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機動戦士ガンダム0091宇宙の念

作者:むらたく
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宇宙編
邂逅編
  第20話 専用機

「ふう…」
狭苦しいコックピットを抜けて、MSデッキへ飛び出した。
「お疲れさん!ゆっくり休んでこい!と言いたいところだが、艦長がお呼びだぜ」
はぁ…と小さくため息を吐く。
グラフィーを制圧して約4週間といったところか。
戦いはまだ続くのか。
「只今戻りました」
グラン大尉の元、三人が艦長に報告する。
「本当にご苦労だった。途中のアクシデントは完全にこちらのミスだ、敵の部隊と他の残党軍の動向を把握できていなかった。すまないな」
艦長のこういう人思いなところこそが、グラフィー軍の最高指導者の由縁かもしれない。
「いえ、とんでもありません。ただ、今回の作戦で敵の注意力が高まったのは確かです。そろそろ…」
「ああ、わかっているよ。月攻略、だな」
月攻略
シャア総帥より命じられた、連邦軍に対する最終任務。
これが完了すれば、シャア総帥の艦隊と合流し、正式に連邦政府に宣戦布告するらしい。
「正直、月攻略など、到底この戦力では無理だ。しかし」
「それは正面からの真っ向勝負の話だ。やりようはある」
「やりよう、でありますか?」
「そうだ。奴らとて、万全な状態で迎え撃ってくるわけではない」
「もう既にシャア総帥の艦隊支援も決定した、作戦決行は3日後の予定だ」
「3日…」
「それまでは体を休めてくれたまえ」
「はっ」
綺麗に揃った敬礼が、重苦しい血の匂いのする戦場であることを示す。
「それと、フーバー少尉。MSデッキの整備長が呼んでいたぞ」
またか。
「了解しました」
MSデッキへと続くキャットウォークの途中で、ふとあのコロニーで見つけた物を思い出した。
古い懐中時計だ、ネオン・スタフィと刻まれている。
「ふーん、スタフィさんか…」
長い時の流れを過ごしてきたであろうその古めかしい時計は、見るものをどこか懐かしい気持ちにさせる。
同時にどこか寂しい雰囲気も漂わせているのは何故か。
「よう!フーバー!」
暗い気持ちなど吹き飛ばす勢いの整備長。
「整備長、お話は…」
「ああ、こいつを見てみろ」
「これは…」
そこには、主人の帰りを待ち佇む、見慣れながらもどこか違和感を感じる愛機の姿があった。
「どこか違いますね」
「コックピットを見ればわかるさ」
何度も繰り返し握った操縦桿の側に、初見のレバーが2本見えた。
「このレバーは?」
「それは後部ガトリングの照準レバーと、サイコミュの切り替えレバーだ」
ガトリング?サイコミュ?
「機体の後部にガトリングを装備したんだ。威力は大したことないが、牽制程度にはなる」
「そしてこれがサイコミュの切り替えレバー。ハンマハンマ用のをなんとか下半身に収めたんだ。このスイッチで安全装置を解除して、レバーを引けばサイコミュでの管制に移行し、自在に操ることが出来るわけだ」
「待ってください、サイコミュはニュータイプじゃなきゃ扱えませんよね?俺はニュータイプなんかじゃあ…」
「そうかな?フーバー少尉からは、何か不思議な力を感じる」
不思議な力か…
戦場でこれ程兵器という物からかけ離れた言葉を聞くのも珍しい。
いや、ひょっとすると一番近いのかもしれない。
「取り敢えず、サイコミュのテストをするから、ノーマルスーツを着てくれ」
「わかりました」
一層刃を鋭くした剣は、主人の帰還を目にしても、なんら変わらない。機械に意思は無いのだから… 
 

 
後書き
今回は少し長め?でしたかね。
これくらい書けるよう頑張っていますが大変です(>人<)
次回に続きます! 
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