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美食

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4部分:第四章


第四章

「いいねえ」
「いいのかい」
「ああ、とてもよかったですよ」
 満足した顔での言葉であった。
「おかげで今日もかなり調子がいいですよ」
「そういったのを食べてもかい」
「いや、それがね」
 緒方のその言葉をここで彼に話すのである。
「あれなんですよ。健康にもいいものばかりを出してくれるから」
「だからいいのかい」
「そうですよ、実に健康ですよ」
 こう話すのである。
「今度は内臓を食べるつもりなんです」
「内臓を?」
「はい、フルーツバッドの内臓を」
 それを食べるというのである。
「他にも猿やムササビのものもありますけれどそれも食べますよ」
「猿にムササビ!?」
 友人はそういった動物の名前を聞いてすぐに眉を顰めさせた。
「そんな動物のメニューもあるのかい」
「見たら他には烏もありますね」
 それもあるのだという。
「ヤモリや蛙もあるし」
「何かあれだね」
 そういった食材を聞いて友人はこんなことも言った。
「魔女の釜の中みたいだね」
「ははは、そうですね」
 魔女と聞いて笑って返した彼であった。
「魔女みたいですよね、野菜や果物系統もそうですしね」
「ドリアンもあるのかい」
「これがまた美味しいんですよ」
 そのドリアンのジュースについてもコメントする利樹だった。
「流石に果物の王様って言われるだけはありますよ」
「というかあれの話はよく聞くよ」
 友人にしろドリアンは知っていた。それもかなりである。
「果物の悪魔っていって。匂いが相当凄いんだってね」
「その匂いがまたいいんですよ」
 しかし利樹は明るい笑顔のまま話す。
「食欲をそそられて」
「そうなんだ」
「はい。それで次回は」
 完全に期待する声での言葉だった。
「内臓フェスティバルですよ」
「確かにレバーとかは身体にいいけれどね」
「全部火を通してありますよ」
 このことも話す利樹だった。
「さもないと怖いからって」
「ああ、虫だね」
 何故怖いのかはすぐに察しのつくことであった。
「それがいるからね」
「だから絶対に火を通すんですよ」
 こう話を続ける。
「美食倶楽部は医食同源ですからね」
「美味しいだけじゃなくて身体にもよくか」
「それが真の美食っていいますからね」
 だからだというのである。
「さて、じゃあ次も行きますけれど」
「うん」
「どうです?一緒に」
 友人である彼も誘うのだった。
「一緒に。その美食倶楽部に」
「いや、僕はいいよ」
 しかし彼はそれは断るのだった。
「それはね」
「いいのですか」
「確かに興味深いよ」
 彼もそれは認める。
 
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