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Blue Rose

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第七話 姉としての責任その十一

「絶対に信用出来るわ」
「そうだよね、龍馬は」
「龍馬君もよ」
 実際にというのだ。
「優花の味方よ」
「何があっても」
「あの子は見放したり裏切ったりしないわ」
「そうしたことをする人はいても」
「あの子は違うわ」
 龍馬を知っている、それが故の言葉だ。
「このことは優花もわかってるわね」
「うん、そのつもりだよ」
「だから安心して、優花には私がいて」
「龍馬もいるね」
「二人がいるから」
 だからというのである。
「何があっても一人じゃないから」
「姉さんと龍馬がいるから」
「何があっても傍にいるから、そしてね」
「そして?」
「私達には手もあれば足もあるし」 
 優花のその澄んだ少女の様な目を見つつ言った。
「言葉もね」
「あるんだね」
「何でもね、だから安心してね」
「一人だとね」
 若し自分がそうだったらとだ、優花もだった。
 考える顔になりだ、こう言った。
「やっぱりね」
「辛いわよね」
「そうだよね」
「人間は弱いものよ」
 これも優子の持論である。
「一人では何も出来ないわ」
「そうだよね」
「けれどね」
「一人じゃなかったら」
「二人、そして三人だと余計によ」
 頼りになる者が多ければそれだけというのだ。
「有り難いものよ」
「そうだよね、一人はね」
「どうしても出来ることが限られて」
 そして、というのだ。
「悩みもね」
「それがあっても」
「誰にも相談出来ない状況だと」
「解決出来る悩みでも」
「出来ないし」
 優子は優花にさらに話した。
「袋小路に入ってしまうわ」
「だから一人よりもだよね」
「二人、そして三人ならね」
「いいんだね」
「そうよ、一人でどうにかしなければならない時もあるけれど」
 それでもというのだ。
「二人、三人ならね」
「そうした状況なら」
「それでいくべきなのよ」
「一人にならないで」
「そう、二人や三人でいられたら」
 確かに一人でどうにかしなければならない状況になる場合もある、しかしそうでない状況ならばというのだ。
「それに越したことはないのよ」
「一人でしないといけない時もあるんだね」
「ええ、けれどね」
「二人、三人でいられたら」
「それで乗り越えられるものなの」
「成程、そうなんだね」
 優花は優子のその言葉に頷いた。
「じゃあ姉さんも龍馬も」
「ええ、私達がいるから」
「それでなんだね」
「頼ってね、私も絶対に逃げないわ」
 優子は確かな声でだ、弟に約束した。
「安心してね」
「逃げないって」
「決めたから」
 何を決めたかもだ、優子は言わなかった。 
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