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MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士

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ハプニング&ラブ

「新婚旅行?」
「そういえば行って無かったわね貴方たち」

執務をしているジークとディアナの元へとやって来たドロシーが口にした言葉"新婚旅行"。伊達眼鏡を掛けながら仕事を行っているジークは思わず目を丸くし補佐のディアナは確かに行ってなかったと納得する。

「カルデアの掟の改正とか上手く行ってるし問題も片付いてきてるしそろそろ行ってもいいんじゃないかな~って♪」
「行くにしても何処に行くんだ………?目的地を決めなくては行くものも行けんぞ?」
「それなら決めてあるよ!」

と嬉しそうな笑みを浮かべながら一枚の髪を差し出して来る妻に夫はそれを受け取りながら眺める。

「海のリゾートで楽しい一時を……?全く君は俺に一言も言わず………まあ旅行自体は賛成なんだが」
「でしょ!?」
「ハァ………仕方が無い、大爺に許可を貰ってくるか」
「もう貰ってあるから問題無いよ!さあ行こう!!」

余りに素早すぎる手際の良さに少々呆然としながらもドロシーに腕を胸に埋められながら引っ張られていくジーク。そんな様子を見守っていたディアナは静かにデスクの片付けとこの近々自分に姪か甥が出来るのではないかと思案するのであった

「女の子も男の子も悪くないわね………」
「追加の書類お持ちしましたー♪」
「あっここにおいて頂戴ね」
「これディアナさんのです」
「えっ」



「―――という訳でやってきました海!!」
「という訳って省きすぎではないか?」

旅行の道中など全てをカットしてやってきた海のリゾート地。ドロシーによって既に纏められていた荷物を宿に置き水着に着替えて浜辺へとやってきていた。海では既に多くの人が泳いだり日焼けをしたりしている。

「それにしてもジーくんの水着姿ってすっごいセクシーだね♪」

ジークは所謂黒のボクサータイプの水着。無駄の脂肪が一切無く引き締まった肉体は美しく男女に関わらず相手を魅了する。事実ビーチに居る人たちはジークの姿に憧れを抱いたり見惚れている物もいる。

「そうか?君ほどではない、よ…………」
「如何したのジーくん?」

そしてそんな彼の妻であるドロシーの水着姿はというと……着用しているのは黒のレースが付いている清純なイメージを与える白のビキニなのだが……本人の自重を知らない魅惑のボディを覆いきれておらず少々見えてしまっている部分もある。そんな彼女の水着姿を見た旦那は思わず赤面し顔を背けるのであった。

「居、否なんでもないよ………想像以上に君の水着姿が魅惑的で思わず目を外してしまったんだ……」
「いやん恥ずかしいよ♪お世辞でも嬉しいよ」
「だ、断じてお世辞ではないのだが………」

鋼の精神を持っている彼でもナイススバディすぎる妻のそんな姿は直視出来ないようだ。

「さあ早速行こうよ!」
「あ、ああ解った」

共に駆け出し海へと飛び込み泳ぎだしていく。強い日差しの中冷たい海水に身をさらし潮の流れで起きる波で時折揺れる身体、これだけでも思わず着てよかったと思ってしまうジーク。

「ジーくん~此処の海の中凄い綺麗よ~!」
「そうなのか、では潜るか」
「この奥に珊瑚礁があるよ!」

ガッチリと指を絡み合わせるように手を重ね合わせ共に泳いで行き、呼吸を整えて一気に海中へと身体を沈めていく。海中に広がっているのは正しく海の花畑というべき美しい姿だった。人間の手が一切加えれていない自然本来の美しい姿のまま、それを保ち続けている。

「(美しい……むぅう!!?)」
「(…ドッキリ大成功!!)」

海底の美しさに浸っていると突然唇を重ねてくるドロシーに驚き思わず大量の空気を吐き出し動揺するジーク。そんな旦那を悪戯好きな小悪魔のような笑みを浮かべて笑っているドロシーはその場で踊るように回転する。

「(このぉお待たんか!!)」
「(~♪ッ!!!??)」
「ドロシー!?」

目の前でくるくると回転し笑っていた彼女の様子がいきなりおかしくなり思わず声を出してしまうジーク。いきなり身体を固くしもがく様に苦しんでいる。

「しっかり!!今海面に!!」
「ごばぁっ………」
「ッ!!うおおおおお!!!!」

大量に口から泡を吐き出す姿を見た事でジークは魔力で強引で身体のリミッターを解除し勢いよく海面へと飛び出し大急ぎで海岸に上がった。

「ドロシーしっかり!しっかりしろおい!!」

人が集まってくる中大きな声で彼女へと問いかけ続ける、返事は無く口へと耳を近づけても呼吸音は無い。それを確認すると頭を後ろに反らし首を持ち上げ気道を確保しそのまま人工呼吸を開始した。

「(頼む!!息をッ……!!!)」
「かはっごほげっほ!!」

数回人工呼吸を繰り返しているうちに無事ドロシーは意識を取り戻しを肺の中の水を吐き出した。ジーク安心したように脱力仕掛けたが彼女の身体にタオルを掛けそのままお姫様抱っこをし宿へと歩いていった。


「無事で何よりだよドロシー、本当に………」
「本当にごめんねジーくん……折角の旅行なのに台無し……あたしってば最悪」

ベットに寝かされたドロシーは弱弱しくなった瞳をジークへと向ける、漸く二人っきり夫婦水入らずの旅行の筈だったのに自分が台無しにしてしまった。それが申し訳なくてしょうがないのだ。だがジークは首を横へと振り彼女の頭を撫でた。

「気にしていないさ。君が無事なら俺はどんな旅行よりも嬉しい、今日はこのまま一緒に部屋に居よう」
「うん……一緒に、寝てくれない………?」
「勿論だ」

ベットの中へと入りドロシーをそっと抱き寄せるジーク。

「ありがとう……」
「夫婦なんだ、気にするな」

そのまま二人はキスをしそのまま眠りにつくのであった。 
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