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MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士

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044話

「ドロシー大丈夫なのか?」
「私はもう大丈夫よ、ジーくんは私が救いだすからっ♪」

第四戦の翌日、部屋から出てきたドロシーをみな心配するような表情で出迎えたが彼女は非常にすっきりしたような表情を浮かべている。どうやら踏ん切りが付いたのだと皆安心し今日のウォーゲームに集中することにする。

「おい出て来いよトマト野郎!決着をつけようじゃねぇか!!」
「ヒュヒュヒュ……折角犬っコロにしてやったのにねぇ……」

遂に戦いは元クロスガードナンバー2、現メルトップクラスの実力者であるアランVS13星座(ゾディアック)の一人"ハロウィン"との対決を迎えた。嘗て6年前の戦いでも矛を交えた二人。その時は互いに瀕死の重傷を負う程の死闘を演じドローとなってしまった。

「最終決戦第三戦、メル アラン!! チェスの兵隊 ハロウィン!!開始!!!」
「ネイチャーARM フレイムハンド!!行け!!」

遂に始まりを告げた6年前より続く因縁の対決、これで終止符(ピリオド)が撃たれるのだろうか。開始の宣言がされると同時に獄炎の両腕を展開しそれを飛ばし攻撃するハロウィン。アランはうろたえる事無く冷静にエアハンマーを用い空と空の溝を拳の周囲に作り強力なパンチで炎を粉砕する。

「腕は落ちてないみたいだな、アラン!」
「てめぇは6年前と同じ技を使いやがって……おちょくってんのか?」
「じゃあこんなのはどうだい?アンタレス!!」

炎の腕の上に轟々と燃え上がる火球が生み出されていく。構えるアランだがその火球はアランの傍を通り過ぎ観客席の方向へと向かっていく。

「なっ!?てめぇ最初から民衆を!?」
「ヒュヒュ……おまえは簡単に死んでくれそうにねぇからな!その辺のザコなら幾らでも殺せるぜ」

次々と投擲されていく火球。アランもエアハンマーで撃ち落とそうとするが間に合わない、遂に火球が民衆へと直撃炎上しようとした時

「鬼火属フォレ!!」
「はぁい!!」

火球が瞬時に消滅しキラキラとした光へと変化していく。民衆たちの前へと立ち塞がっていたのはジャックとそのガーディアンであるフォレであった。火のガーディアンであるフォレにとって炎を用いた攻撃を無効化するなど非常に簡単な作業どころか食事になるだけ。瞬時に炎を吸収して民衆を守っていた。

「フォレ良い調子っす!このまま攻撃が飛んできたらそのまま吸収するっすよ!!」
「お任せをーボス!」
「アランさん流れ弾はこっちで何とかするっすからそっちは戦いに集中してくださいっす!」
「へっ猿が男見せるじゃねぇか!なら行かせてもらうぜ!!」
「来るなら来な偽善者が!!デスナパーム!!」

更に激しさを増していくアランとハロウィンの戦い。フィールドの各地から火柱と爆音と轟音が響きわたる、もしもジャックがフォレで周囲の人たちをガードしていなかったとしたら多くの人たちが犠牲になっていたのかもしれない。それほどに激しく恐ろしい対決。

「パンプゥゥウウウ!!!」
「その名で、呼ぶんじゃねぇええええ!!!」

ぶつかり合う拳と拳。灼熱の拳と真空の拳が互いの体に炸裂する。爆炎がそこいら中から上がり続け二人の姿が見えないほどにまで激しさを増していく。

「ボ、ボスゥ……これ以上は、辛いですぅ!!」
「な、なんて激しさっすか……!!フォレ、もうちょい頑張ってほしいっす!!」
「ええいもうしょうがないですねぇ!!今日は出血大サービスですよぉ!!!」
「ジャック手伝うぜ!バッボバブルランチャーだ!!」
「おう、第二家来だけに良い格好はさせんぞ!!」

ギンタとジャック、二人掛りで迫りくる爆炎と衝撃波を防御し民衆への被害を最小限に抑えているがそれが何時までもつかも解らない。早く決着がつくことを祈るしかない。

「なぁパンプ。俺はよう、てめぇとダチになりたかったんだぜパンプ」

アランとハロウィン、嘗ては共に同じ村に住む共に同じ時間を過ごした二人だった。だがハロウィン(パンプ)は自分を助けてくるアランが自分を見下していると考えていた。幼い頃から弱者が強者の犠牲になるのは必然のこと、という考えを持ってしまっていたからだ。

「ッ―――!!い、今更そんなでまかせが信じられるかぁ!!どの道俺とおまえはもうお互いに別の世界にいるんだよ!!チェスとメルっていう世界にな!!!」
「………そうだな、久しぶり。そんで、サヨナラだ!!!」
「6年前には使わなかったこいつで終わりだ。ガーディアンARM ワカンタンカ!!!」

召喚されたのは邪悪な魔力を全身に纏った巨大なガーディアン。蛇のような骨の胴体を持ちギチギチと気味が悪い音を鳴らしている。その骨を辿って視線を上へと向けていくとそこに待っているのは羽飾りをかぶった髑髏が待ち構えていた。

「でけぇっ!!くっ…!!」

その巨体に似合わぬ素早く鋭い動きで迫ってくるワカンタンカ、巨大な口でアランの腕へと噛みつくと炎を吐きだすアランを炙っていく。

「舐めるなよ……ゴラァアアアア!!!」

右腕に食い込んでいる鋭い歯、肉を深く抉り血が滴っているがアランは全く焦っていなかった。寧ろ逆に闘志が湧き上がっているようにも見えた。地面を強く踏み締めながら思いっきりワカンタンカを地面へと叩きつける。

「えええええっ!!!!??ガーディアンARMを素手で捩じ伏せたぁああああ!!!??」
「なんちゅう親父よ……」
「流石アランさん!!」

あまりに豪快かつ強引すぎる手にメルの一同も驚愕しその異常っぷりに呆れるが唯一アルヴィスだけは羨望の眼差しでアランを見つめるのであった。既に彼の脳内からはシャトン戦のアランの醜態は消え去っているのかもしれない。

「来やがれ!!ガーディアンARM セイント・アンカー!!!」

そしてアランも遂に切り札を切った。カルデアにて貰い受けたARMを発動、それはガーディアンARMの中でも極めて異色な存在且つ扱いが非常に難しいARM。熟練の魔女でも扱える者はいないと言われるガーディアン セイント・アンカー。それをカルデアが与えていたことにドロシーは驚く。

「な、なんだ!?腕のガーディアン!?」

巨大な腕(セイント・アンカー)はワカンタンカを頭を鷲掴みと徐々にその頭を握り潰していく。膨大な魔力だけでは制御出来ないのがセイント・アンカーの特徴。それは術者と神経を繋ぎもう一つの腕として動かすからである。本来二本の腕を動かすだけで精一杯である我々人間が新しく腕を付け動かすなど困難ことこの上ない。高い集中力と精神力を要する。だが

「さあ…お別れだパンプ」
「おば!!」

アランは眉一つ動かさず自分の手で煙草を咥え火を付けながらハロウィンをもう一つの両腕(セイント・アンカー)で掴み思いっきり殴りつけた。

―――アランよぉ……やっぱりてめぇは強ぇよ……


ウォーゲーム最終決戦第四戦 アラン VS ハロウィン

勝者 アラン 
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