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機動戦士ガンダム0091宇宙の念

作者:むらたく
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宇宙編
月決戦編
  第32話 宿命

「なんだ…光?」
機体を進め、大分深い宙域まで来た。
ギラ・ドーガも後援してくれているが、張り詰めた雰囲気は依然消えない。
「見えたか?メアリー」
「ええ、恐らくMSのスラスター光だと」
落ち着いた口調の言葉を受け止めつつ、後方に目をやる。
ギラ・ドーガが4機…

確認の思念に囚われていたその時、ピンクの閃光が宇宙に疾る。
「やはり、敵か‼︎」
迂闊だった。
もし今のが直撃していたら…
焦燥の思いに駆られる前に、なんとか感覚を持ち直す。
命令するより早く、デブリに身を隠したハイザック。
「メアリー、どうだ?レーダーに反応は?」
メアリーの専用ハイザックCは、狙撃特化のため偵察能力も高い。
「います、熱源反応2。速いですね、既存の量産タイプではないと思われます」
「まさか…ガンダムか…?メアリーはここで狙撃援護。ギラ・ドーガ2機を護衛に付ける。残り2機は奴らを迎え撃つ!」
「了解」
こみ上げる想いを噛み締めながら、フーバーは操縦桿を握りしめた。

「外したか、詰めるぞフラン‼︎」
加速する2機を包む真空が裂け、月明かりに照らされた機体が眩く輝く。
「敵は6機‼︎どうする⁉︎」
「突っ込むしかない!正面突破だ‼︎」
こういう時、ルシオンは大胆だ。とフランは思った。
「撃ってきたゾォ‼︎」
ビームマシンガンの弾幕をすり抜け、滑るように飛ぶデルタガンダム。
「新型か!」
すれ違いざまに腕を撃ち抜き、怯んだ所にヘッジホッグが高圧縮の粒子砲を吐き出した。
「敵は⁉︎」
背後からの射撃を寸前躱し、反撃の二射を放つ。
「勘のいい…やはりガンダム‼︎」
ニ閃を避けたバウがヘッジホッグに取り付き、接触回線を開く。
「フランクリン・フーバーだ。ご無沙汰だな、レイア・スタフィ‼︎」
ライフルを構えた右腕を押さえつけ、逆にライフルを構える。
「この声…あの時の…そうか。レイアは母の名だ。懐中時計は返して貰う‼︎」
弾き飛ばしたヘッジホッグが距離をとる。
「フラン‼︎」
「おう‼︎」
誘爆の危険があるため、腕部を狙ってライフルを構える。
黄色のビームを放った瞬間、目前を横切った薄桃色の光が交わる。
「こ、これは⁉︎」
隙を見て腕部からグレネードランチャーを放つバウ。
「メアリー、ナイスだ!」
放たれたグレネードは白煙を引きながらヘッジホッグのシールドに直撃し、粉々に爆散させた。
「くっ‼︎」
「うぉぉぉ‼︎」
デルタガンダムの脚部フレームが展開し、内蔵されたバーニアが姿を現す。
「くらってろ‼︎」
高出力モードで放たれた長い細線が、ギラ・ドーガのコックピットを焼き切る。
「くっ!よくも‼︎」
すかさず、バウが応戦する。
「ルシオン、お前は先行け‼︎後から追う!」
ルシオンはフランの目的を瞬時に理解し、口を開いた。
「死ぬなよ、相棒」
二手に分かれた二機、ヘッジホッグがギラ・ドーガ隊の方、つまり味方の包囲網の中に突っ込んでいったのを見て、迷わずフーバーは金色の機体を追った。
「あの、機動力!なんて機体だ‼︎」
「やっぱりな、相手してやるよ隊長機さんよぉ‼︎」
高機動形態に変形したデルタガンダムを追い、バウも脚部グレネードを余すことなく掃射する。
「くぅ‼︎」
爆風で機体を揺さぶられながらも先程の宙域から距離を開けていくフラン。
「逃がさん、仕留める…マルロの仇‼︎」

「来ます、曹長‼︎」
3機のギラ・ドーガに乗ってるのは私よりもさらに新米のパイロットたち…
「私が狙撃する、時間を稼いで」
エネルギーチャージと、ガンダムを捕捉できる時間があれば、撃墜はできなくとも、大破は狙える。
「了解‼︎」
3機が同時に駆け出す。
「行かせないぜ⁉︎」
「新型が…死ねないんだよ!まだ!」
シールドが無くなり、寧ろ身軽になった機体は、跳ねる様に光弾の嵐を抜ける。
「邪魔だ‼︎」
ライフルの下部から形成されたサーベルで、一機が両断され、流れていく。
「まだなの⁉︎早く‼︎」
「おらぁぁぁ‼︎」
ギラ・ドーガのビームホークが機体を掠め、バルカンを撃ち込む。
「つぅ‼︎」
シールドでなんとか防ぎながら、ショルダータックルで懐に飛び込むギラ・ドーガ。
「もらった‼︎」
コックピットに銃口を押し当て、いまその引き金を引こうとした瞬間。
「うらぁ‼︎」
ヘッジホッグの膝蹴りがマシンガンを弾き、コックピットをサーベルで貫く。
「まだですか⁉︎曹長‼︎」
「先を急ぐ‼︎」
残った一機に急襲をかけるルシオン。
今だっ‼︎‼︎
ハイザックのロングライフルから放たれた光軸はデブリを焼き、ヘッジホッグへと迫る。
「‼︎」
戦いは激しさを増し、生命を削り合う争いを続ける。 
 

 
後書き
次回でまたアイラとナナの話に戻ります!
次回に続きます! 
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