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ポケットモンスター 急がば回れ

作者:おうーん
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3 トキワの森

虫採り少年「負けたあ! キャタピーなんかじゃダメか」

グリーンは初めてのトレーナー戦で勝利した。

虫採り少年「しッ……! 虫が逃げるからまたな」

グリーン「お前に聞きたいことがある!」

虫採り少年「うわあっ! 大きい声出すなよ!」

グリーン「お前の声のほうが大きいぞ」

虫採り少年「……何だよ。用があるなら早く言えよ」

グリーン「赤い帽子をかぶった奴を見なかったか?」

虫採り少年「ああ、ヒトカゲのトレーナーか」

グリーン「バトルしたのか?」

虫採り少年「まあね。負けちゃったけど」

グリーン「お前なんかに勝てる相手じゃねーよ」

虫採り少年「うるさいなー。早くどっか行けよ」

トキワの森。
木々が生い茂る虫ポケモンの生息地。
草むらには弱いポケモンしか出現しないが、森の奥には凶暴なポケモンがいるかもしれない。

グリーン「レッドの奴、やっぱり先に行きやがったか。
こんなところで弱い奴らを相手にしてる場合じゃねーぜ。
行くぞ、フシギダネ!」

フシギダネ「フッシー!」

グリーンの通った草むらには傷ついた虫ポケモンが転がっていた。
捕まえようと思えば簡単に捕まえられる。
しかしグリーンはポケモン図鑑を持っていないから捕まえても意味がないと思っていた。

グリーン「くそっ! 出口はどっちだ?」

整備された道路などない。
生い茂る草木で道どころか土が露出している地面すら見当たらない。
かすかに掻き分けられた跡のある草を頼りに緑の海を泳いでいく。

グリーン「ちくしょー!」

怒りに任せて蹴った木からさなぎポケモンが落ちてきた。
地面の衝突で殻が割れて成虫が顔を出した。

グリーン「スピアーか。
フシギダネ、針に気をつけろ!」

フシギダネ「フッシー!」

素早いダブルニードル攻撃を紙一重でかわしながら隙をうかがう。

グリーン「今だ! 体当たり!」

一瞬の隙をついてスピアーの胴体に体当たりをお見舞いした。
そのまま木の幹に叩きつけられたスピアーはずるずると滑り落ちながら草むらに沈んでいった。

グリーン「今のはなかなか手応えがあったな」

バトルの様子を見ていたキャタピーが1匹また1匹と草むらから顔を出す。
いつの間にかグリーンとフシギダネはキャタピーの大群に囲まれていた。

グリーン「何だお前ら。やろうってのか?」

群れの1匹がフシギダネの前で体をくねらせたり、その場で8の字を描くように動いてみせた。
するとフシギダネも同じようにやってみせる。

フシギダネ「フッシー!」

グリーンを呼ぶように鳴く。
そしてキャタピーたちと森の奥へと入っていく。

グリーン「どこ行くんだよ」 
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