転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1265話
ナデシコと連合軍の間に陥った膠着状態。それを最初に破ったのは、ナデシコ側からだった。
『お父様。少しお話ししたい事があります』
『うん? 何かな、ユリカ。残念だが私もあの機体を見逃す事は出来んのだ』
『その件もですが、他にも色々とお父様とお話したい事がありまして』
『向こうもこちらも譲れない。であれば、交渉ですな、交渉でしょう。そういう訳で交渉をしたいと思うのですが、どうでしょう?』
『ふーむ……交渉か。だが、こちらは退く気は一切ないぞ?』
『いえいえ、そちらの件もそうですが、少し前にナデシコでは連合軍から派遣されている方々が艦を占拠しようととしまして。それを鎮圧したのですが……その件についてはどうします?』
『……分かった。交渉でお互いが妥協出来るかどうかは分からんが、それでも交渉の席には着こう』
へぇ。プロスペクターも中々やるな。あの状況から捕らえたムネタケを使って交渉の場に引き出したか。
……けど、それでどうにかなるのか?
連合軍としてはミロンガ改を見逃すような手はないだろう。
ナデシコという艦を見逃す代わりに、ミロンガ改を自分達に譲渡しろ。それが無難な交渉内容か。
『分かりました。では早速そちらに向かいます』
『うむ。……それとこちらに来る以上、あの機体のパイロットもこちらに寄越して欲しいのだが? 機体をどうこうするかどうかは分からんが、あれだけの技量を持つパイロットだ。顔を合わせてみたい』
『ふーむ。……現状、そちらにあの機体のパイロットを連れて行くのは危険だとしか思えないのですが。何しろ、そちらが要求している機体のパイロットです。まずそのパイロット本人を押さえるという手段に出られると、こちらとしても困ります』
『私を信用出来ないと?』
『いえいえ、勿論そんな事はありませんとも。ですが、実際連合軍がナデシコを占拠しようと行動を起こした事を考えますと、こちらとしてもどうしても慎重にならざるを得ない訳でして……』
『ぬぅ。……分かった。だが、交渉する間ナデシコを動かすのを許す訳にはいかん。ユリカ、交渉をしたいというのであれば、ナデシコが動けないようにマスターキーを抜いてこちらに来なさい』
『待て、艦長! 向こうの言う事を聞いちゃ駄目だ! 甘い言葉で騙くらかすのは、悪の手先の常套手段だぜ!』
突然聞こえてきたのは、ヤマダの声。
確か格納庫で戦闘配備になっていた筈……ああ、コミュニケか。
ともあれ、ヤマダの声を始めとして色んな者の声が艦長を止めたり、向こうの言葉に従うように言ってくるが……
『分かりました。お父様の言う通りにさせて貰います』
結局艦長が選んだ選択肢は、マスターキーを抜くというものだった。
実際、向こうから譲歩案を出してきているというのに、それを断る事は出来ないというのもあるんだろう。
……さっきの通信を聞く限りだと、娘可愛さの親馬鹿ってのもありそうだが。
交渉で頑張るだろう艦長やプロスペクターには悪いが、いっそ俺が行って向こうの艦を制圧してしまうってのは……いや、駄目か。
ネルガルが連合軍との関係を悪くしたくない状況で俺がそんな真似をしたら、間違いなく関係は悪化する。
ただ、この交渉のおかげでこっちも迂闊な動きが出来なくなったのも事実。
そもそもマスターキーを抜かれている以上、ナデシコは現状から動く事は出来ない。
向こうにとってもこっちを監視しやすいってのはあるんだろうし。
『では、二十分後に待っておるぞ。ユリカの好きなケーキもたーっくさん用意しておくから、楽しみにしているといい』
『はい、お父様。では二十分後に』
通信が切れたのを確認し……改めてブリッジへと通信を送る。
ミロンガ改のパイロットの俺が向こうの提督に顔を見せるわけにはいかなかった為、こうして大人しくしていたのだが……これだけはきちんと確認しておく必要がある。
「プロスペクター、話は聞いていた。それでお前達は俺を売り渡すつもりはあるのか?」
『まさか。全くそんな事は考えていませんよ。そもそも、契約を結んだ以上アクセルさんはナデシコのクルーです。更に言わせて貰えば、現状ナデシコの最高戦力でもあります』
『待てよ! ナデシコの最高戦力だぁ? そんなのは俺が……』
『はいはい、ヤマダさん。その辺にしておいて下さい。今はちょっと重要なお話をしていますので』
『ヤマダじゃねえっ! ダイゴウジ・ガイだ!』
そんな風に叫ぶヤマダをそのままに、プロスペクターは再び俺との話を再開させる。
『とにかくですね、これからナデシコが火星に向かう上でアクセルさんのミロンガ改というのはこれ以上ない程に大きな戦力となります。まぁ、機体性能や機体の大きさが違いすぎてエステバリスと共同戦線を取れないのは惜しいですが……それでもアクセルさんとミロンガ改というのは絶対に必要です』
「つまり、俺を売るつもりはないと?」
『ええ、それは断言させて貰います。最悪の場合、それこそ連合軍とやり合う事になったとしてもアクセルさんを向こうに渡すつもりはありませんので、ご安心下さい』
プロスペクターの口から出たその一言に、ブリッジの中から感嘆とも驚きともつかない声が上がる。
当然だろう。連合軍との関係を悪化させたくないネルガルの人物として、この選択肢は驚くべきものだったのだから。
……なるほど。良くも悪くも企業人。契約は絶対ってところか。
これなら安心して見ていてもいいか?
ここまで言い切った状態で、もし俺を連合軍に売ろうとしようものなら、ブリッジを始めとしてこの通信を聞いていた者達からの信頼は完全に失墜する。
そんな状況でになれば、火星へと向かうスキャパレリプロジェクトとかいうのは確実に失敗するだろう。
「分かった。なら信じさせて貰うよ。……で、そっちが交渉をしている間、俺はここで待機していればいいのか?」
『……そうですね。そうして貰えると助かるのですが、体力的に問題ありませんか? もし出撃するようになった場合、アクセルさんが疲れていると大変なのですが』
「その辺は問題ない。コックピットで待機するくらいで音を上げるような、情けない体力はしていないからな」
サーヴァントとやり合えるだけの体力を持つ俺が、もしコックピットで待機しているだけで疲れたとか言ったら笑いもの以外のなにものでもない。
ああ、でも精神的な疲れとかならありそうだな。
『いえ、アクセルさんだけにそんな厳しい事をさせられませんから、降りて待機していても大丈夫です。ただ。機体からあまり離れない位置にいて下さいね』
『艦長、いいのか?』
艦長の言葉に、ゴートが確認するように尋ねる。
……いたんだな。ゴート。全く喋らないから、すっかり忘れてた。
『提督、それで構いませんね?』
『ふむ、このナデシコは君達の艦だ。艦長の君が判断した事に、私は逆らわんよ』
提督とは言っても、ムネタケではなく老人の方の提督が艦長に頷く。
えっと……誰だったか。そうそう、フクベだ。
ムネタケの方が連合軍から派遣されてきた提督なら、このフクベという提督はネルガル所属の提督だ。
……艦長がいる状況で提督が何の役に立つのかは分からないが、多分アドバイザー的な役割なんだろう。
『そういう事で、アクセルさんはミロンガ改にすぐに乗れる位置で待機していて下さい、あ、アキトとヤマダさんもそんな感じでお願いします』
『ダイゴウジ・ガイだ!』
既にお馴染みになったと言ってもいいやり取りを聞きつつ、俺は艦長の言葉に甘えさせて貰ってコックピットから降りる。
実際問題、俺の体力とかを考えるとコックピットに座っていても全く問題がないのだが、迂闊に俺の異常性を見せる訳にはいかないしな。
それに、待機していても体力の問題がないからといって、ずっとコックピットに座っていれば退屈もする。
普段であれば空間倉庫から取り出した雑誌やら何やらで暇潰しが出来るのだが、ナデシコの艦内でそんな真似が出来る筈もない。
いざとなった時であればまだしも、今は別に何かある訳でもないし。
そんな風に考えていると、再び新しい通信映像が展開される。
『いい、アクセル。連合軍との交渉には私も出るわ。あんたの自由は何としてもこっちで保証するから、くれぐれも……く・れ・ぐ・れ・も、妙な真似はしないようにね』
そこに映し出されたエリナが念を押すように告げてくる。
「いや、そこまで言われなくても別に暴れたりはしないから安心しろ。……信用ないな」
『あのね、アクセルがナデシコに来てからまだ殆ど時間が経ってないのよ。だとすれば、そう簡単に全面的な信用が出来ると思う?』
「しようと思えば出来るんじゃないか? まぁ、エリナには無理だろうが」
『……そうかもね。けど、いい? 本当に無茶な真似はしないでよ? 今は連合軍と敵対するような真似はしたくないんだから』
「分かってる。そんなに無茶をするように見えるか?」
『見えるから言ってるんでしょう。全く、自分の理不尽さをきちんと理解してから行動して欲しいわね』
そこまで理不尽な事をしたか?
そう思ったが、よく考えたらサセボシティでの戦いは思い切り理不尽な事をしてるんだよな。
実際、サセボシティの戦いは連合軍が一方的に負けていた。
だというのに、俺はミロンガ改であっという間にバッタとジョロを全滅させた訳で……
多分、本来ならあの戦いはこの世界の主人公と思われるアキトがどうにかしてたんだろう。
キラみたいにSEED的な何かに覚醒するのか、それとも別の手段なのかは分からないが……それで、恐らくこの展開も本来であれば連合軍が狙ってくるのはエステバリスだったとか、そういうオチか?
「取りあえず、向こうが動きを見せない限りは俺も動きを見せない。ただ……」
映像スクリーンに映し出されている艦長の方へと視線を向ける。
「マスターキーを抜いたって事は、ナデシコは基本的に動かない。つまり、俺がナデシコから出撃する場合は荷物搬入口を破壊しなきゃ出られないんだが……それを理解したうえでの行動だったのか?」
『ああーっ』
……その一言で納得してしまった。完全にミロンガ改が出撃する可能性を忘れていたな。
『ど、どうしようジュン君!?』
『大丈夫だよ。そもそも、この場合はおじさんの言ってる事が正しい。あの機体みたいに強力な兵器は、連合軍がきちんと管理して然るべきなんだから』
『いやいや、副長がそんな事では困りますな』
『そうよ。あの機体はネルガル所属だというのは明白よ。連合軍の方でもナデシコを私的に運用するというのはしっかり話を通していたのに、今になってそれは契約違反よ』
『いや、けどあの機体は元々ナデシコ所属のものではないでしょう? なら……』
『違います。確かに到着が遅くなりはしたけど、元からナデシコに搭載予定だったの』
『そんな、今だって出撃する場所に困ってるじゃないですか』
ジュンとエリナの言い争いを余所に、プロスペクターが俺へと声を掛ける。
『アクセルさん、安心して下さい。ミロンガ改は出撃出来ませんが、エステバリスならナデシコが止まったままでもマニュアル発進が可能です』
「マニュアル発進?」
その言葉に疑問を抱くが、それは次のプロスペクターの言葉で解決した。
ようは、射出口から自力で出て行くという事。
……まぁ、確かにそれはマニュアル発進と呼んでもいいよな。
『それに……本当にいざという時になったら、最悪の場合荷物搬入口を破壊して出撃して下さっても結構ですので』
「……いいのか?」
ネルガルとしての利益には過敏な筈のプロスペクターの口から出た言葉とも思えず、聞き返す。
だがそんな俺の問い掛けに対し、プロスペクターは眼鏡を直しながら頷いてくる。
『勿論です。アクセルさんとミロンガ改を守るというのはネルガルの利益に直結しますし、契約の件もあります。そう考えれば、いざとなれば……本当にいざという時になれば、しょうがないかと』
ああ、気楽に言ってるように見えたプロスペクターだったが、かなり無理をしているのがここからでも分かった。
歯を食いしばっているのが、見て分かるし。
ただ、こういう風に自分が損をしてでも契約を守るというプロスペクターの性格は、個人的に好感を抱く。
正直な話、ネルガル云々じゃなくてホワイトスターに欲しいくらいだ。
恐らく……いや、間違いなく政治班辺りで活躍出来るのは間違いない。
『では、皆さん。そういう訳でそろそろ準備を』
『ムネタケ提督達はどうするんですか?』
『返すべきだよ、ユリカ』
『えー、だってナデシコを占領しようとしたんだよ? そう簡単に……』
『そうですね。……では、一応準備はしておいて下さい。最悪ムネタケ提督達を向こうに引き渡すのを交換条件に出来るかもしれませんから』
『プロスペクターさん!?』
ジュンの叫びを聞きながら、取りあえず俺はミロンガ改から降りる。
……さて、血を見る事にならないといいんだが。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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