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大空へと

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第四章

「この通りな」
「そうだ、俺達が正しかったんだ」
 二人で言うのだった、満面の笑顔で。
 二人の実験は成功に終わった、それから。
 この実験飛行の時の写真が世に紹介された、世にはまだ二人を否定する声が多く彼等の戦いは続いていた。
 しかしだ、それでもだった。
 中にはだ、驚いてだった。二人に言う者もいた。
「いや、まさかな」
「本当に飛ぶなんてな」
「あの飛行機が」
「飛ぶなんてな」
「嘘じゃなくて」
「飛んだんだな」
「ああ、この通りだ」
「飛んだんだよ、俺達の飛行機が」
 二人も笑顔でだ、その彼等に答えた。
「本当にな」
「俺達が正しかったってことだ」
「そうだな、しかしな」
「鉄が空を飛んだか」
「いや、普通にな」
「エンジンで空を飛ぶか」
「車や船と同じで」
「それが出来たんだな」
「ああ、そうだ」
「見ての通りだよ」
 まさにとだ、二人は確かな笑みで答えたのだった。
「俺達の主張が正しかったな」
「そのことがわかってくれたな」
「実際に飛んだからな」
「そのことは確かだからな」
 実際にとだ、彼等も答えた。
「飛べる、信じていた」
「そして信じることの為に全力を果たした」
「それが出来た」
「本当によかった」
「そうだな、けれどな」
「世間は騒がしいぞ」
 その批判の声がというのだ。
「何かとな」
「色々言っているぞ、今も」
「そうだな、けれど俺達はやった」
「空を飛んだぞ」
 このことは間違いない、事実であることをだ。二人は言うのだった。自分達が造った飛行機で実際に空を飛んだからこそ。
「このことは確かだ」
「紛れもなくな」
「そうだな、誰が何を言ってもな」
「あんた達は空を飛んだ」
「そのことは確かだ」
「紛れもなくな」
 彼等の話を聞いた者達はそのことは認めた、二人は確かに飛行機を空に飛ばし自分達も飛んだということを。
 ライト兄弟の業績は歴史に残っている、飛ぶ前にも飛んでからも多くの者に批判されたことも。しかし彼等は空を飛び飛行機を人類にもたらした。このことは紛れもない事実である。


大空へと   完


                      2015・9・20 
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