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MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士

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047話

「ジーク………!!!」
「正直驚かされているよ、まさかゾディアック最強の6人を倒してくれるとはな。だがそこに居る奴に勝てるかは知らんが、見物させてもらうぞ。そしてクイーンを失望させるなよ―――ファントム」
「えっ!?」

ジークの言葉に出てきたファントム、その瞬間背後で声がした。カルデアで嫌と言うほどに聞き敗北したあの声が。静かに響いているのは悲しみに浸り友の死を嘆く声。

「君が死ぬなんて………寂しいよ……でも今まで僕と共に居てくれて有難う……さようなら、僕の友達(ペタ)

涙を拭いながら友を静かに眠れる場所へと送った後立ち上がった13星座(ゾディアック)最強のナイト。普段と変わらぬ冷酷且つ冷淡な表情をギンタへと向ける。ギンタは先程ドロシーから受け取ったマジックストーンを握り締めながら睨み返す。

「やあギンタ。随分逞しくなったね。カルデアの時とは別人のようだよ」
「うるせえ!!お前に褒められても嬉しくねぇよ!!」
「ギンタ!強くなって解る事もあろう……!?あ奴、矢張り只者ではないぞ!!」
「ああ、見える」

此処まで強くなって初めて見えたファントムが見ている強さの景色。ただたっているだけなのに抑え切れていない魔力があふれ出している、塞き止めきれていない魔力も一つ一つが尋常ではない。漏れ出している魔力だけでどれだけのガーディアンを操る事が出来るのだろうか。

「ダンナの時のよう………に楽しませてくれよ」
「えっ――――――、長いことレフェリーをして来た私も感慨深いものがあります。ウォーゲーム最終決戦………第六戦―――ラストバトルです!!」

湧き上がる歓声。長きに渡り続いてきたチェスの兵隊との決戦が今此処で決着が付こうとしている。ここでから始まるのは平和と言う優しい世界か、破壊と言う残虐な世界かは今戦おうとしている二人に委ねられる。

「気合入れて勝って来いや、ダンナの息子!!」
「お前ならきっと出来る。ギンタ!!」
「さっさと終わらせてジーくんを救うために行くわよギンタ!!」
「自分らは全勝したで。次はワレや」
「ファントムを倒して………姫様を……!!」
「信じてるっすよ!!親友!!」

「任せとけ!!!」

仲間達の声援はギンタの心に届き更に闘志を燃やし力となる、同時に溢れんばかりの魔力を放出させる。前対戦を知っている物からしたらその魔力に驚かされる。6年前に活躍した彼の父親、ダンナを超えているからだ。

「互いにキャプテン同士の戦い!!6年前に再来となりました!!

メル、キャプテン ギンタ!!!

チェスの兵隊(コマ)、キャプテン!ファントム!!」

「負けられねぇぞバッボ!」
「解っておるわ家来、それより6番目の技、ちゃんと考えておくんじゃぞ!!」

そして―――遂に戦いの幕が切って落とされた。

「出でよ。⑥⑧⑨」

―――目を疑う光景が目の前に広がっていた。瞬間的に召喚された複数のガーディアン、通常の術者が複数のガーディアンを出すには修練の門などの特殊な環境が必要になると言うのに平然とファントムはそれをやってのけた、正に化け物である。

「行くぞバッボ!!ハンマーARM!!!」

だがギンタは全く怯まない。彼とてファントムがこの程度の事をしてくると予想していたのだろう、迫り来るガーディアンをハンマーARMで粉砕する。背後から迫り来るガーディアンをねじ伏せそのまま残りにぶつけそれごとダガーARMで一刀両断する。

「すごいっすよギンタ!!複数のガーディアンを瞬殺したっす!!!」
「まだまだ序の序の口さ、アリュマージュ」

次なるARMはバッボに良く似ているARM。バッボの代わりに憎悪と怒りを表情をしているボールがあり持ち手は剣のような形状をしている。カルデアで一度対戦しているギンタは直ぐに警戒しバッボを飛ばす。同時にファントムもアリュマージュを飛ばし激しくぶつかり合う。

「本当の姿を見せてあげなよアリュマージュ」
「来るぜバッボ!!」
「うむ、打ち返してやるぞ!!」

魔力が注がれ肥大化していく憎悪の塊が悪魔のような異形の姿となりギンタへと襲い掛かろうとした。がそれは未然に防がれた、憎悪の塊を多い尽くす無数の泡の爆弾。バブルランチャーの弾丸がそれを多い尽くし大爆発を起こした。

「………。やるねギンタ、でもこれからだよ」
「なんだあれ!?」

バブルの爆発によってファントムの左腕を覆っていた包帯が焼け爛れて落ちていく、日の本へと照らされたその腕の正体は無数の輝くARMによって構成された腕であった。それは全てファントムが気に入ったARMでありそれを自らの体に結びつけた物であった。

「ファントムグラス!!」
「な、なんだこりゃ!?」

瞬間、ギンタとバッボは鏡のような空間に閉じ込められる。中から力をかけても出る事が出来ない。鏡の中から脱出することが出来なければ鏡は自然と崩壊し中に閉じ目こめている命もろとも砕けちるARM。

「時間を上げるよ、10分だ。その間退屈だから話をしてあげるよギンタ。僕はカルデアの人間だったんだ」

その口から語られたのは衝撃的な事実であった。元々ファントムはカルデアの出身であった事、幼い頃にとある部屋に安置されていた禍々しい人間の意識を封じ込めていたオーブを発見しそれに魅入られてしまった。やがて少年は毎日禁じられていた部屋に通うようになり、ある時それがバレてしまいカルデアの掟により両親に殺されなければならないときがやって来た。

―――身内が起こして不祥事は身内がそれを起こした原因を殺す事で解決する、なんとも厳しく残酷な掟だ。だがファントムは両親は息子である彼を殺す事は出来ず自殺する事でファントムを生かした。殺す身内が居なければ殺されずに澄む為だ。そしてファントムは牢獄に入れられたその10年後、ある女性が現れた。

「ディアナね」
「そうだ」

その美貌だけではない、彼女の持つ人間が忌むべき存在であると言う思想、全てに惚れこんだ。ファントムは彼女の力になる事を誓い彼女に協力した。

「うおおおりゃああああ―――っ!!あ、危なかった………」
「ひやひやしたのォ」

話が終わる事には何とか脱出成功したギンタとバッボ、だがその前にファントムはあらたるガーディアンを展開して待ち伏せていた。その数―――5体!!!

「流石だなファントム。複数のガーディアンを操ると言う事は両手それぞれで違う文字を書くことより難しい。思考の分割に魔力配分、普通は出来ないはずだがな」
「決まって、なら俺は……出て来い!バッボバージョン6!!!」
「ニャアアアアアアアアア!!!!やってやるぜええええええええ!!!!ぶっ殺すぞおおお!!!!!!!!」 
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