| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  タユタマ ~寝床が!?~



「「おらぁ!」」

ドガ!

すでにお互いが戦い始めて5分。
蒔風と応竜の戦いは、一見すると互角の勝負である。が



「はぁ、はぁ、はぁ」

「ンッン~~♪」

応龍の息は切れており、蒔風には鼻歌を歌うだけの余裕がある。


始まって二、三分はまだこうではなかった。
互いが互いの攻撃を打ち消しあい、見事な攻防をしていたのだ。

しかし蒔風は徐々に攻撃に込める力を上げていっていた。
応龍が気づかないように少しずつ。
しかもニヤニヤしながら。

まさに鬼畜である。


応龍がそれに気付いたのは、更に一分後であった。


「ぎっ!てめぇ、なんのつもりだ!」

「せっかく闘うなら派手に、かっこよくやろうぜ。いつまでその姿のつもりだ?」

「・・・・へっ。いいぜ、後悔すら感じない、絶望を味わいなぁ!」



ドン!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ・・・・・・・・・・
ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!


応龍が飛び上がり、雷が唸り、輝きの中から巨大な龍が現れた。
まさに、その姿は三強の名に恥じることのない巨躯である。


「それが真の姿か!さすがにでっかいねぇ!」

「応龍!やりすぎです!」

「黙れ!綺久羅美!このまま嘗められてたまるかよ!オレは最強の太転依、応龍だぞ!!」

「大丈夫だ。嘗めてなどいない。すごいと思うぞ。それだけの強さを安易に破壊なんかに使わない時点で、お前は十分に強さ手に入れている。だけどな」

「なんだ?言ってみろや!!」

「・・・だけど残念。オレの方がもっとすごい!」

「ぬかせや餓鬼がぁ!」

轟っ


応龍がその体で蒔風を押しつぶさんと突っ込んでくる。
それを見上げながら、蒔風が新たな力を借りる。



「やっぱ、空飛んでて鱗があって、妖怪ならこの人でしょ」
シパン!

蒔風の手の中に変身鬼笛が現れる。
それを吹き、振るい、その身体を風が巻く。

「ぬぐ!?」

突進してきた応龍は、その風に阻まれてしまう。



「変身中の攻撃は無効。基本だぜ?・・・は!」

スパァ!

そして手刀で風を断ち切り、姿を変えた蒔風が現れた。

「仮面ライダー威吹鬼」

「なんだそれは!?」

「気にすんなよ。はっ!(ドンドンドン!)」

「がっ!?・・・あん?なんだぁ!そんな豆鉄砲でオレに勝てるとでも・・・・思ってんのかぁ!」

バババババババババ!


トランペットを模した銃、音撃管・烈風で応龍に向かって引き金を引いていく蒔風。
だが、どうやら弾丸での攻撃は効かないらしい。

当然だ。
そもそも太転依に銃器など効果はないし、応竜の鱗であるならばたとえあっても無意味と化す。


反撃とばかりに、応竜の口から雷が吐き出される。
蒔風は地面を転がりながらも、その電撃をかわしていった。


「うわぁ!くっそ、ぬわ!はっ!(ドンドン!)」

かわしながらも応龍にむかって弾丸を打ちこんでいく蒔風。
彼にさしたるダメージがあるわけではないのだが、それは確実に身体にめり込んで行っていた。


「効かねぇってんだよ!」

「いっ!?あびびビビビビビビビビビ!」

「命中!どぉだぁ!もう終わりか!」

命中してしまった電撃。
それから解放され、立ち上がって蒔風が息を吐く。


「なんちゅう電力だよまったく・・・だがこっちだって、無駄にパカパカ撃ってたわけじゃぁない!」

「あぁ?」


「(カチリ)音撃射・疾風一閃!」

「は?・・・・・クッ!?ごぁ!あ!?」

プー!!というトランペットの音が、烈風の先端から流れ出る。
だがこれはただの演奏ではない。音撃だ。

その音撃は応龍に撃ち込まれた弾丸―――鬼石に共鳴し、内部から音撃を流し込み、応龍の体を叩いていく。
そして最終的に鬼石が爆発、止めのダメージを与え、戦いを終わらせた。


ユラリと、応竜の巨大な身体が大地に倒れ伏し、そして人の姿に戻っていっていた。


「ヨリトモ!」

「ちょっと待て。なんでここぞで叫ぶ名前がそっちなんだよ!」

「ツッコム余裕があるのかい。流石だな」


蒔風は感心しているが、実際応龍の体力は限界である。
立ち上がるのにも20秒程かかった。


「もう終わりです。お腹減ったしご飯食べよーぜ」

「ここで折れたら、三強が泣くだろうが・・・」

「だけど~~~」

「(カッ)ぃ今だ!」

「んあ?うをあ!」



バババババババババババババババッ!

応龍が蒔風の懐に入り込み、掴みかかった腕から確実に意識を奪える程の電流を流し込む。



しかし・・・



「優しいな、あんた」

「な!?」

「ここで本気の、殺せる程の攻撃でなくオレの意識を奪う程度の電流にしてくれている。だけどな・・・」

「チイッ!」

「オレにゃ雷旺あるし、そもそも殺すくらいの電流じゃないと気絶しないぜ?」

「・・・・えぇ~~」

ここまで来ると、応竜も呆れる。
もうやだなにこいつ?みたいな顔をして、俺がアホだったんだな、と変な納得をしてしまう。


「バカ野郎!!」

「な、なんだぁ!?」

と、それにたいして蒔風が吼える。
ビックリする応竜だが、もうこの男が何を言っても驚かないと思う。

「アホって言うのは・・・俺のことを、言うんだよーーーー!!!」

バーン、と効果音が突きそうなポーズをして、指差してそう叫ぶ蒔風。
そんな蒔風を置いて、一同は室内に入っていく。


「あれスルー?みなさん、俺の扱いに慣れすぎてません!?」


-------------------------------------------------------


戦いのあと、時間もおそかったので皆で御飯を食べた。
その後、応龍は蒔風に太転依ナメるなよ、次は勝つ、とあーだこーだ言いながらアメリに引きずられて帰っていき、美冬も鵺と共に帰っていった。
ゆみなは心配そうだったが、寮に帰らなければならないので、鳳凰に見張りをまかせ、美冬について帰った。

そして蒔風に自分の寝床に関する情報が流れてきた。
裕理とましろも散歩と太転依の見回りをかねて一緒に向かったが、そこは神社の裏の山で・・・・・・


「なんでだ・・・・」

「これは・・・・」

「サバイバルだな・・・」




そこにはテント一式と、GOOD LUCK!と書かれた看板が立っていた。




「ウソダドンドコドーン!!!」

「ま、蒔風?・・・」

「なんと言っているのですか?」

「あ、ああすまない。取り乱した。いや、なんか叫ばずには・・・ま、大丈夫でしょう!」

「空元気だよな?」

「・・・はい」

「蒔風さえよければ、家で寝る?」

「そうですね!裕理さんを護るなら近い方が言いでしょうし!」

「ありがとうございます・・・・・」


そうして三人は家に戻り、裕理の父親に適当に説明し、蒔風は泊まらせてもらった。




to be continued


 
 

 
後書き
・仮面ライダー威吹鬼
音撃管・烈風を操る若き鬼。

音撃管による銃撃は直接の攻撃ではなく、あくまでも音撃のための布石。
その後、ベルトに装着されている先端部分を取り付け、音撃射を放つことで共鳴、敵を攻撃するのだ。


・ウソダドンドコドーン
ある世界で叫ばれた、信じたくない現実を打ち付けられた悲痛な叫び。
それは本来の発音を捻じ曲げ、謎の雄叫びにしてしまうほどの絶望だった・・・とか。

一説にはその男、オンドゥル星という星の王子だと言う話もあるが定かではない。



・あれスルー?
やっぱり蒔風も「理」を外れた破綻者。
おかしくなることがあります。





アリス
「泉戸家で目覚めた蒔風。この世界でついに「奴」が動き出すその手段とは?放て!WORLD LINK!!」

ではまた次回









繋いだ手が離れずに祈る気持ちは いつか誰かに伝わって
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧