息抜きも

第七章

「いつも二人一緒にいること」
「一緒にですか」
「僕達二人で」
「それが条件だよ」
　このことをだ。再び話したのだった。
「それはいいね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
　二人もだ。彼のその言葉に頷いた。
　それを見届けてからだ。登志夫は再び二人に言った。
「後は自由だよ」
「自由！？」
「自由って」
「好きな場所に行って好きな場所で遊んで」
　そうすればいいとだ。二人に笑顔で話すのだった。
「それで好きなものを食べたらいいよ」
「あの、いいんですか？」
「そんなことして」
「本当に」
「僕達二人でって」
　彼等は登志夫の今の言葉に呆然としていた。そんなことを言われたのははじめてだったのである。直美の徹底した管理を受けていたからだ。
　それでこう話してだった。あらためて登志夫に尋ねた。
「いいんですか？」
「あの、お姉ちゃんが」
　おどおどしながら直美を見る。するとだ。
　彼女はだ。眉を顰めさせていた。しかし弟達を見ているのではなくだ。登志夫を見てだ。彼に対して無言の圧力をかけていたのである。
　だがそれは無視してだ。また彼等に話す登志夫だった。
「いいから。楽しんでおいでよ」
「いいんですか」
「本当に」
「僕達だけで」
「好きなことして」
「御祭りだよ」　
　だからだという登志夫だった。
「それじゃあいいじゃない」
「御祭りだからですか」
「それでなんですか」
「そうそう、だからね」
　また話す彼だった。
「いいよね。それじゃあね」
「わかりました」
「好きなように遊んでいいんですね」
「そうして食べたら」
「いいんですね」
「いいよ。じゃあ行っておいで」
　二人を急かす。そうしてであった。
　一つだけ忠告した。それは。
「二人一緒なのはね」
「危ないからですか？」
「だからですか」
「何処にでも変な人間はいるからね」
「あんたみたいにね」
　ここで直美の突込みが来た。
「変な人間は確かにいるからね」
「そうそう、僕みたいな紳士とは逆の変態がね」
「何処が紳士なのよ」
　また突っ込みを入れる直美だった。顰めさせた顔でだ。
「あんたみたいないい加減な紳士なんていないわよ」
「そうかなあ」
「そうよ。それでだけれど」
　直美は顔を顰めさせたまま再び登志夫に言った。
「この子達を二人だけでって」
「だから。御祭りだからよ」
「いいじゃない。御祭りなんだから」
「それでいいっていうの」
「いいのいいの。それじゃあね」
　こんな話をしてだった。二人だけで行かせたのだった。二人はだ。満面の笑顔になってそのうえで何処かに行く。かっ飛んでという感じでだ。