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結婚しろと

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第三章

「わかっているな」
「はい」
「そういうことだ、若しラッサーム家の令嬢が気に入らなくてもだ」
 容姿や性格がだ。
「愛せ、そしてだ」
「あと三人ですね」
「妻を持ってもいいのだ」
「そういうことですね」
「そのことも忘れるな」
「わかりました」
 アマムはカシムに確かな言葉で応えた、そしてだった。
「ではまずは」
「令嬢との結婚だ」
「その日を迎えます」
 こうしてだった。後は周りの者達が式の日程等の用意を進めてだった。豪華な結婚式の日となった。
 アマムは着飾った礼装でだ、祖父に言った。
「遂にですね」
「この日が来たな」
「はい、緊張しています」
「当然のことだ」
 緊張していることはというのだ。
「むしろだ」
「緊張していないのならですか」
「その方がおかしい」
 むしろ、というのだ。
「結婚するとなってな」
「だからですか」
「そうだ、それは当然だ」
「緊張してこそですか」
「しかしだ」
「それでもですね」
「誰でも経験することだ」
 結婚式における緊張、それはというのだ。
「人生のはじまりとしてな」
「結婚が人生のですか」
「そうだ、はじまりだ」
 それに他ならないというのだ。
「だからだ、この緊張を越えることだ」
「必ずですね」
「わしの言った通りにすればいい、だが」
「だが?」
「御前はそれを後三回経験出来る」
 ここでもイスラムの戒律から言うカシムだった。
「わかるな」
「はい、妻をですね」
「イスラムは四人まで迎えられるからな」
「だからですね」
「今妻を一人迎えることになった」
「それであと三回ですね」
「妻を迎えられるのだ」
 そうだとだ、カシムは孫であるアマムに話した。
「その時には緊張はほぐれている」
「そういうものですか」
「四人目となると相当にな」
「そういえばお祖父様は四人目の奥方は」
 アマムはカシムのその妻のことを彼に問うた、ここで。
「随分とご年配の」
「わしと同じだけのな」
「そうした方でしたが」
「そうだ、それがどうかしたのか」
「若い方ではないのですか」
「そのことはやがてわかる」
 カシムは微笑んでだ、アマムにこう答えた。
「御前が結婚してだ」
「妻を迎えていく中で」
「わかる、四人目の妻はな」
 その時の妻はというと。
「そうした相手であるべきなのだ」
「近頃迎えられた方ですが」
「一つ言っておく、イスラムでは妻は四人まで迎えていいが」 
 それでもというのだった、彼はおここで。
「その妻達を公平に愛さないといけない」
「そうでしたね」
「そうだ、あと離婚はするな」
 それは、というのだ。 
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