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エイリアン

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4部分:第四章


第四章

「戦争に反対する意見も多いです」
「戦争を否定する者もいるのか」
「はい、それも非常に多いです」
「では何故戦争が起こるのだ?」
「理由があるからです」
 グリーザはそのことはとりわけ念入りに調べた。地球に潜伏する最重要課題だからだ。だから念入りに調査、研究しそのうえで述べるのである。
「資源や土地、食料の取り合いです」
「何っ、それではだ」
「我々と同じ理由で戦争が起こっていますね」
「我々とて戦争がなかった訳ではない」
 彼等の星にしてもだ。そうだというのだ。
「今も紛争があるしな」
「そうですね。残念なことに」
「人は食べるものや資源がなければ生きられない」
 深刻な顔でだ。上司は言うのだった。
「だから仕方のないことだ。改善しなければならないがな」
「それと同じなのです」
「地球人もか」
「彼等は生きる為に戦争をしています」
「では戦いたいから戦うのではないのだな」
「戦争はあらゆる産業を破壊しただ武器だげが売れます」
 そして多くの者が死ぬ。それならばどうかというのだ。
「それではとても儲けになりません」
「武器の売り上げによる収益なぞたかが知れているからな」
「それは地球でも同じでして」
「では戦争をしたくてしているのではなくだな」
「必要、確かにそこにはエゴもありますが」
「そこも同じだな」 
 上司は難しい顔で述べていく。
「そうか。決して好戦的ではないか」
「その文化もです」
 具体的にだ。地球、もっと言えば大阪の文化も話す彼だった。
「好戦的なものではなくです」
「ではどんなものだ」
「その野球に熱中していまして」
「野球が好きなのだな、地球人は」
「色は黒と黄色です」
 その色がどうかというのだ。
「その二色での配色がとりわけ好まれます」
「黒と黄色か。目に悪いな」
「成れないと目がちかちかします」
「警戒色だ。地球にはそんなに危険が多いのか」
「確かに交通事故は多いですがそれとは関係なくともです」
「黒と黄色が尊ばれるのか」
「はい、それが地球です」
 グリーザは大阪が地球の文化とみなして話していく。
「地球で好かれる色です」
「色はわかった。では他には何がある」
「メイドというものがあります」
「メイド!?何だそれは」
「喫茶店、これは我等の星にもありますが」
「私は紅茶が好きだ」
 上司は何気に自分の好みも話す。
「やはりあれはいいな」
「そうですね。地球にもありますし」
「ふむ。それも地球にあるのか」
「そうです。ただその喫茶店ですが」
「メイドがいるのか」
「そうした店もありまして」
 そしてだ。どうかというのである。
「黒をベースとしてところどころにふりふりの白いものがついた服を着ていまして」
「黒と白か。またしても対称的だな」
「頭にはカチューシャという白いものがあります」
「カチューシャ?」
「頭にあります。帽子というよりはヘアバンドみたいなものです」
「それを付けているのか」
「はい、それでなのですが」
 グリーザはそのメイドについてだ。上司にさらに話していく。
「店に入ると頭を下げて挨拶をしてきまして」
「地球の礼儀作法の一つだな」
「はい、そのうえでこう言うのです」
 実際にそうした頭を下げる挨拶をしてみせてだ。彼は言うのだった。
 
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