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オズのポリクローム

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第八幕その二

「私達の通っている八条学園でもね」
「うん、学校の給食もとても美味しいよね」
「けれど高校からはお弁当に売店にね」
「食堂もあって」
「そこに沖縄料理もあって」
 それでというのです。
「山羊肉のお料理もあるのよ」
「そうだったよね」
「それでね」
 さらにお話する恵梨香でした。
「私は家族で沖縄旅行に行った時に山羊のお刺身食べたの」
「それが美味しかったんだ」
「とてもね。あとそーきそばや足てびちも食べたわ」
「ああ、どっちもとても美味しいよね」
「そういうのも凄く美味しかったわ、シークァーサーのソフトクリームとかもあって」
「沖縄ね、暖かいというか暑い場所よね」
 ナターシャがここでこんなことを言いました。ホットドッグを両手に持ってその小さいお口でホットドッグを前から食べながら。
「そうよね」
「ええ、そうよ」
「暑い場所には憧れるわ」
「ナターシャいつもそう言うわよね」
「ロシアは寒いから」
 とにかくこれに尽きます。
「だから私オレンジやマンゴーも好きなの」
「暑いところの果物が、だよね」
「そう、どれも大好きなの」
 カルロスにもです、ナターシャは微笑んで答えました。
「バナナもね」
「そういえばいつも食べてるよね、バナナとか」
「寒い国にいるとね」
「そうした暑い場所で採れる果物が好きになるんだね」
「そうなの、だからね」
「ナターシャも大好きなんだね」
「ええ、今もオレンジとバナナがあるから」
 どちらもデザートにあります、他には西瓜や蒲萄、無花果があります。
「頂くわ」
「オズの国にいるとね」
「わからないことだよね」
 サンドイッチやホットドッグをその大きなお口でどんどん食べている臆病ライオンと腹ペコタイガーが言ってきました。
「オズの国は何でも採れてね」
「いつもどんなものでも好きなだけ食べられて」
「暑い場所も寒い場所もいつも一緒にあるから」
「ナターシャのお話を聞いても」
「ぴんとこないんだよね」
「逆にカルロスのお話を聞いてもね」
 彼の場合もというのです。
「暑い国のお話を聞いても」
「それでもね」
「うん、僕から見ればロシアが羨ましい時もあるよ」
 実際にとです、カルロスはナターシャにお顔を向けながら二匹に答えました。
「あまりにも暑いからね」
「カルロスの場合はそうなのね」
「雪なんてブラジルでは見たことないから」
「だからなのね」
「いいなあ、って思うこともあったよ」
「そうだったの」
「雪は日本に来てはじめて見たよ」
 カルロスの場合はそうなのです。
「奇麗だよね、結晶が」
「雪はオズの国にもあるけれどね」
 今度はトトが言ってきました。
「それなら」
「うん、そうだよね」
「それでその雪はなんだ」
「見させてもらったよ」
 日本で、というのです。 
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