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クロンペン

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第三章

「してもどうなるか」
「そんなのイギリス人もしないな」
「あの料理で有名なね」
 美食とは反対の意味でだ。
「あの国でもしないわね」
「ソーセージの宣伝はな」
「ドイツの方が遥かに上よ」
「圧倒的にな」
「あちらが本場だから」
「ニシン料理は」 
 ホセは難しい顔でこれを話に出した。
「どうかっていうとな」
「地味ね」
「ああ、どの料理もな」
「地味よね、本当に」
「オランダ料理は何か」
「食べられればいいかしら」 
 クリスティーネは眉を曇らせて言った。
「何しろ台所汚すの嫌だから外で食べる国だからね」
「俺の母親がそうだよ」
「うちもよ」
「そんなのだとな」
 到底というのだった。
「料理がよくなる筈もないな」
「そうよね」
「これじゃあ本当に普通に宣伝してもな」
「売れる筈がないから」
 会社の収益に貢献しないというのだ。
「私達も評価されないわよ」
「絶対にな」
「だからね」
 また言うクリスティーネだった。
「ここはもうね」
「前に言ったがな」
「オランダ全体の宣伝ね」
「普通に出したら愛想も何もない料理でもな」
 彼等から見たオランダ料理のことに他ならない。
「演出に凝って出したらな」
「美味しく見えるわね」
「ああ、こうなったらネットで流すCMも広告も街での街頭宣伝もな」
 そうしたこと全てでというのだ。
「オランダを徹底的に出すか」
「我が国をね」
「出していくか」
 まさにというのだ。
「ここはな」
「それが一番ね」
「水車にチューリップに運河にな」
 やはり行き着く先はこれだった。
「それに服だな」
「服ね」
「民族衣装を出すか」 
 オランダのそれをというのだ。
「目玉焼きもニシンも水車や運河をバックに民族衣装の女の子と一緒に出すとな」
「美味しく見えるわね」
「フランス料理も貴族が食べてると余計に美味く見える」
 ロココ時代の派手な衣装を着てだ。
「だからな」
「ここはね」
「ああ、オランダでいこうな」
「それじゃあね」
 クリスティーネはホセの言葉に頷いてだ、そして。
 実際に二人でオランダの水車や風車、それにチューリップや運河オランダの前にある海を撮影しCGで複製したりしてだった。
 宣伝に雇ったモデルの少女達にだ、オランダの民族衣装を出して言った。 
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