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ハンバーガー

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5部分:第五章


第五章

「まずはあの店の食材の入手ルートについて調べるか」
「わかりました」
 こうして話がはじまった。食材の入手ルートが調べられたがその結果面白いことがわかった。ハリスはそのことを事務所でホージーに話していた。
「面白いことがわかりましたね」
「そうだな」
 ホージーはハリスのその言葉に頷いていた。二人で調べた結果だ。
「パンや野菜、チーズといったものは確かに素晴らしい食材を集めていますが」
「問題は肉だな」
「それです」
 二人が言うのは肉についてであった。
「肉は。そのルートが不明です」
「そうだ。何故だ」
 それを言う二人だった。
「肉が一番重要だというのにな」
「何があるのでしょうか」
「それだ。問題はそこだ」
 指差す姿勢になるがそれは宙を指差していた。
「何故。肉だけがわからない」
「そこですね。主任」
 ハリスはここで真剣な顔でホージーに問うた。これまでになく真剣な面持ちである。
「それでですが」
「うん。何だ?」
 ハリスの言葉に顔を向ける。
「その肉のルートこそが問題なのですね」
「そうだ。どうやって手に入れているかだ」 
 それをあらためて言うのだった。
「肉がなければハンバーガーはできない」
「はい」
 これは言うまでもないことだった。
「だからな。調べてみよう」
「はい。それでは」
「何が出て来るかな」
 ホージーは話が決まったところでふと呟いたのだった。
「下手をすれば」
「下手をすれば」
 ハリスはホージーの言葉に顔を向ける。彼の顔色が変わったのを見たのだ。
「とんでもないことになるぞ」
「そうですか」
 何はともあれ店の肉の入手ルートが調べられることになった。それは肉の分析と共に調べられた。これはハリスのアイディアだった。
 二人はまず店でそのハンバーガーを頼みそれを食べる。事務所に帰りそこの医務室で一旦吐いてそれから分析するのだ。分析結果はルートと共に恐ろしいものだった。
「あの、主任」
 ホージーは事務室にいた。そこで分析をした医官の顔を真っ青にさせた報告を聞いていた。彼の前には同じく顔を蒼白にさせたハリスもいた。
「恐ろしいことがわかりました」
「こちらもです」
 二人は同時にこうホージーに告げてきた。
「肉の種類ですが」
「そのルートは」
「どうだったか?」
 ホージーは二人に対して同時に話を聞くことにした。だから今の問いは二人に同時に向けたものであった。目も二人を同時に見ていた。
「わかったのだな」
「はい、まずは入手ルートですが」
 ハリスが答えた。
「業者やそうしたものを使ってはいませんでした」
「やはりな」
 ホージーはそれを聞いて当然だといった顔になった。どうやら読んでいたようである。
「そうなっていたか」
「そのかわりにいつも深夜に大きなトラックが店に来まして」
「うむ」
「そこから肉を運んでいました。それで」
 ここでハリスは懐から何かを出してきた。見ればそれは一枚の写真であった。
「これを御覧下さい」
「証拠写真だな」
「そうです。その入手した肉のものです」
 こうホージーに語る。
「私はこれを密かに撮った際思わず声をあげそうになりました」
「ほう、君がか」
「信じられませんでした」
 蒼白な顔のままで述べる。普段の彼女からは想像もできない有様だった。
「まさか。こんな」
「だが。この写真が何よりも雄弁に物語っている」
 それでもホージーは言うのだった。しかしその彼にしろその表情は強張っている。その顔で向かい側のソファーに座る二人と写真を見ているのだ。
「これが証拠だ」
「人の腕がですか」
 見ればその写真に映っているのは人の腕だった。冷凍された腕、それに詳しくは見えないが他の部分も見えている。偶然ダンボールから出てしまっていたのだ。
「そうだ。これを見て否定はできないな」
「ええ。それに」
 ハリスはさらに言う。
「今度は何処に行くのかとか。どういった『素材』がいいかとか」
「『素材』か」
「子供がいいと話していました」
 戦慄さえ彼女の顔に浮かんできていた。
「これは録音もしています」
「そうか。では確実な証拠になるな」
「はい」
 強張った顔のままでホージーに答える。
「信じられませんが」
「信じられなくとも事実だ」
 ホージーはこう述べてから今度は医官に顔を向けた。その強張った顔で彼にも問うのだった。
「それでだ」
「ええ」
「分析結果はどうだったか」
「その肉ですが」
 彼は単刀直入にそれを言ってきた。やはり蒼白の顔で。
「人のものでした」
「そうか、やはりな」
 ホージーは彼の言葉を聞いて頷いた。予想していたような顔で。
 
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