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IS〜もしもの世界

作者:にゃーす
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39話

ー次の日の月曜ー


「・・・なあ泰人」

「ん?なんだ?」

夕食も終わり、それぞれ寮へ帰るのだが一夏は異常に気づいた。

「なんで箒らが付いて来るんだ?」

「・・・あーそれは一夏に心配をかけまいとだな」

「いや元気じゃん」

「あれだろ、警備みたいな」

「いや流石にここなら平気だろ・・・」

そんな問答を繰り返していたが結局一夏が折れたので部屋にいつもの5人集がぞろぞろと入っていく。俺はパス。まだ死にたくはないからである。
そうして一夏の無事を祈りつつ、隣の喧騒を聞きながら部屋に入ると

「・・・ふぁへ?おふぁえりー(あれ?おかえりー)」

「・・・なにしてんすか楯無さん」

そこには俺のベッドでくつろいでいる楯無さんの姿があった。しかも棒アイス食べながら。

「・・・太りますよ(ボソッ」

「む!そんなこと言う子は〜こうだ!」

と地獄耳で拾い上げた俺の悪口を聞き取った楯無さんは更識秘伝の技をかけようと迫る。だが同じ手に何回も引っかかるほど俺も馬鹿ではない。

「おっと、捕まえようとして手の動きが緩慢ですよ?」

「くっ!・・・大人しく捕まりな・さ・い!」

捕まえることを止めた楯無さんは俺を蹴り抜くように腹にライダーキックをお見舞いしてきた。

「ふぁ⁉︎ちょっそれはシャレに・・・げふぅ⁉︎」

見事命中した俺は紙切れのように洗濯物に突っ込む。助かった、衣類がクッションになってくれたので無傷。吐きそうだが。

「あっ!ごめんごめん、大丈夫?」

「ええ・・なんとか」

苦笑しながら手を貸してくれる楯無さんだが悪ふざけもほどほどにしてほしいものだ。そんなことを思いつつベッドで休みを取ろうとして寝るのだがいつのまにか覆い被さるように乗ってきたので目を開ける。

「・・・何してるんですか?」

「こんな美女を放りっぱなしで眠るなんて酷いなぁ?」

と猫撫で声でゆっくりと首筋を撫でてくる。
やばい。そう思い、抜け出そうと体を捻り抜け出そうとするが動かない。PICか!

「・・・楯無さん。無許可でIS使うのはどうなんですかね?」

「むふん。バレなきゃやってないのと変わらないのと同じなの、知ってる?」

と小悪魔を連想する顔で笑う。仕方ない。

「・・・破っ!」

「キャッ!」

ISの身体強化に少しだけ写輪眼の幻術を使い、重心を逸らした瞬間引き込む形でベッドに押し倒す。

「ふうっ。あんまり俺を怒らせ・・・っ!」

得意顔で楯無さんのほうを見ると、頬を赤らめ、目をそらす姿に思わず見惚れてしまった。
すぐに手を離し距離を置き謝る。

「・・・すみませんやりすぎました」

「・・・・・」

無言で着替える音を背中で聞く。やばい、少しやり過ぎたか。
そうして楯無さんが出て行くのを待つと着替え終わったようなので再度謝ろうと立つと背中に楯無さんが抱きついてきた。

「っ!・・・楯無さん?」

「まったく、他の娘達の事は敏感なクセしてなんで自分の事はこんなに鈍感なのよ・・・」

「え?あ、その」

か細い声で何を言っていたのか聞き取れず、あたふたしているとスッと手を離し、

「ふふっ。泰人くん照れてるなんてかわいーなーもー」

そう笑いかける顔はしてやったりという表情で、

「まったく。仕方ないんですから」

とため息を吐くことしか、今の俺にはできなかった。


















ー後日ー




俺は今苦しい。なんでと言われたらこの惨状を見ればわからない奴はいないだろう。見た目は取り繕っているが内心もう帰りたい気持ちで一杯である。何せ針のむしろというか、周りからの視線が痛すぎるからである。
ここは校舎の2階、1年4組の教室俺にはまさに登竜門にしか見えないが意を決して入る。

「すいません更「「「「よ、四組に御用でしょうか⁉︎」」」」」

用件を言う前に用件を言えと言われる。なんだこれ。

「あ、更識簪さんいる?」

「「「「え・・・・」」」」

見事なハモりようである。そして女子の壁がその子のまで開けたので声をかける。

「こんにちは更識さん。隣、いい?」

「・・・・」

無言でキーボードを打っているがそのまま隣に座る。

「初めまして。枢木泰人です」

「・・・知ってる」

お、知ってくれてるならラッキーだ。それならいきなり言ってもー


「お姉ちゃんを倒した人・・・でしょ?」


ビキッ。確かにそんな音が教室中に響いた気がする。周りの生徒達はざわざわし始めるクラスの人たち。焦る俺。

「え、えーっとね遊びでね?ハンデ付きでたまたま勝てただけなんだよ!」

なんとか取り繕うように絞り出した言葉はなんとか受け入れてくれたようだがそれでも勝ったんだ・・・みたいな空気が流れているが。

「・・・用件は?」

「おお、助かる。今度のタッグマッチ、俺と組んでくれないか?」

「イヤ・・・」

即答。流石に考えもしないで拒否されるとは思わなかった。

「そんなこと言わずに、頼むよ」

「・・・イヤよ。それにあなた、組む相手には・・困っていないでしょ?」

「ふふふ・・・」

「・・・なに?」

不敵に笑う俺を訝しむように見つめる更識さん。

「俺、実は友達いなくてさ、他の娘達も別の相手探してたりで居ないんだよ。本当だよ?」

「・・・そう、なの?・・でも、あなたなら頼めば誰にでも組んで貰えそうだけど」

「うーんそうなのかなぁ。あ、そろそろ時間だ。また来るから承諾考えといてね〜」

「あ・・・」

と直ぐに教室に戻る俺を見つめながら、

「・・・変な人」

とまたキーボードを叩き始めるのだった。






「うーん、別に暗い娘では無かったな。やっぱり楯無さん達って仲悪いのか」

そう独り言を呟きつつ考える。まずなんでこんなことをしているかというと、昨日楯無さんから頼みごとがあって、


「お願い!簪ちゃんと組んでください!」

だった。まあ簡単にだが説明を受けてタッグを組んでほしいとのこと。まあ建前は生徒会長に恩を売れる程度で引き受けたが、興味もあったのが本音でもある。まあ他にも珍しい楯無さんからのお願いってのもあるが。















ー別の日ー



「多分ここら辺にいると思うんだがなー・・・っと発見。・・ん?」

アリーナに隣接されているIS整備室で更識さんは難しい顔でディスプレイを睨んでいた。その姿は本当に頑張っていて健気さも感じられるが、俺からは同時に何かに囚われて何かを恐れているような気がした。そうこう考えているうちに、片付けてこっちに来たので声をかける。

「お疲れさん。どう?ISの調子は?」

「・・・・別に」

「そっか。それで考えてくれた?タッグ組んでくれるか」

「イヤ・・・」

「大体、どうして私と組みたいの?」

「・・・そうだね。立ち話もなんだしどっか座ろうか。あ、飲み物ついでに買ってくるから席に座っといてね」

となんとか話をする機会が出来たので誘導する。

「お待たせ。りんごかぶどう、どっちがいい?」

「・・・ぶどう」

「了解。はい、どうぞ」

素直にぶどうジュースを受け取る更識さん。にしてもなんでこんなに怯えられているんだろう?

「・・・それで、話って?」

「ん、ok。単刀直入に言うと、きっかけは楯無さんからかな」

「っ!」

楯無さんと聞いた瞬間、席を立ちそうになったので宥める。

「はいはい。落ち着いて。それで最初は断ろうとしてたんだよ。だっていきなり知らない子と組めって言われてもね」

「・・・・」

「それでね、断ろうとしたら先輩が暗い娘だけどって言ってね。それに気になってこうして声をかけたってわけ。」

「ああ、でもタッグ組んでくれるのはありがたい。本当に相手いないからね」

「・・・」

彼女はそれで?と言うと目で見つめるので、もう少し本音を言う。

「そうだなあ。結局俺も君がどんな子か分からないからこうして声をかけているわけだけだけど、さっきの整備室での姿見るとなおさらタッグ組みたいなと思ってさ」

こうペラペラ話すと信用してくれなさそうなのでこれ位で打ち切る。

「話に付き合ってくれてありがとう。それじゃ受けてくれること考えといてね」

と席を立ち離れようとすると、

「・・・まって」

と更識さんが俺を引き止めた。

「どうしたの?」

「簪・・・」

「⁇」

「更識って呼ばれるよりかは名前のほうが・・・いい」

「じゃあこれからは簪さんて呼ぶよ。それじゃまた明日」

「う、ん」

どこかぎこちなく返事をしたが悪い印象は持たれ無かったのでもう少しはなしをしようと寮に向かいつつ考えるのだった。 
 

 
後書き
今年最後かな?
そしてはやいですが、あけましておめでとうございます!
そしてこの作品共々よろしくお願いしますm(_ _)m 
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