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叛逆天使の英雄物語(サーガ・イストリア)

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光を齎(もたら)す者

「んん……」
 部屋の中に鳴り響く、デジタルの目覚まし時計の騒がしい音で目を開ける。
 頭上にあるカーテンの隙間から少年の顔を覗くかのように眩しい日の光が差し込む。
 反射的に目が細くなり、腕で影を作った。だが、これらのお陰で脳も目覚めた。
「ふわあ~……」 
 体を起こしたあと、あくびをしながら両腕を天井に向けて伸ばし、簡単なストレッチをする。
 ベッドを降りて、身支度や朝食作り、登校の支度をした。
 携帯から着信音が流れる。『カズヒコ』と言う名の人物から電話がかかってきた。
「もしもし、カズヒコ?」
 少年は電話を取り、着信に応答した。
《あっ、ミチルか? 良かった……》
「どうしたんだ?」
 カズヒコが一瞬慌てていたようだが、ミチルと呼ばれる少年が電話に出たことに一安心する。
 何か起こったのだろうかと不安に思い、カズヒコに状況を尋ねる。
《この前の数学の宿題、会っただろ?》
「ああ。あったな」
 ミチルはふと思い返す。
(確かにあったな……)
 このシチュエーションで掛けてくる、ということはカズヒコが次に取るべき行動はこれしかないと悟った。
《それを見せてくれ! 頼む!》
(やっぱり……)
 ミチルとカズヒコは親友の仲で互いに相手のことは熟知している。ミチルが苦手なもの以外は。
 どうやらカズヒコは勉強は苦手らしい。
「お前、まだやってなかったのかよ……」
 カズヒコのお願いは、数学の宿題の模写…要は書き写しだ。ミチルは正直呆れていた。
《後でお前の好きなジュース奢るからさ!》
「…わかったよ」
 1回溜息を吐き、親友からの頼みとなれば仕方ないと思い、カズヒコに助け舟を出した。
《やったー! さすが俺の大親友! じゃ、学校で会おうな!》
 テンションが上がっているカズヒコは、電話を切った。
「やれやれ……」
 ミチルは呟きながら、携帯をポケットに入れた。
 登校用カバンを持って、トーストを口に(くわ)えながら、玄関に向かった。足を靴に入れ、つま先を地面に何回も叩いたり、指を使ったりしながら履いた。
 扉を開け、銜えてるトーストをパクパクと食べながら歩いた。
 食べ終えた後、時間を気になり出したので携帯を見る。画面に『7:17』と大きく表示されていた。
「やべっ! 早くしないと、モノレールに間に合わない!」
 ミチルは走ってモノレールステーションに向かった。学校が自宅から遠いものだから、モノレールに乗って行くのだ。
 数分後、なんとか時間内に駅に辿り着いた。自動改札機に切符を入れてから通過し、再び切符を取り出す。
 階段を上り、プラットホームにちょうど乗らなければならないモノレールもあった。時間は7時29分。そのモノレールに乗った直後、車掌がアナウンスをし、扉を閉めて発進した。
 今日の乗員客は意外と多く、席がほとんど埋め尽くされていたが、通っている学校はここから4つ目のステーションの高宮沢ステーションに近く、距離もそこまで長くはないので時間はかからない。ミチルは背中を壁に貼り付け、(くつろ)ぎながら耳にイヤホンをして、音楽を聴いて奥の窓を眺めた。
 出発して3分後、1つ目の駅に着いた。そこへ更に乗る人が増えていく。
 2つか3つの曲をフルで流しただけで、既に3つ目のステーションを過ぎてしまった。
(あともうちょっとで着くな…。そろそろ降りる準備をしよ…うっ!)
 下から一瞬だけ何か光沢のある物に日の光が反射して、紅い光が僕の目に照射した。反射的作用で目が細くなり、下を見た。
 ミチルは自分の足元に何か紅く光る物が落ちていた。しゃがみ込んで、指で摘み取る。
「ペンダント?」
 アクセサリーの一種であるひし形のペンダントだ。鋼板が光と闇のように2色の合わさったように光っている。
「すみません」
「はい?」
 後ろから尋ねる声にミチルは振り返った。
 尋ねてきたのは、清潔で規則正しい感じの、長い髪をした見知らぬ女子高生の少女だった。
「うわっ!」
 ミチルはその女子高生の綺麗さに驚いたのかバランスを崩し、尻餅を着く。
「いてて……」
「大丈夫!?」
「ア…ハイ…ダイジョー…ブ…デス……」
 喋るロボットのようにカタコトに言うミチルは自分を心配してくれた少女を見ようとはしない。
 不幸にも女子に遭ってしまった…。なんて最悪だ…。どんよりするミチル。どうやら女子に対して苦手意識があるようだ。
「立てる?」
 その少女はミチルに手を差し伸ばし、手助けをする。
(うっ……)
 ミチルは見知らぬ少女からの手助けはなるべく使いたくないと意地を張って立ち上がることを試みた。
「…1人で立て…うわっ!」
 モノレールが移動しているからか、足腰に力が入らずうまく立ち上がれない。天井付近にある荷物置き場を支えるポールとか何かをつかまろうとしたが、位置的にも遠かった。ミチルはため息を吐く。不本意だが、ここは彼女に手を差し出すしかないと悟った。やむを得ず見知らぬ少女に手を差し出し、助け舟を出した。
「すみません……」
 少女は差し出したミチルの手をしっかりと握って引く。おかげでミチルはなんとか立ち上がることができた。
「あ、ありがとうございます……」
「ごめんなさい。びっくりさせたわね」
(本当にびっくりした…。まさかコレの持ち主が女の子だったとは…。今日は運が無いな……)
「大丈夫です。あ、そうそう。このペンダント、あなたのですか?」
 ミチルが手にしたペンダントを掌に乗せてその少女に見せた。
「君が持ってたの?」
「偶然にも、自分の足元に落ちてたんです。お返しします」
 拳を上にして、落とすように渡した。
「ありがとう。これは私にとって大切な物なのです。これが無いと、何も守れないから……」
「えっ…?」
 ミチルは見知らぬ少女が言った後方の言葉に違和感と疑問を感じ、首を傾げた。
「あっ、いえ。なんでもありません」
《間もなく、高宮沢。高宮沢です》
 アナウンスが流れた。ミチルが降りる予定のステーションに間もなく到着するらしい。ミチルはその少女と別れ、降りる準備をした。
「じゃ、じゃあ、僕はこれで……」
 モノレールは高宮沢に到着した。自動開閉ドアが開いたと同時にモノレールを降り、階段を素早く下りた。
(さ、触ってしまった…。でも…見たところ女子高生っぽいかったけど、なんだろう…。なんかオーラが違うような……)
「…って、なんで意識してんだよ……」
 偶然に出くわした少女に気になってしまったミチル。
(早く忘れて学校へ行こう)
 しばらく歩道を歩く。学校が見え始めた頃、ミチルと同じ制服を着た生徒の数が増えていく。だが、女子が1人もいない。ということは、男子校に通っているということになる。女嫌いの彼にとっては、願ったり叶ったりの場所だ。
「おう、ミチル。おっはよう!」
 登校中に彼の後ろから陽気に挨拶する声がする。今朝ミチルに掛けてきたカズヒコだ。
 勢いよくミチルの左肩にカズヒコの右腕が当たり、右手が垂れ下がっている。
「いてっ! カズヒコ。おはよう」
「教室に着いたら、約束通り、宿題見せてくれよ」
「わかってるよ」
 2人は教室に入り、ミチルはカズヒコにやった数学の宿題である2枚のプリントを出した。
「ほら」
「いやー、ミチル様にはいつも感謝しております」
 カズヒコは待ってたかのようにすでに筆箱からシャーペンを取り出し、すぐに書き写しを始めた。
「ったく。電話で言った通り、ちゃんとジュース奢れよ」
「はいはい、分かっておりますとも」
 朝礼が始まるまで、15分くらい時間が残っている。それまでにミチルはイヤホンをしながら、携帯でテレビを見た。
『今日は高気圧に覆われて、晴れやかな天気になるでしょう』
 天気キャスターの女子アナウンサーが満面の笑みで天気情報を伝えている。
「今週は晴れの日が続くな」
 13日の月曜日である今日から1週間は、晴れマークだった。
 学校のチャイムが鳴った。ミチルは慌てて時間を見ると、朝礼が始まる5分前になっていた。
 焦りながらも時間を忘れるほど夢中になってた携帯の電源を落としてポケットに隠した。
「うーっし。朝礼をやるぞ」
 その後、体育担当の先生なのか岩肌のようなごつい体格をしたこのクラスの担当の先生がチャイムと同時にふらりと教室に現れる。
「起立! おはようございます!」
 このクラスの委員長がこの教室の担当の先生に向けて元気よく挨拶をする。
「「「おはようございます!」」」
 後からほかのクラスメイトも元気よく挨拶をする。
「うむ、おはよう。着席!」
 担当の先生が出席簿を取り出し、出席確認をする。こうしてミチルの1日が始まった。

                                

 太平洋の海を覆う雲の上から不可思議な磁場が発生。プラズマとなって発し続けながら徐々に大きくなり、ついには禍々しいワープホールが形成される。
 その中から巨大な翼で羽ばたかしながら宙を浮いている1頭の巨大な龍が現れた。その龍の鱗は赤く、鋭利な黄色い眼球は雲の隙間から日本列島を睨み付け、高鳴りの咆哮をあげる。
 とある秘密基地のブリッジと思われる場所にある龍の接近に父島の広域レーダーが察知し、担当である女性の監視士がその場にいるクルーたちに報告を告げる。
「広域パルスレーダーに反応! 【魔界の門】の開口が確認されました!」
「場所は?」
「北緯45度、東経138度。神奈川から南南東に500キロ離れています!」
「…防衛省に繋いでくれ」
「わかりました」
 女性のクルーが受託し、素早いタイピングを打ち、目の前の巨大モニターに投影した。
 そのモニターに白髪をした老人の男が現れた。
「私です。ヤツが来ました」
『ディラン支部長か。来たのか?』
「ええ。レーダーに反応が確認されています。ヤツに間違いありません。ゲンマです」
「了解だ。すぐに3大自衛隊と連絡しよう。ディラン支部長」
「…わかりました」
 話を終えた後、ディランと言う男は、全クルーに指示を出した。
「全クルー、準備に備えよ!」
「「「了解!」」」
 クルー全員が敬礼した後、持ち場に戻りブリッジの外にいるクルーに指示を出し、準備に取り掛かる。
「さて……」
 ディランは席を離れ、奥の扉に向かう。扉が開いた先には、演習場らしき広い空間があった。周りには壁に多くの傷痕が残っている。
「はあ…はあ……」
 真ん中に髪の長い少女と思われる人物が息を切らして今にも倒れそうな状態になっていた。
「出番だよ」
 ひと声かけると、傷だらけになった長い髪の少女は振り向いた。
 ミチルの学校では4時間目が終わり、昼休みに入った。ミチルはカズヒコと一緒に食堂で昼飯を食べていた。
「う~ん! このラーメン、マジでうめぇ!」
「行儀悪いぞ、カズヒコ」
 大好物である醤油ラーメンをほおばりながら、子供のようにはしゃぐカズヒコ。ミチルは、まるで自分がこいつの母親になった気分だと悟った。
「ん、どうした?」
「あ…いや、なんでもない……」
 心配をしてくれたカズヒコの声掛けで我に返ったミチル。
 突如テレビチャンネルが放送していたバラエティから臨時ニュースに変わった。
(何があったのだろうか?)
『番組の途中ですが、臨時ニュースをお知らせします。太平洋上空に突如出現した謎の巨大生物が確認されたとの報告が来ました』
「謎の巨大生物?」
 気になる言葉を繰り返して口にする。その他の生徒たちにも動揺の空気に飲まれていく。
『謎の巨大生物は、神奈川県から南に500キロメートル離れており、未だに危険はありませんが、今、防衛省の高木川元三郎省長が会見を開いている模様です。中継を切り替えます』
 映像が切り替わった。『高木川元三郎』と書かれた立札がいかにも偉いような容姿に迫力のある面構えをした老人が多くのメディアからカメラのシャッターの発光を浴びながら、生中継しているカメラに向けて説明する。
『現在、定かではありませんが、日本に侵攻する可能性はあると思ってください。自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、そして日本支部国際特殊生物迎撃機関が警戒態勢のため相模湾の砂浜において展開しているところです。万が一のため、神奈川県を中心に関東地方の民間人は直ちに避難を開始してください』
「えっ、マジで! 怪獣が出るのかよ!」
「おいおい……」
 不謹慎なことを言ったのは、カズヒコだけでない。他の人も興味津々な生徒たちが山ほどいる。
 そこに廊下の方からドタバタと誰かが走っている音がする。食堂に顔を出してきたのは、先生だ。
「はあ…はあ…。みんな、午後の授業は中止だ! 直ちに家に帰って、家族と一緒に避難場所に避難しなさい!」
 先生が息を切らしながら、食堂や廊下にいる生徒たちに伝達をした。そのことに幸運と思わない人間はいないだろう。すぐに自分の教室に向かう者もい始めた。ミチルもカズヒコも教室に戻り、下校の準備をした後、先生に挨拶をして下校した。
「なあ、ミチル」
 下校中、人が少なくなった道を歩いていると、カズヒコが小声で尋ねてきた。ミチルは「なんだ?」と尋ね返した。
「行ってみようぜ」
「どこへ?」
「怪獣が現れるところさ」
「はっ!? 何を考えてんだ!?」
 下手に外に出れば、怪獣に見つかって食い殺されるに違いないと悟ったミチル。どうして外に出ようだなんて言い出したのか、カズヒコの意図が全くわからない。
「しっ! 今から俺はそっちに向かう。お前も一緒に来るか?」
「そんなこと言っている場合か! 一緒に避難場所に行くぞ!」
「そうかよ! だったら1人で行く!」
(自分がしようとすることを最後までやり遂げる頑固さが彼の長所でもあり、短所でもあることを誰よりも知っている)
 親友である彼を見殺しにするわけにはいかないと思ったミチルは、カズヒコと一緒に行動することにした。
「はぁ、わかったよ……」
「やった! さすがは俺の大親友!」
 決め台詞のように言い出したカズヒコ。でも、ミチル本人もどんな怪物なのか少し興味があった。
「ったく。けど、見終わったら、怪獣が見つかる前にさっさと帰るぞ」
「わかってるよ」
 こうしてミチルたちは怪獣が身近に見れる海岸へ向かった。

                                    

 最前防衛線になってる相模(さがみ)湾の海岸沿いの砂浜に武装した多くの自衛隊が展開していて、15キロにも及ぶ長い距離に設置型迎撃ミサイル発射装置が45基以上もある。
 ピリピリした空気の中に、3つの白いテントが張られていた。中の様子はいくつもあるパイプ椅子と長いテーブルだけの意外にシンプルなスタイルで、そこに入っている人たちは、周りとは真逆のリラックス状態になっていた。
「なあ、本当に来んのかー?」
 ペットボトルに入っているジュースを飲んでいる金髪の少女が短い胴体に釣り合った脚でパイプ椅子をゆらゆらと揺らしながら、退屈そうに言う。
「そうらしいどすえ」
 彼女の質問に京都弁で答えたのは、黒くて長い髪をかんざしでまとめた、眼鏡をかけた少女だ。座わりながら本を読んでいる。
「待機命令なんて退屈なだけじゃんか。侵攻する前に、叩き潰せばいいんじゃね?」
「それはできないよ。ヒビキちゃん」
「あら、ディラン支部長」
 ディランがテントの中に入ってきた。
「だから、"ちゃん"付けは止めろって言ってるだろうがァ!!」
 どうやらヒビキは、他の人から"ちゃん"付けと言われることに対し異常なほど嫌がるようだ。
「その方がかわいいじゃないか。なあ、椿姫ちゃん」
 少女たちをナンパしているようにしか見えないディラン。だが、椿姫という名の少女は、そうとは思えない平然と言う。
「そうどすえ。その容姿なら、"ちゃん"付けされても何も問題あらへん。それにその体格なら、小学生に見えてもおかしくないどす」
 ディランは椿姫に振った。彼をフォローするかのように遊び半分で言う椿姫。それを聞いたヒビキは、頬を赤くし始める。
「あ、アタシもう子供じゃねーっつーの!!」
 どうやらヒビキは、高校生になったばかりの年齢。だが、年齢に見合わない小学生か中学生の容姿で子ども扱いされるのが大が付くほど嫌いらしい。逆に椿姫は、遊び半分でヒビキのように、からかい甲斐のある人間をおちょくることが好きなようだ。
「まあ、おしゃべりはここまでとして話を戻すけど、命令の権限は防衛省の長である高木川省長が持っている。命令も無しに勝手に動いたら、犯罪扱いされるよ」
「ちっ!」
 ヒビキは納得が行かず、舌打ちをしてより機嫌を悪くする。
「ディラン支部長」
 ディランの後ろから少女の呼ぶ声がした。ディランは振り返り、その少女の名前を言う。
「おっ、レミちゃん」
 ディランがレミと呼んだ髪の長い少女。落としたブレスレットをきっかけにミチルと電車で出会ったのも、レミと呼ばれる少女だった。
「太平洋沿海にいるデーモンの様子は?」
「海上自衛隊の視察艦隊から連絡が来たのだけど、今のところ大した動きはない。けど、念には念を入れて、準備はしときなさい。レミちゃん」
「了解です」
 レミはディランに向けて敬礼をする。
「君たちも、だ。椿姫ちゃん、ヒビキちゃん」
「わかったどす」
「だーかーら、"ちゃん"付けで呼ぶなって!」
「…わかった、わかったよ」
 彼女たちが移動しようとしたとき、ディランがレミを呼び止める。
「あ、レミちゃん。ちょっと待って」
 レミは「なんでしょう?」と何食わぬ顔で言う。
「…本当にやるのかい? ルシファーとの【天装】は、まだ完全ではないんだ」
 ディランの心配する一言に一瞬不安な顔を見せるレミ。だが、後に決意した顔つきになった。
「…私がやらないと、この国を守ることができません…。だから、僅かでも可能性に賭けてみる価値はあると思います。覚悟は…できています!」
「そうか。なら、私は君を止めないよ。ただし、危険と判断した場合は君を強制的に連れ戻す。いいね?」
 ため息を吐いたディランだったが、レミの覚悟に同情を寄せた。
「…はい!」
「レミちゃん、大丈夫でしょうか……」
「ルシファーとの【天装】は未だ不安定な状態だ。けど、他の支部よりも戦力的に乏しい日本支部は我々の最後の切り札であり、希望でもある」
 ディランのスーツのポケットにある携帯が着信が来たのか振動している。ディランはすかさず携帯を取り出し、通話した。
「わたしだ。…わかった。高木川省長にこのことを連絡しておく」
 一言ですぐに通話を切り、少し焦った様子になったディラン。何かあったのかと苅部と呼ばれる女性がディランを尋ねる。
「ど、どうしたのですか?」
「海上自衛隊からだ。ニーズ・ヘッグが遂に動いたらしいぞ…!」
「それって、ここに向かってるのですか!?」
 恐れていたことなのかと苅部はディランに問う。
「ああ。私は直接高木川省長に連絡する! ミス・苅部は彼女たちを呼び戻してくれ!」
「わ、わかりました!」
 緊急事態で慌ただしくなり、苅部はレミたちの元へ向かい、ディランは防衛省長である高木川元三郎に連絡した。
 ――防衛省・省長室にテレフォンから着信が室内に響く。
「私だ」
 高木川防衛省長がテレフォンの受話器を取り、送話器に向けて渋い声で発した。
『高木川省長』
「ゲンマが動いたか?」
 まるでこの目で見ていたかのように語る防衛省長。ディランは一瞬驚愕したが、平然と話を進める。
『ええ。20年前に起きたバンクーバー大火災事件の元凶とされているニーズ・ヘッグと思われるゲンマが突如姿を現しました。データによると、現在北緯45、東経140の地点に現れたとのことです』
「そうか。たった今、神奈川海岸地域を住民を退避させたところだ」
『ご協力感謝します』
「ディラン支部長、君から直接3つの自衛隊と君の戦闘員に迎撃命令を通達して欲しい」
『わたしが全ての指揮を担当をしろ、と?』
「そうだ。あのバケモノに関しては、誰よりもお前が知っている。順当な判断だ」
『…わかりました。お任せください』
 ディランを自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、そしてディランの率いる日本支部I.S.B.I.Aの戦闘員に通達する間接的な方法で依頼。ディランは快く引き受けた。
「…そういえば、ルシファーという【天戎器】の方はどうなっている?」
『現在、湊島レミとの【天装】はうまくいっていますが、回数を重ねていくたびに湊島レミの負荷が増大し、継続時間が徐々に短縮されています』
「そうか…。わかった」
 息を吐き、テレフォンの受話器を元通りに置いて通話を終了し、回転する椅子で後ろに回転し、ガラスの向こうにある都会を見渡した。
「我々は、まるで禁断の果実に手を出してしまったアダムとイヴのようだな」

                                   

 数時間後、ニーズ・ヘッグは高度を下げ、日本の経済水域内に入り、領海に差し掛かろうとしている。
「来たぞ! 撃て!」
 相模湾の砂浜に設置されたミサイルが自衛隊の指示で連続で発射される。
 だが、ニーズヘッグの運動性能で簡単に避けられてしまう。
「もっとだ!」
 更に数を倍にして発射した。すると、ニーズ・ヘッグが止まり、口から炎が溢れて、そのまま咆哮として向かってくる複数のミサイルを薙ぎ払うように放射した。
 ミサイルはすべて爆破して落とされた。
 爆炎が消えた後、日本から航空自衛隊の5機の戦闘機がニーズ・ヘッグを捉える。
《全機! ミサイル、発射!》
 通信回線で隊長機が命令を出し、一斉にミサイルで撃ち、空中戦争に変化する。
 ニーズ・ヘッグは、ミサイルに突進し、ミサイルをひらりとかわした。その後、1機の戦闘機に強靭な爪で鉄の翼を引き裂く。
《うわぁぁッ!》
 右翼に直撃した戦闘機は大破し、煙をまきながら螺旋を描くように落下していく。パイロットは無事だが、戦闘機は爆散してしまった。
《体勢を立て直せ! フォーメーション・ガンマ!》
《《《ラジャー!》》》
 4機になった戦闘機が四角形になるようにニーズ・ヘッグを囲む。
《今だ! 追尾ミサイル、発射!》
 そして一斉に追尾ミサイルを発射する。ニーズ・ヘッグは急上昇してかわすが、追尾ミサイルが後を追う。
 翼を数回羽ばたかしてスピードを上げ、ミサイルから遠ざけようとする。ミサイルも追いついてはいるが、スピードがニーズ・ヘッグより遅い。ある程度距離が離れたところで、巨大な口から火炎放射を放つ。追尾ミサイルは爆破、撃墜した。
 ミサイルを回避することや撃墜することに優先していたので、戦闘機の行方がわからなくなっていた。
 ニーズ・ヘッグの音に敏感な耳に戦闘機のエンジン音が聞こえた。太陽の眩しさを盾にニーズ・ヘッグに突貫する。
《ミサイル、発射!》
 かわしながら急降下し、海に水しぶきが立つ海水面ぎりぎりまで飛行する。戦闘機も後を追う。
 ニーズ・ヘッグは急上昇した。円を描くように旋回にしながら飛行、戦闘機の後ろにつき、火炎放射を放つ。後方にいた戦闘機のエンジンに直撃、爆破した。
《だ、脱出します!》
 撃墜される前に脱出装置を作動させ、シーツごと真上に放射。戦闘機は海に堕ち、炎と煙を発していた。
《待たせたね、航空自衛の精鋭部隊。こちらの準備はできた》
《ディラン支部長!》
 ディランが日本支部イスビアの基地から無線で連絡してきたのだ。
「他の撃墜されてしまった戦闘機のパイロットの2人は、なんとか回収できた。予定ポイントまで引き付けてくれ」
《了解です! 全機、聞いた通りだ。目標をポイントまで引き付けるぞ》
 通話を切り、隊長が隊員たちにところへ向かう。
《よし。君たち、作戦は覚えてるね》
「はい」
「わーってるよ」
「ええ」
 通信機で聞いていたレミ、ヒビキ、椿姫とレミのサポーターとして同行した苅部ナナが海岸沿いに最も近いビルの屋上にいた。
 レミはペンダント、ヒビキはピアス、椿姫はかんざしに手を触れる。
「では、作戦開始!」
 ディランの掛け声と同時に3人が叫ぶ。
「「「天装ッ!!」」」
 叫んだ3人の少女は、それぞれの付けているアクセサリーが発光。光の膜のような物が徐々に広がり、彼女たちを包んでいく。だが、僅かな時間で光が消えて、彼女たちの服が違う服に変わっていた。
 ヒビキは、体格に似合わない巨大なハンマーを持っている。服装は、黄色と黒の2色の裾の長い半袖フードと短パンで雷雲を思わせる。
 椿姫は、長杖に紫、黒の彩で足が見えない服装になっている。まるで魔法使いだ。
 レミの服装は、白と黒の袖のない服装で腰にマント、左手に盾のような籠手が特徴的だ。右手に両刃の剣を持っていて、剣士と思わせる。
「うぐっ…!」
「レミちゃん!」
 突如レミが何かで縛られているかのように痛み出した。立つことさえ困難になり、態勢を低くして、痛みが治るまで安定をする。
「おい、大丈夫か!?」
「肩に掴まるどす」
 ヒビキと椿姫が協力して、レミが立てるよう肩を貸して手伝う。
「ごめん、みんな……」
 無理強いでも任務をやり遂げようとするレミだったが、不安で心がいっぱいだった苅部が言う。
「ディラン支部長、やはり無理ですよ!」
 【天装】が不安定な状態でレミを出動中止を申しだてる苅部マナ。だが、ディランはもちろんそのことも考えてはいたのだが、日本支部の戦力を考えてみれば、使える物は使った方がいいと言わざるを得ない状態だった。
《わかってる。だが、戦力の少ない日本支部においてこの状況を打破するには、ルシファーと同じ【ヒエラルキー】を持つ【熾天使(セラフィム)】のウリエルを持っているレミちゃんの力が必要だ》
「しかし…!」
「大丈夫です、マナさん…!」
「レミちゃん……」
「心配をかけてくれていることは分かっています。でも、私だけしかこの日本列島を救うことができないんです! だから、行かせてください」
「……」
「わかった。ただし、拒絶か始まってるから、そう長くはもたない。かといって、焦らず慎重に行動を心がけるように」
「はい…!」
「作戦は先ほど伝えたようにリーダーであるレミちゃんに従ってくれ。戦域に近づいているイレギュラーが来ないか私たちが監視しているから。よし、作戦開始!」
「「「了解!!」」」
 レミとヒビキと椿姫は、何か動力が働いたのか空中に浮き上がり、ニーズ・ヘッグの元へ向かった。
――囮になって引き付けている3機の戦闘機を追いかけるニーズ・ヘッグ。海から離れ、都会の真ん中あたりに来ていた。
《よし! 全機、全速力で散開!》
 隊長の掛け声で3機は散り散りになり、龍から離れていく。
(いかずち)を操りし大天使よ。我、汝の雷撃の怒りを放ち轟かん…! ヴォックス・マーレイ・イレアッ!!」
 詠唱と共に、赤い龍の頭上に雲が発達して雷雲と化す。雲の違和感に気付くニーズ・ヘッグだったが、すでに遅かった。
 突如雷雲から放った雷がヒビキの巨槌に直撃。そのまま同化し、ニーズ・ヘッグに攻撃する。
 ニーズ・ヘッグはそのまま落下し、コンクリートの地面に叩きつけられる。
「よっしゃぁぁ!!」
 レミたちによる奇襲が成功する。
「こちらレミ。奇襲に成功しました。よくやった、ヒビキ!」
「へへっ、まあな!」
 ガッツポーズをして、雄たけびを上げるヒビキに称賛する彼女らの隊長のレミ。しかし、ニーズ・ヘッグはまだ自力で立てる体力が残っている。
「もう1つお見舞いするどすえ! はあっ!」
 
 ヒビキの雄たけびに気付き、レミたちを見つけたニーズ・ヘッグは怒り出す。
 巨大な翼の羽ばたきと強靭な脚力で飛翔し、口から火炎放射を繰り出す。
 レミたちは別々の方向に向かって散開し、ニーズ・ヘッグをかく乱する。
 一般人が避難している中、ミチルとカズヒコはモノレール・ステーションの近くにある人通りの少ない道のマンホールを開け、地下水道からの侵入を試みていた。
 先頭はカズヒコ。携帯端末に表示されているマップを確認しながら相当長い時間、地下水道の奥へ奥へと進んでいたのだが、地上での戦闘で振動が起きている。
(どうも地上が騒がしい…。怪獣が街に侵攻しているのか?)
 ミチルたちの近くにちょうど地上に出られる出入り口に来ていた。ミチルとカズヒコは地上が騒がしい理由を確かめる必要があると判断する。
「ミチル……」
 カズヒコが地上に出てみる覚悟があるのかと問いだした。ミチル本人も正直怖いと思っている。だが、カズヒコと乗った船なのでミチルは覚悟を決めた。
 ミチルは「うん」と首を縦に振った。
 カズヒコも同じように首を縦に振り、梯子で上り、重いマンホールを自分の体を押し当てるようにして開ける。
「ふん!」
 顔が真っ赤になるほど力を入れたので、息が大きく乱れている。
「ふぅ…ふぅ……」
 その後、ミチルも地上に出た。彼らの周りには、人のいる気配が無く、気味が悪いと言われるほどの殺風景の都会になっていた。
「なんだこりゃ…。誰もいない……」
 カズヒコが言った。
 すると、どこからか獣が吐く咆哮のようなものが聞こえる。
「聞こえたか?」
「ああ…!」
「とにかく、見つからないように行こう」
「オーケー!」
 ミチルとカズヒコは、音のした方向へ都会の建物を利用しながらスパイのように隠密に移動した。
 ある程度近づいたところで動くのを止め、見つからないように身を隠す。
「おい、ミチル! あれ!」
 カズヒコの視線の先にミチルも目を凝らして見た。そこには、ニーズ・ヘッグと空中に浮いて戦っているレミたちだ。
(えっ!? あれは今朝モノレールで会った女の子じゃないか! なんでこんなところに!? しかも、なんで怪獣と戦ってるんだ!?)
 ミチルはレミが危険地帯であるこの場所で戦っている姿に正直戸惑っていた。
(もしかして……)
 ミチルは回想した。モノレールの中でレミが言ってたあの言葉について今でも疑問に思っていたのだが、これを見てすべてが分かった。
 ミチルたちは見えるところまでもう少し近づいていく。宙に浮きながらレミたちの戦う姿を見ることに成功する。
「それッ!」
 長杖を高く上げ、水色のコアの部分が光り出す。レミを後押しするかのように後ろから強風が吹き込み、ニーズ・ヘッグは飛ばされないように踏ん張りをする。
「はあっ!」
 動けないニーズ・ヘッグの背後から剣士姿のレミが勢いよく剣を振るう。
「ぐぅ…!」
 だが、ここぞというときに力が発揮せず、空振りに終わる。レミの存在を目視したニーズ・ヘッグは尾でレミを振り払う。
「きゃあッ!」
「レミッ!!」
 レミはそのままビルの最下層の外壁に激突する。
「レミちゃん! 」
 ニーズ・ヘッグは力で呪縛を無理矢理解き、レミに向かう。
「まずい…! レミ!」
 ヒビキはレミを助けようとするが、ニーズ・ヘッグの口から火を噴き、近づけさせないようにする。
「クソッ、近づけね…!」
「く…う…!」
 意識があるものの、立つことすらままならない。せいぜい地面に腹這いしながら、首を上げることが精一杯だ。
 ニーズ・ヘッグは、レミを握りつぶすのか右腕を伸ばし手を付けようとしている。
 カズヒコと一緒に静観していたミチルは、この情景を見て自分の中に迷いが生じていた。
(このままじゃあの女の子があの龍に殺されてしまう……)
 少しずつレミに近づいていくニーズ・ヘッグ。もはや猶予が残されてない。
(僕は女嫌いの性癖を持つけど、決して死んでほしいわけじゃない。命懸けで日本を守ろうとしているあの女の子が今ピンチなんだ…。だったら…!)
 ミチルの拳が血管が浮き出るほど強く握り、決意した。
 ミチルはこれ以上看過できず、カズヒコを置いて1人で建物の陰から出た。
「っておい、ミチル!」
(別に特別な能力が無くなっていい。女嫌いがどうだっていい。僕はただ…人が死んでいく所を見るのは…嫌なんだ…!)
「うおおおおおおおッ!!」
 ミチルはレミの前に転がっている剣を取り、ニーズ・ヘッグの右手に斬りつける。
 ニーズ・ヘッグは、悲鳴の咆哮を上げながら一時後ろに下がる。
 かなり奥まで入ったのか人間と同じような色の血が切口から勢いよく噴き出ている。
「な、なにが起きた!?」
「あれを」
 椿姫がレミを守ったミチルを指した。それを見たヒビキは、民間人であるミチルを見て驚愕する。
「なっ、民間人!? なんでこんなところにいんだよ!?」
「さぁ。でも、ゲンマが怯んでいる今がその時じゃないどすか?」
「そ、そうだな…。行くぞ!」
「全く、おんしはまだまだ子供どすなぁ~」
「誰が子供だー!」
 椿姫の言ってたことに、ヒビキが激怒する。
「はぁ…はぁ……」
「君は…、あの時の…。これは、民間人である君には到底負えない…! 早くここから逃げるんだ…!」
「はぁ…何が"逃げる"だ…。まともに戦えないで、そんな言える立場か…!」
「けど…! ッ!!」
 ニーズ・ヘッグの怒りの咆哮が周りに響き渡り、ビルの強化ガラスが次々と割れていく。
「くっ…!」
 ミチルたちは、爆音並みの声の高さと大きさに耐え切れず耳を塞ぐ。すると、ニーズ・ヘッグが口から炎が溢れ出る。あの炎の纏った咆哮を放つつもりだ。
 逃げるにも、怪我してしまったレミを置いていくことなんてミチルにはできない。担いで行っても時間がない。
(ここまでか…!)
 諦めた瞬間、ミチルが持っていた剣が突如光り出す。
「な、なんだ!?」
「ッ!? ルシファーが…!」
 ニーズ・ヘッグがお構いなしに放った火炎の咆哮は、ミチルたちに直撃した。だが、剣から発して徐々に大きくなっていく光は、炎からミチルたちを守るかのように覆っている。
「ま、まぶしーッ!」
「な、何も見えねぇ!」
「この光は…!」
「う…。どう…なったんだ……」
「君…それ……」
「えっ? な、なんだこれ!?」
 ミチルが目を開けて状況を確認する。そこにレミがミチルの体に向けて指をさす。
 ミチルは自分の体を見て、今まで着ていた制服がレミの着ていた服に変わっていたのだ。
「ッ! 攻撃が来るわ!」
 ニーズ・ヘッグがもう1度火炎の咆哮を放ち、ミチルはすかさず両腕をクロスし、防御に徹した。
 すると、左腕に装着している盾と合体した籠手が光り出し、ミチルの目の前にバリアのような物が展開した。そのバリアは、ミチルにたとえ灯でも触れさせない。
 ニーズ・ヘッグは炎を吐くのを止め、ミチルを尾で振り払った。
「ぐわっ!」
「ミチル!」
 ニーズ・ヘッグがミチルの前に立ち、攻撃を仕掛けようとしたその時だった。
「なんだ!?」
 後ろからの攻撃によりニーズ・ヘッグがよろめいたのだ。
「アタシらのことを」
「忘れないで欲しいどす」
 ニーズ・ヘッグは、数的に勝機が見いだせないと判断したのか彼らの元から立ち去ろうとしている。
「あいつ、海に逃げてくぞ!」
「ニーズ・ヘッグを追って!」
「わかった!」
 ミチルは飛翔し、ニーズ・ヘッグを追う。そこにヒビキと椿姫がミチルにアドバイスをする。
「おい、そこのお前! ルシファーの固有奥儀を使え!」
「固有奥儀…?」
「固有奥儀は、詠唱を唱えることで発動されるどす!」
「詠唱…。もしかしてこれか?」
 何か思いついたミチルは剣先を真上にし、グリップを両手で持って、詠唱を唱えた。
「輝煌の光をもたらす明星の熾天使よ。我、汝の天の光にて我が友の希望、誇りとなりて阻む者共を穿つ!」
 詠唱を唱えた後、ミチルの足元に巨大な魔法陣が出現。無風なのにマントや髪の毛は靡き、剣の刃の部分は光り出し、宇宙まで届くような高さに形成した。
「で、でかっ!」
「やっぱり…。そのままあの龍に…!」
「わかった! ステイラ・スプレンディデート・グラーディオッ!! いっけぇぇぇー!」
 ミチルが巨大な光の刃をニーズ・ヘッグに向けて振りかざした。光の刃を受けたニーズ・ヘッグの姿は、光とともに消え、海を斬り裂いた。
  
 

 
後書き
どうも! 初投稿させていただきましたフェンリル/(スラッシュ)です。
自分にとっては、いい作品に仕上がったのでないかと思います。(まだ1話目だけど)
次の話の投稿は自分の仕上げ次第で不定期ですが、これからも投稿していくので応援よろしくお願いします!
 
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