蹴りで多くのライダーの命を奪った。

そして王蛇は・・・浅倉は信じられないことをした。


なんとこともあろうに、マグナギガの放つミサイルを、その蹴りですべてはじき返したのだ。



「なっ!?ぐあぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!」
「うぐぁぁああぁぁあああああああ!!!!」

二人の体が宙を舞い、数十メートルまで吹き飛ばされる。


マグナギガの放つミサイルは総数は三十近い。
それをすべて蹴り返すほどの性能もパワーも、たとえ王蛇でも持ってなかった。

恐るべきは「奴」による強化か。
本来覆されくことのないものを、覆してしまったのだから。




「蓮!!!北岡!!!」

「今助けに・・・な!?くそ動けな・・・」


二人が王蛇によって吹き飛ばされるのを見て、助けに行こうとするが、その場から動けない。
足元を見るとリュウガの炎が固まり、蒔風と龍騎の足を固めていたのだ。



《Final Vent》


「まずい!!!」

「くそっ!!外れろぉぉぉぉぉ!!!」


リュウガの身体がが宙に浮き、飛び蹴りの体勢をとる。
そして後ろからドラブラッガーが炎を吐き出し、急突進してくる!!!


「おおおお!!!」

バギン!!!

蒔風が力任せにその拘束を解く。
そして「火」で龍騎の拘束も砕く。

だが間に合わない、リュウガはすでにその眼前に迫っており・・・




「うぁァァアアアあああああ!!!」

ドンッッッ!!!

蒔風と龍騎が吹き飛ばされ、爆炎に覆われる。

スタッ、とリュウガが着地。
振り返って、様子をうかがった。


「やったか?・・・・」


煙が晴れる。
しかし思惑とは裏腹に、そこに四人の姿はなかった。

「逃げられたか・・・・」

「おい・・・あいつら逃げたぞ・・・このイライラをどうしてくれる!!!戦ってないと・・・ドンドンイライラしてくんだよ!!」

「次で終わるさ。あいつらも無傷じゃない。むしろかなりの怪我をしただろう。次で・・・・終わらせる」

「すぐに追って・・・そして、祭りを始めようぜ!!今お前と始めてもいいんだぞ・・・」

「待てよ。オレが世界を再構築できれば、ずっと戦いの続く世界にもできる」

「わすれるな・・・・」

「ふふふ、さて。奴らはどこに逃げたのか・・・・ひっひっひっひひ、くくく、かかかかかかかか!!!」


二人のライダーも、廃工場から消える。
狙った獲物を追い続ける・・・・・・


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ピシュン!!!


「グッ」「おぉあ!!」「っぁ」「ぬぅぅ」


四人が鏡から転がって出てきた。
彼らは爆煙に隠れ、身体を引きずるようにして、ここ喫茶店・花鶏に逃げてきたのだ。



「くそっ。王蛇のスペックが前回と違いすぎる!!」

「「奴」によってデッキが復活させられたから、底上げされたんだろう・・・にしてもあのリュウガは反則だろ・・・」

「あんなライダーもいたなんて、知らなかった」

「俺たちの知らないライダーもいたんだろうが、あの黒いのは情報すらなかったぞ・・・」

「それよりどうすんのよ。勝ち目なんてあるの?」

「とりあえず俺は「奴」とぶつからないとなりません」

「王蛇は・・・・」

「俺と北岡、城戸でやる。いけるか?」

「オレに指図しないでちょうだい。ま、浅倉とは決着付けたかったし、乗りかかった船だしね」

「でも、どうやって勝つんだよ!」

「俺はまだ切札を使ってない。勝機はまだある」

「じゃあ、オレが「奴」を相手してるあいだに三人が王蛇を・・・」

「ああ」

「ふ。まぁ、俺一人でもいいくらいだ」

「なに言ってんのよ。オレが決着付けるんだから」

「とりあえず怪我を治さないと」

「ここは浅倉も知らないから、しばらくは大丈夫だ」

「当然「奴」も知らないはずだから、ここで傷をいやしてから・・・だな」

「あ、ゴローちゃんに来るように言わなきゃ」


北岡の事務所は浅倉に知られている。
北岡は吾朗を呼び出すために、携帯を取り出した。

城戸は蓮に包帯を巻き、蓮と蒔風は対策を講じる。


しかしいずれここも「奴」にばれる。


刹那の休息

どこまで回復できるのか・・・・・





to be continued

 
 

 
後書き

アリス
「ついに見つかる蒔風たち、そして戦い。今回のWORLD LINKは?」

ではまた次回





そこに正義などない。あったのは、ただ純粋な願いである 
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