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懐かしい校舎

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1部分:第一章


第一章

                     懐かしい校舎
「御前変わったなあ」
「御前こそな」
 学校で再会してだ。皆それぞれ言うのだった。
「奇麗になったじゃない」
「そうかしら」
「髪の毛薄くなったんじゃないのか?」
「前と変わらないよ」
 いい変わり方もあればそうではないものもあった。それはまさにそれぞれであった。
「まあ何だよな。三十にもなったらな」
「やっぱり皆変わるよな」
「そうよね、それはね」
「本当だよな」
 今彼等は校門のところにいた。瓦のかなり独特な建物が目の前にある。そしてその入り口では紫やピンクや黄色の小さな花々が咲き誇っている。
「いつも花があったけれど」
「今も変わりないよな」
「そうよね」
 その花を見ても言うのであった。
「この花、高校の時はあまり意識しなかったけれど」
「普通に見てたよね」
「けれど今はね」
「違うよね」
 皆笑顔で話しながら学校の中に入る。まずは校舎の中に入る。
「土足で入られるのがいいんだよな」
「下駄箱ない学校って高校じゃ珍しいし」
「そうそう、それが楽でね」
 そんな話をしながら先に進む。廊下には誰もいない。黒い廊下の床に白い壁が対象的だ。校舎はかなり古い雰囲気でそこには歴史が感じられる。
「ここ、よく歩いたよな」
「っていうか毎日だっただろ」
「登校したらすぐに入ってね」
「毎日ここから教室に入って」
「それで教室まで入ってね」
 皆左の門を曲がった。右側に教室が続く。ガラスと鉄の扉が見える。左手は窓になっていてそこから光が差し込みそこから小さな中庭が見えている。
「そうそう、ここでよくたべったよ」
「皆で壁にもたれかかって話とかしたよな」
「だよね」
 そんな話もした。そして右手に降りる階段も見ながら先に進んでだ。ある教室に入った。
 そこには机が並んでいる。当然教壇もある。そこに入ってまた言うのであった。
「本当に変わらないな」
「だよなあ、っていうかあの時のまま?」
「全然変わらないし」
 皆また話す。
「こうして久し振りに集まって来たら本当に全然変わらないし」
「ある意味凄いっていうかな」
「懐かしくもあるし」
「嬉しいっていうのかしら」
「やっぱりね」
「こういうのって」
「まあとにかくな」
 そんな話をしながらだ。教室にそれぞれ座る。そうして話をする。
「先生呼んだ?」
「一応ね」
 女性陣の間で話をする。
「呼んだけれど」
「来るかな」
「どうかしら」
 その辺りはかなり曖昧かるあやふやなものだった。しかしそれでも彼女達はそれぞれの席に座ってだ。そのうえであれこれ話をはじめた。
 そしてだ。さらにこんなことを話すのだった。
「それにしても今日集めたの誰だった?」
「ああ、俺」
 一人のオールバックの背の高い男が言った。
「俺が考えたんだ」
「あれ、脇坂だったのか」
「御前だったのかよ」
「たまにはこういうのもどうかなって考えたんだよ」
 だからだというのだ。
 
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