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Blue Rose

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第一話 植物園でその一

                 Blue Rose
              第一話  植物園で
 青い薔薇、本来は有り得ないものを意味する言葉だった。
 だが今その青い薔薇達を二人で見つつだ、彼は言った。
「奇麗だよね」
「ああ」
 彼の横にいる一八〇位の背の少年が答えた。黒髪を上のところだけ少し長く伸ばしていて黒い眉はしっかりとしていてだ、顔立ちはきりっとしている。黒い瞳の光は澄んでいて口元は引き締まっている。ダークブルーのブレザーとグレーのズボン、赤いネクタイと白のブラウスの制服を着ている。彼の名を木下龍馬という、八条学園高等部普通科の一年生で陸上部に所属している。
 その隣にいる一六〇程の背丈の少年はやや赤がかった茶色の癖がある髪の毛で顔立ちは優しい。穏やかで眉は細く緩やかに下がっている。顔は白く雪の様で唇は小さく紅だ。目の光も優しく華奢な身体つきと相まって女の子の様だ。制服は龍馬と同じである。この少年の名は蓮見優花という、龍馬とは幼稚園の頃からの友人関係にある。今は二人で八条学園の中にある植物園で薔薇、青い薔薇を観ているのだ。
 その薔薇を見つつだ、優花は龍馬に言った。
「青い薔薇ってずっとなかったんだよね」
「そうだよな、赤や白はあってもな」 
 それでもとだ、龍馬も優花に答える。
「青い薔薇はな」
「うん、ずっとなかったんだ」
「そうだよな」
「それでね」
 少女の様に澄んだ奇麗な声でだ、優花は龍馬に言った。
「英語でブルーローズって言葉はね」
「この青い薔薇だよな」
「存在し得ない、有り得ないものってね」
「そうした意味だったんだ」
「そうだったんだ」
 優花は龍馬ににこりと笑って答えた。
「ずっとね。けれどね」
「こうしてなんだな」
「そう、品種改良を経てね」 
 科学的なそれを使ってだ。
「青い薔薇も生まれたんだ」
「そうだよな」
「僕この花好きなんだ」 
 優花は青い薔薇達を見つつ龍馬にこうも話した。
「だからよく観に来るんだ」
「それで俺もか」
「龍馬にも観て欲しくてね」
 それでというのだ。
「案内したんだ」
「そうなんだな」
「龍馬植物園には来ないよね」
「ああ、部活もあるしな」
 陸上部のそれだ、長距離の選手である。
「それでな」
「そっちも忙しいからだよね」
「ああ、ここにはな」
 龍馬は少し苦い顔になって優花に答えた。
「来たのは久し振りだな」
「学校の授業とかで来ることはあってもね」
「そうだよな」
「けれど僕はね」
 優花はというと。
「よく来るんだ」
「子供の頃からだよな」
「花、好きだから」
 それでというのだ。
「よく来てね」
「それでこの青い薔薇もなんだな」
「観ているんだ」
 そうだというのだ。
「今みたいにね」
「そうなんだな」
「有り得ないって言われていたものがね」
「こうして世に出ることもか」
「いいと思うから」
「そう思うと不思議だな」
 龍馬もその青い薔薇を見ながらしみじみとした口調になっていた。 
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