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転生者の珍妙な冒険

作者:yasao
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この世界で1番、負けられない戦い

闘技場には怒号にも似た大歓声が響いていた。
歓声を一身に浴びているのは、武舞台に立っている2人。

『えぇ~、私のアナウンスすらもかき消される程の大歓声です!! それもその筈ッ!! いよいよ武闘大会も決勝戦ッ!! しかも、今大会は決勝進出選手両名が初出場という、前代未聞の歴史的展開ですッ!!!』
「『無名騎士』のスミス選手は、1回戦で腕甲を使って攻撃を受けた以外は相手にカスリもさせず、ダメージ自体で言うと0でここまで来てます。凄いと言えば凄いのですが、まぁ彼はSランクの二つ名持ち冒険者ですからやろうと思えば出来るでしょう。私が本当に驚いたのはもう1人のヨシュア選手ですね。A+の冒険者ではあるようですが二つ名も持っていない彼が、前大会の優勝者と準優勝者を下してますからね~。」
『全くですッ!! まぁ、双方ともに凄まじい実力者なのは確かッ!! さぞや私達の目を楽しませてくれることでしょう!! それでは、レディィィィィィィ・・・・・ファイトォォォォ!!!!!』

司会者たちの声を聞きながら、夜集阿は1つのことを思い出していた。
それは、タルタスを下した後、選手控え室での出来事だ。























「悪かったな、大丈夫かジーク?」
「阿呆、腕千切られて大丈夫なわけあるか・・・。」
ベッドに横たわってそう言うジークの両腕は、殆ど千切れていた。
武舞台で致命傷を負って医務室へ戻っても、治るのは命に関わる傷だけ。命に別状の無い腕は治っていなかった。
「あぁ~・・・、まぁ、あぁでもしないと神砂嵐は抜けられなかっただろうしな。」
「分かってるよ、俺の作戦負けなんだし、恨んでも怒ってもいねぇ。」
そう言ってフッと笑ったジークは、一転して心配そうな表情を夜集阿に見せた。
「それより大丈夫かよ。お前、さっきのタルタスとの戦いで片手無くしてるじゃねぇか。」
その視線の先にあるのは、先ほどの戦いで肘から先を失った夜集阿の腕。決勝戦で待ち構える相手と戦うには、使えない片腕はあまりにも大きいハンデだ。
「ん~・・・・、まぁ「大丈夫ですよ。」は?」
頭を掻いて苦笑しながら返答しようとした夜集阿の声を遮って聞こえてきた、女の声。
それも、2年経っても忘れることのない懐かしい声だった。
「っ!?」
思わず振り返った夜集阿の視線の先にいたのは、

鎧姿の聖騎士(パラディン)、決勝戦の対戦相手、ボブ・スミスだった。

しかし、彼から聞こえてきた声は、間違いなく・・・・・・。
「お前、なのか・・・・やっぱり・・・。」
「・・・・・・・お久しぶりです、セイトさん。」
思わずといったふうに漏れる夜集阿の声に、そう答えて兜を外した、そいつは、

サリナ・テッド。

かつて旅をしていた仲間の、最後の1人。
「懐かしいですし、昔話もしたいですけど、まずは治療ですね。」
ようやく夜集阿の前に姿を現した彼女は、何か言おうとする夜集阿を遮って、夜集阿の腕と、ジークの両腕を取り出した。
「―――――――――――――。」
彼女が何かを呟いたかと思うと、腕は持ち主の元へと飛んでいき、ピッタリくっついた。
「なっ・・・・。」
「やっぱり、持ってたか・・・・。」
驚いた風のジークと違い、苦々しげに顔を歪めて呟く夜集阿。
そんな彼の姿に寂しげに笑みを浮かべ、サリナは背を向けて歩き去っていった。

「すいません、あなたのお役に立ちたくて強くなったんです・・・・。ですが、『あの方』に、あなたを・・・・殺せと・・・・。」

衝撃的な一言を、辛そうに呟きながら・・・・。






















(サリナが言った『あの方』ってのは確実にディノのことだ、アイツの持ってる『あの力』はディノの『アレ』が無かったら手に入らない。やっぱりサリナはディノの配下になっていいように利用されてたか。)
司会者の声を聞き、サリナと向き合いながら、俺は控え室でのことを思い出していた。
サリナは辛そうだった、あんな顔はしてほしくない。
なら、俺に何が出来る?
説得は無理だ、曲がりなりにも殺しに来てる以上、下手な隙を見せたら俺が殺される。
(なら、方法は1つだけか・・・。)
俺が頭の中で方針を立て終わったその時、司会者の開戦の合図が響く。

『レディィィィィィィィ・・・・・ファイトォォォォォ「世界は止まる(スタープラチナ・ザ・ワールド)!!!」

その声を聞くと同時に時を止め、サリナに向かって一気に駆け寄る。
言葉が無理そうなら、まずはこの戦いに勝って実力を見せ、安心させる。
その後で説得し、ディノのもとから俺の所へと戻ってこさせたら良い。
「どうせコレだけじゃあ決まらねぇだろ、そう多くは精神力を削れねぇし、停止解除する! 同時に仕掛けろ星の白金(スタープラチナ)!!」
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラアァ!!!!』
「・・・・・・・ッ!!?」
キャラ作り(と言うか正体をバラさないため)か知らんが、全く声は上げなかったものの、肉の芽で操られてた頃の承太郎にやられた花京院のように体中から血を噴き出しながら上空へ打ち上げられるサリナ。
「それだけじゃ終わらん、まずは身バレしな。クラッカーボレイブーメラン!!!」
その隙を狙って投げた鋼鉄のボレイが、盾を取り出す間も無くサリナの兜を砕き、素顔を晒す。
『こ、これはあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 重大事件です!! 今まで決して晒される事のなかったボブ・スミス選手の兜の下が、今ッ、白日のもとにさらけ出されましたあぁぁぁぁ!!!!』
「あれは女性ですねぇ。まさかあそこまでの実力者が女性とは、流石に驚きました。」
解説者、ホントに驚いてる?
まぁ、兎も角、俺が気にするのは感情が見事に表に出ない解説者ではなく、落ちてきながら目に涙をためて睨んでくるサリナだな。
「・・・・いい目になったな、ちゃんと戦う目だ。」
「煩いッ・・・・許さないッ・・・!!」
「戦う間はそのくらいの感情で上等、ほらさっさと傷を癒せ、いくぞ!」
サリナは元々、魔法適性は『回復』だった。それにさっき俺に見せたあの能力、アレに目覚める程なら絶対にもう回復魔法は覚えてる。
そう踏んで跳躍し、星の白金(スタープラチナ)で攻撃しようとする俺を睨みながら、サリナは自分の傷を一瞬で全快、とまではいかないにしてもだいぶ回復させた。
「やっぱり回復魔法は持ってたか! だが攻撃は続くぞオォォ『ォォォラアァァァァァァ!!!!』」
俺の声に被せるようにして、星の白金(スタープラチナ)が雄叫びとともに拳を叩き込む。
その拳がサリナの鳩尾にめり込む前に、
「調子に・・・乗るなっ!!」
サリナの体から出てきた『ソレ』が拳をぶつけて止める。
「・・・・・やはり、持ってたか。」
「えぇ・・・・、このまま叩き落とします。」
そしてサリナは、『ソレ』の名前を叫ぶ。

「クレイジーダイアモンド!!!!」
それは、星の白金(スタープラチナ)以上のラッシュ力と、物質を修復する能力を持った第四部JOJO東方仗助のスタンド。
回復の魔法適性を持つサリナらしいスタンドだ。
「だが、ただで叩き落とされる程俺も優しくないんでね。星の白金(スタープラチナ)!!!」









『ドララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララアァァァァ!!!!』
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラアァァァァァァ!!!!!』























それは、凄まじい程のラッシュの応酬だった。
ほぼ互角のパワーがぶつかり、その衝撃は観客席に座っている人々が座席にしがみつかなければ吹き飛んでしまいそうになる程のものとなった。
だが、それも終わる。
クレイジーダイアモンドの拳が、星の白金(スタープラチナ)のそれを弾いた。
そしてそのまま、ガラ空きの胴体に拳を見舞う。
「ぐはっ・・・・・、す、星の白金(スタープラチナ)アァ!!?」
よほど信じられなかったのか、自身のスタンドの名を驚愕に顔を染めながら叫び、夜集阿はそのまま地面に向かって吹き飛んで行く。
「不思議・・・・ですか? クレイジーダイアモンドは、本体が怒ればそのパワーも速度も増す。スタンドを複数使用出来るあなたならもしかしたら知っていると思っていたのですが・・・・。」
そう呟くサリナの目下で、夜集阿は武舞台に叩きつけられ、上空まで舞う大量の砂埃に紛れ、消えた・・・・・。

『す、凄まじい威力です!!! 地面に叩きつけられたヨシュア選手の衝撃で、武舞台が砕け、蜘蛛の巣状にヒビが入っております!!!』
「砂埃も凄いですからね~、流石のヨシュア選手でももう再起不能かも知れませんね。最初にタルタス選手にも使った超高速攻撃でスミス選手を宙に打ち上げた時はもしや、と思いましたが、やはり彼女には勝てませんでしたか。」

司会者と解説者の声を聞きながら、サリナは腰につけた剣を抜く。
普段使っている、ミスリルで作られた名剣、ではなく初めて彼に会った時に持っていた、いたって普通のショートソード。
(これで、あの人にトドメをさして、それで終わりにしよう。彼の役に立ちたかった何て願いは、この刃に捨てよう。)
あの方のもとを離れるなど、自分の実力では不可能なのだから、と胸中で呟き、そのまま空を蹴って攻撃に移ろうとしたサリナの肩を何かが貫いた。
「ぐっ・・・!?」
激痛に思わず攻撃を中断して着地し、肩を見る。
己の肩に刺さっているのは、まるでレイピアの刀身のような銀の串だった。
「これは・・・・・、ッ!?」
ハッとなり、土煙の中心に目を向ける。
サリナの耳に、声が聞こえてきた。


















「おい、俺を今ので仕留めた気になってんなよ?」 
 

 
後書き
夜集阿(ヨシュア) 聖斗(セイト):『格闘家』『奇術師』:ランクA+
・波紋の呼吸法【レベル2】
    波紋ズームパンチ
    波紋疾走(オーバードライブ)
    波紋カッター
    仙道・波紋疾走(波紋オーバードライブ)
    銀色の波紋疾走(メタルシルバーオーバードライブ)
    生命磁気の波紋疾走(オーバードライブ)
    山吹色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)
    稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック)
    クラッカーボレイ
    波紋肘支疾走(リーバッフオーバードライブ)
    我流・冷酷な怒りの波紋疾走(ディープブルーアングリーオーバードライブ)
    深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)

・スタンド「タロット大アルカナ」【レベル2】【現在固定:星の白金(スタープラチナ)
    0番『愚者』の暗示する「愚者(ザ・フール)
    1番『魔術師』の暗示する「魔術師の赤(マジシャンズレッド)
    4番『皇帝』の暗示する「皇帝(エンペラー)
    6番『恋人』の暗示する「恋人(ラヴァーズ)
    7番『戦車』の暗示する「銀の戦車(シルバーチャリオッツ)
    8番『正義』の暗示する「正義(ジャスティス)
    9番『隠者』の暗示する「隠者の紫(ハーミットパープル)
    10番『運命の車輪』の暗示する「運命の車輪(ホイール・オブ・フォーチュン)
    15番『悪魔』の暗示する「悪魔(エボニーデビル)
    17番『星』の暗示する「星の白金(スタープラチナ)
    21番『世界』の暗示する「世界(ザ・ワールド)

レオパルド・ジーク(神風(カミカゼ) 零弥(レイヤ)):『格闘家』:ランクS-
・神砂嵐の流法(モード)【レベルMAX】
   真空竜巻
   闘技・神砂嵐(かみずなあらし)
漢武夷(カムイ)流柔術【初期レベルMAX】
   神砂の拳

セーナ・フォクス:『格闘家』:ランクB
・イヌ科の嗅覚【初期レベルMAX】
・イヌ科の聴覚【初期レベルMAX】
・波紋の呼吸法

ネーナ・チュミン:『アーチャー』『補助魔術師』:ランクA
・魔導弓【レベル2】
  回復型
  威力型
  速度型
 (上から順に使用頻度の高さ順)
・補助魔法
  ヒール(極小回復)
  ホイミヒール(小回復)
  ケンロ(防御小アップ)
  ムッキ(攻撃力小アップ) 
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