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ポケットモンスター 急がば回れ

作者:おうーん
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1 旅立ち

マサラタウン。
カントーのはずれにある田舎町。
オーキド博士の研究所があり、多くのポケモントレーナーの出発の地である。

オーキド「そこに3匹ポケモンがいるじゃろう
モンスターボールのなかにポケモンが入れてあるんじゃ
昔はわしもバリバリのポケモントレーナーとしてならしたもの
老いぼれた今はポケモンも3匹しか残っとらんがお前らに1匹ずつやろう!」

オーキド博士の机に3つのモンスターボールが置いてある。
それぞれにフシギダネ、ゼニガメ、ヒトカゲが入っているようだ。

グリーン「まずは俺が選ぶぜ!」

ブルー「ずるいわよグリーン」

レッド「…………」

グリーン「うるせー! 俺はこいつがいいんだ!」

グリーンはフシギダネのボールを掴んだ。

イエロー「どうしてフシギダネを選んだの?」

グリーン「だってこいつ緑色してるし、いかにも俺のイメージにピッタリだろ」

ブルー「まー強いかどうかはわからないけど」

グリーン「強いに決まってるだろ!
なぜならこいつは図鑑ナンバー1なんだからな!」

イエロー「理由になってないと思うけど」

グリーン「うるせー! 早く次選べよ」

ブルー「あたしはこの子! 青いから!」

ブルーはゼニガメのボールを掴んだ。

イエロー「僕には相棒のピカチュウがいるよ」

オーキド「となるとレッドはヒトカゲじゃな」

レッド「…………」

レッドはヒトカゲのボールを掴んだ。

グリーン「はっはっはーお前らのポケモン弱そうだな」

ブルー「なによ! 試してみる?」

グリーン「のぞむところだ!」

オーキド「やめんか! お前らさっさと旅に出ろ!」

グリーン「じゃあ行ってくるぜじーさん」

グリーンはさっそうと駆けていった。

ブルー「あたしたちも行くわよ!」

ブルーはレッドとイエローの腕を引っ張っていった。
その後にモンスターボールから出したままのピカチュウがついていく。

イエロー「行ってきますオーキド博士」



オーキド研究所は遠ざかっていき、やがてポケモンが生息する草むらが見えはじめた。

イエロー「ねえ、僕たち一緒に旅に出るの?」

ブルー「あたりまえじゃない!
あたし一人で旅をしろっていうの? 冗談じゃないわ!
炊事洗濯はどうするの? ホテルの予約は?
まさかこのあたしに野宿しろっていうんじゃないでしょうね!?」

イエロー「いやーそれは……」

ブルー「そうよ! そのためにあんたたちがいるんだから。
感謝しなさいよね。あたしの旅のお供になれたことを光栄なことと思いなさい」

イエロー「はあ……」

レッドはヒトカゲのボールをじーっと見つめている。
正面から顔を近づけたり下からのぞきこんだりして、ブルーやイエローのことなど気にしていない様子である。

イエロー「……ねえ、レッドくん」

レッドはイエローのほうを振り向く。

イエロー「僕とポケモンバトルしてくれないかな?
僕のピカチュウとレッドくんのヒトカゲで、どうかな?」

レッドはピカチュウをまじまじと見つめる。

ピカチュウ「ピカ?」

レッド「……本気を出すなら」

そう言うと、レッドは一人で先に行ってしまった。

ブルー「ちょっと待ちなさいよ! あたしのお供は?」

イエローはただ押し黙ってレッドの背中を見つめていた。 
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