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ヴァンパイア騎士【黎明の光】

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非日常的な日常
  4

反応がよほど面白いのか、理事長は椅子に座ったまま高笑いをして見せた。
その姿は重役らしいと言えば重役らしい――けれど、澪の逆鱗に触れる行為のようで、澪は殺意を込めて棋聖を睨み付ける。

一頻り笑い転げてから、棋聖は咳払いをし、椅子に深々と座り直した。やはり高級な逸品という事もあり、非常に座り心地が良い。この椅子なら何時間座っていても疲れないな、と思った。



「で、何が引っ掛かってるのかな?」
「………」


確証が無いのか、或いは言いたくないだけなのか。
澪は基本的に感情の起伏が浅いため、雰囲気から判別するのは難しい。
棋聖は彼が言いたくなるまで待ってみようと思ったが、澪は意外にも早く口を割った。



「……あいつに」
「ん?」
「姫羅に言わなくて良いんですか。夜間部の正体」



――夜間部の生徒は、全員が吸血鬼。
容姿端麗で頭脳明晰。身体能力も非常に高く、正真正銘、文武両刀の集団。
貴族階級の吸血鬼は特殊な能力をも駆使する。炎や氷、樹木を操ったり時には幻影で惑わせたり、或いは雷などの天候を自分のお手の物にしてみたり――。
そんな凶悪生物を相手にするのは、生身の人間では到底無理だろう。澪はそう考えていた。

その証拠に、昨日まんまと彼女は奴らからの襲撃を受けている。



「誤魔化してられるのも時間の問題です」



核心を貫く言葉。
澪の静かな声が響いたきり、しん、と理事長室は静まり返る。

その意見が至極まともだという意思は持ち合わせているのだろう。黒主学園の最高責任者、黒主棋聖は小さく頷いた。 
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