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Blue Rose

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第四話 変化の兆しその十

「安心して」
「いや、二本もかなりだよ」 
 ウイスキーをというのだ。
「ウイスキーアルコール度高いから」
「それもわかってるわよ」
「わかってるわかってるっていうけれど」
「あのね、優花」 
 どうしても見られなかった、弟の顔は。そして。 
 必死に飲みつつだ、また言ったのだった。
「貴方自分の親戚や大切な人がね」
「大切な人が?」
「急にその人でなくなったらどうするかしら」
「?どういうこと、それって」
「だから、その人であってその人でなくなるのよ」
「意味がわからないけれど」
「そうなのね」
「姉さんやっぱりおかしいよ」
 首を傾げさせてだ、優花は姉に言った。
「今日は」
「そう思うならいいわ」
「変なこと言うね」
「そうかもね」
「意味がわからないから」
「ならいいわ、とにかくね」
 やはり飲みつつ言う。
「今は飲むから」
「それ全部飲むの?」
「そうなるかもね」
「二本目も全部って」
「飲みたいからよ」
 やはり飲みつつ答えた。
「今日はね」
「本当に気をつけてね」
「二日酔いにはならないわよ」
「そういう問題じゃないよ」
「だからわかってるわよ、健康にも気をつけてるから」
「ならいいけれど」
 優花はこれ以上は言わなかった、優子はこの日ウイスキーを二本完全に開けた。そしてその次の日もだった。
 家に帰るとだ、食事を手早く済ませて。 
 やはり飲んだ、この日は焼酎だったが。
 普段よりも遥かに飲んでいる、優花はその姉にこの日も言った。
「今日も?」
「そうよ」 
 やはり優花の方を見ないで答える。
「飲みたいよ」
「何かあったの?」
 姉を心配してだ、優花は問うた。
「それでなの?」
「だから何もないわよ」
「あまりそうは見えないけれど」
「見えなかったらそれでいいでしょ」 
 別に、という口調でだ。優子は焼酎をひたすら飲みつつ言葉を返した。
「別にね」
「またそう言うんだ」
「これでも昨日二日酔いしなかったしちゃんとジムで汗も流してしちゃんと食べてるわよ」
「だから健康には問題ないっていうんだね」
「そうよ、気にしないでいいわよ」
「昨日と同じこと言うね」
「あんたが心配することじゃないのよ」 
 こう言いつつもだった、優花は見ない。顔は正面に向けているが何も見てはいない。
「姉さんに任せておいて」
「任せる?」
 優花は優子の今の言葉に反応した。
「何を?」
「いや」
 言った後でだ、優子は失言に気付いた。そしてだった。 
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