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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第28話 アルエットが往く

 
前書き
レジスタンスのみんなに味覚を与えてみました

 

 
ルインは時折、エックスと連絡を取り合いながら体が鈍らないようにゼロとトレーニングルームでトレーニングをする。

時折、レジスタンスベースに近づいてくるネオ・アルカディアのメカニロイドを迎撃するなど、比較的穏やかな日常を過ごしていた。

「今日はちょっと疲れたな…飴でも食べよ」

この前、ネオ・アルカディアの居住区で購入した飴玉の入った容器に手を突っ込み、飴玉を包んでいるセロハンを剥がして、中身の飴玉を口の中に放り込んだ。

「あ、ミルク味だ。ラッキー♪」

飴玉の中でも一番好んでいる味が当たり、満面の笑みを浮かべるルイン。

因みにゼロはレモン、シエルは苺が好きらしい。

口の中で飴玉を転がしていると、少し解れたぬいぐるみを持ったアルエットが部屋に入ってきた。

「ルインお姉ちゃん、この子直して……何食べてるの?」

「ん?ああ、アルエットちゃん。飴玉だよ飴玉。」

「飴玉?エネルゲン水晶みたいなお菓子?」

「まあ、見た目は微妙に似てるよね。もしかしてアルエットちゃん…飴を食べたいの?」

「うん!」

ルインの問いに満面の笑顔で返すアルエット。

アルエットに飴玉を食べさせてやりたいのは山々なのだが…。

「ねえ、アルエットちゃん。アルエットちゃんには味覚と食べ物の分解機能がないから食べられないでしょ?」

今のレプリロイドは味覚と食べ物の分解機能を失っているので、もしアルエットに食べさせたりしたら、もしかしたら何か異常が起きるのではないかと思ってしまう。

もしアルエットに何かあったら彼女を妹のように可愛がっているシエルが烈火の如く怒るだろう。

そう考えたらかなり恐ろしく感じたルインはアルエットに絶対に止めるように言おうとした時、アルエットが口を開いた。

「私ね、シエルお姉ちゃんに食べ物を食べられるようにしてもらったんだよ。」

「へ?そうなの?」

「うん、味だって分かるんだから!!」

そう言えば最近はレジスタンスのみんながシエルの所に行くのをよく見かけたが、そういうことだったのか。

「最近エネルギーの研究も完成してきたから余裕が出来たんだね。それじゃあ、はいこれ」

セロハンを剥がして、アルエットに差し出す。

差し出した飴玉は苺味で、アルエットは瞳を輝かせながら初めての飴玉を口に運んだ。

飴玉を口の中で転がしながら、満面の笑みを浮かべる。

「これが“甘い”って言うんだ~。」

「そうだよ、ところでアルエットちゃんは何しに私の部屋に来たの?」

「あ、そうだった…ルインお姉ちゃん、この子少し解れちゃったの。直してくれる?シエルお姉ちゃん…研究で忙しくて…」

「ああ、なるほどね…これくらいなら直ぐに直せるよ。ちょーっと待ってね……はい、完了」

針と糸を取り出して解れた部分を縫っていき、すぐにぬいぐるみを直してやった。

「ありがとうルインお姉ちゃん…飴玉美味しいね!」

初めて食べる甘味にアルエットはご満悦のようで、ルインは微笑みながら直したぬいぐるみと一緒にアルエットに飴玉をいくつか持たせてやる。

「はい。今日はこれだけ。また明日おいでアルエットちゃん」

「うん!あ、そうだ。ゼロとシエルお姉ちゃんにもお菓子貰いに行こう!!」

「うん、転ばないようにねー」

ルインの部屋を飛び出して次に向かうのはゼロとシエルのいる部屋である。

シエルの部屋に繋がる通路を走ってシエルの部屋に入ると、ゼロとシエルはコーヒーを飲んでいた。

「あら?アルエット。どうしたの?それにその飴玉…」

「ルインお姉ちゃんに貰ったの。ねえ、ゼロ、シエルお姉ちゃん。お菓子って甘いんだね!ゼロとお姉ちゃんも飴玉頂戴!!」

キラキラと瞳を輝かせながらゼロとシエルにも飴玉を要求するアルエットだが、それを聞いたシエルは困り顔だ。

「ごめんなさいアルエット。私、飴玉は持ってないの…ゼロは?」

「持っていない。飴玉はルインが管理しているからな。飴玉が欲しいならルインにまた貰いにいけばいい」

「今日の分はこれだけだって…」

シュンとなるアルエットに何かないかとシエルが辺りを見回した。

ゼロはふと、自分の私物を置いてある棚に目を遣り、棚から一枚の銀紙に包まれた板状の物をアルエットに差し出す。

「アルエット、飴玉の代わりにこれをやろう」

「何これ?」

銀紙に包まれたそれを見つめるアルエットに、ゼロがそれの正体を教える。

「チョコレートと言う甘い菓子だ。エネルギー補給に優れているから購入したんだが、一枚お前にやろう」

食べ物はカロリーが高ければ高い程にレプリロイドの稼働エネルギーになるために購入したのだ。

ゼロは銀紙を剥がすと、アルエットに差し出す。

「ありがとうゼロ!!」

貰ったチョコレートを頬張るアルエット。

ぬいぐるみは汚れたら取れなくなるためゼロが預かり、シエルも微笑ましそうにアルエットを見ながら、棚からクッキーを取り出した。

「アルエット。一緒に食べましょう?あ、ルインも呼んで来ないと」

「あ、私が行ってくる!!」

「その前に口を拭けアルエット。チョコレートが付いているぞ」

「あら、本当だわ」

シエルが屈んでハンカチでアルエットの口元を拭ってやる。

ゼロは預かっていたぬいぐるみをアルエットに渡した。

「シエルお姉ちゃんとゼロって、何だか“夫婦”みたいだね」

「えっ!?」

「夫婦…?」

アルエットがぬいぐるみを受け取りながら衝撃的な発言をしたためにシエルを動揺させた。

「うん。みんなそう言ってるよ。エックスとルインお姉ちゃんが夫婦で四天王が二人の子供なら、私はゼロとシエルお姉ちゃんの子供みたいだって言ってたよ」

その発言にシエルの顔が徐々に真っ赤になっていく。

「夫婦と言うのは確か、結婚という儀式をした男女の関係だったはずだが…よく分からんな」

「私もよく分からないの…。だから、今からルインお姉ちゃんに聞いてくるね」

「ルインなら分かるかもしれんな」

「ええ!?そ、その…ゼロもアルエットもそんなに気にしなくてもいいのよ!?」

赤面しながら叫ぶシエルにゼロとアルエットは疑問符を浮かべた。

因みにルインはアルエット達から余計なことを聞かれないようにするためにシエルが呼びに行った。 
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