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発進!!最凶マスコットせん○くん

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9部分:第九章


第九章

「そこに至るまでに出会った暴走族だのヤクザ者だのは皆殺しにしながらのう」
「やれやれですね」
 小田切君はもう何度目かさえわからなくなった溜息をつくのであった。
「どうなるのやら」
 マスコット達の進撃は続いていく。博士の言葉通り暴走族やチーマーや暴力団員は次々と抹殺されていく。日本に殺戮の嵐が吹き荒れていた。
「ナラッ、ナラッ」
「ひ、ひいいいいいいいいっ!」
「助けてくれーーーーーーーーっ!!」
 断末魔の悲鳴も木霊する。首を切断され抱き潰され頭を喰われ機関銃で撃たれた屍が転がる。氷漬けになった骸もあれば焼け焦げた遺体もある。実に様々な方法で殺されていっている。
「今の時点でどれだけ死んだ?」
「さあ」
 ライゾウにもタロにもマスコット達がどれだけのそういった人種を殺戮したのかわからなくなっていた。とりあえず多くいるのはわかる。
「もうわからないよな」
「というか今も殺してるし」
 丁度今進撃先にあった暴力団事務所に火炎攻撃を行っている最中であった。
「ナラッ」
「ナラッ」
「ぐええええええええええっ!!」
「消火だ!消火を頼む!」
 事務所の中で暴力団員達がステーキか蒸し焼きになっていた。何とか窓や出入り口から逃げ出した者はその場で機銃掃射を受け薙ぎ倒されていく。
 今回も恐ろしい殺戮であった。そして暴力団員達が皆殺しにされるとマスコット達は事務所を口から放ったロケット弾で吹き飛ばし更地にしてしまった。
 そのうえで再び進撃をはじめる。何時の間にか古都まで間も無くの距離まで迫っていた。
「あれ、もうですか」
「二十四時間行動できるからじゃ」
 博士はその進撃の理由の速さについても述べた・
「だからじゃよ」
「それで速いんですか」
「うむ。エネルギーは常温核融合を使っておる」
 博士はもうこの超エネルギーを実用化させているのである。
「じゃから無限に動けるしのう」
「それで弾薬とかは」
「大気中の成分を吸収して体内で増加させて製造しておる」
 そうやって造っているのだという。
「そうやってのう」
「本当に物凄い発明ですね」
 補給が不要というだけでも物凄いものであると言える。
「そこまでですか」
「それが二千じゃよ」
 考えてみれば実にとんでもないことである。
「さて、止める勢力はあるかのう」
「ああ、自衛隊も警察も出て来ませんね」
 このことにも気付いた小田切君であった。
「古都の辺りにも確か自衛隊の施設があったと思うんですけれど」
「航空自衛隊じゃな」
 博士はすぐに小田切君に述べてみせた。
「あそこの幹部候補生学校じゃな」
「ああ、あれでしたか」
 言われて思い出したような顔になる小田切君であった。そこには確かに航空自衛隊の幹部候補生学校が存在しているのである。
「あそこがあるんですか」
「他の国で言う士官学校じゃな」
 士官学校と呼ばれないのが日本の複雑なところである。
「それじゃな」
「そうですね。航空自衛隊ですか」
「それも出て来んのう」
 航空機一機空に出て来ることはなかった。
「陸も海も出て来んしのう」
「どうしてですかね」
「恐れを為したわけではあるまい」
 博士はその可能性は自分の頭の中ですぐに否定してしまった。有り得ないというわけである。
「それはのう」
「ないですか」
「それじゃったら過去何度もわしの前に出て来てはおらん」
 こう言う博士であった。
「何度ものう」
「じゃあ今回出て来ないのは」
「左様、そこじゃ」
 まさにそのことを指摘する博士であった。
 
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