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つまらない男

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第四章

「チーフの言う通りでした」
「駄目だろ」
「とても器ではないですね」
 首を少し傾げさせつつだ、彼は池田に言った。
「あの人は」
「偉そうでな」
「反論に根拠がなくて」
「出す根拠もな」
「毎朝ばかりですね」
「お仲間だ」
 枝野本人のというのだ。
「実際大学の同期もいるそうだ」
「東大法学部の」
「毎朝は東大大好きだからな」
「学歴社会批判していても」
「マスコミは学歴だ」
 そこからはじまる社会だというのだ。
「お勉強が出来てな」
「そこからですか」
「採用される社会だからな」
「マスコミが一番の学歴社会なんですね」
「役所以上にな」
「それであの人の同期もいて」
「根拠に出すんだ」
 その話のというのだ。
「報道でも助けてもらってるしな」
「毎朝は野党大好きですからね」
「昔からな、それで偉そうだっただろ」
 池田は自分から言った。
「相当に」
「秘書の人に取材の後何か怒鳴り散らしてましたよ」
「ああ、それもな」
「いつものことですか」
「あの人はな」
「そうなんですね」
「埃とかも取らせてたな」 
 また言った池田だった。
「そうだな」
「はい、そうしていました」
「そうした奴だ」
 枝野、彼はというのだ。
「俺の言った通りだったな」
「そのことがわかりました」
「しかしな」
「しかし?」
「あいつはそれだけじゃない」
「っていいますと」
「何かあるな」
 こう言うのだった。
「黒いものがな」
「あの人自身にですか」
「噂だけれどな、変なのと付き合ってるらしい」
「汚職ですか」
「調べてみろ、ああした奴はな」
「色々ありますか」
「ああ、俺も一緒にやる」
 枝野への調査はというのだ。
「二人で調べるぞ」
「それじゃあ」
 こうしてだ、二人で内密にかつ慎重にだった。
 二人で枝野について調べた、その結果怪しいことがわかった。
「あの、枝野さんに資金を提供している」
「地元の組合だな」
「はい、ある労働組合ですけれど」
「そこはな」
「普通の組合じゃないですよね」
「その組合はな」 
 枝野に資金を提供しているその労働組合について調べるとだった、あることがわかったのだ。
「正体は過激派だ」
「主な幹部は」
「ああ、学生運動があったな」
「七十年の頃ですね」  
 昭和で言うと二十五年、その頃だ。 
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