| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

MS Operative Theory

作者:ユリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

MS戦術解説
  オールレンジ攻撃②

——オールレンジ攻撃のバリエーション——

 オールレンジ攻撃の基本は、目標の周囲、特に側面や背面などに複数の攻撃端末を配置し、同時または連続して攻撃を行うというものである。全天周囲モニターを持つMSでも、パイロットの視野は180度程しかないため、側面や背面は死角になりやすい。また、戦闘時には母機であるMSやMAのほうを注視するため、攻撃端末を発見することは困難となる。攻撃端末が極めて小型かつ高速で移動するために、よほどの近距離で無い限り警戒装置による警告が表示されない点も、オールレンジ攻撃の利点の一つである。しかし、攻撃端末で目標を包囲すればいいというわけではなく、期待によって攻撃端末の搭載数やコントロール可能な距離が異なるほか、目標の種類や数、お互いの距離や時期の状況などによって、取るべき行動や戦法が変化する。これには、

①視認不可能なほどの遠方に居る目標近くに、攻撃端末を送り込む「狙撃(遠距離射撃)」

②通常のMS戦と同程度の交戦距離で目標の周囲に端末を配置する「包囲」

③目標に攻撃端末へのリアクションを行わせた隙に、本体から攻撃を行う「フェイント」

の3種に大別できる。下では、それぞれの特性やシークエンス、実例を挙げて紹介する。


——長距離ビーム砲をも上回る、精密な「狙撃」——

 オールレンジ攻撃で行う「狙撃」とは、MS用の狙撃用兵装を上回る長距離から、攻撃端末を目標付近に展開し攻撃する方法を指す。母機を死人できない距離から、攻撃端末が射出されるので、端末の付近を気付かせずに不意打ちに近い形での攻撃が可能となる。ただし、敵機との距離が離れすぎているため、無線式のサイコミュでしか実行できず、サイコミュの操縦者にも大きな負担が掛かるため、連続しての攻撃は難しいことも問題とされる。

①攻撃端末射出

 目標をサイコミュ兵器の有効範囲(コントロール限界距離距離)に据え、簿記からビットやファンネルなどを射出する。パイロットは距離とそれに伴う視認性などの問題から、サイコミュ兵器のコントロールに集中しているため、敵機に発見された場合を想定して護衛機が付く場合がある。

②攻撃端末を移動させる。

 射撃地点に向けて、サイコミュ兵器を移動させる。この際、スラスターを多用すると発見される可能性が高いため、射出時の慣性を利用して移動させる。ただし、直線的に目標に接近させると、デブリとして排除される可能性が高いため、必要におうじて軌道修正を行う。

③攻撃

 目標の死角に入ったら、端末に攻撃を指示。母機との距離が離れているため高機動目標に命中させることは難しい。そのため、停泊中の艦艇や対空監視中のMSなどを標的とする。また、攻撃終了後に回収を行うと、母機の位置を特定される可能性があるので、端末を隕石などに衝突させて破壊するか、母機とは別方向に離脱させた後に回収する。

■U.C.0079,12,25 「ソロモンの亡霊」

 連邦軍が駐留していた宇宙要塞コンペイトウ(旧ソロモン)に対し、突撃機動軍第300戦隊に属するMAN-08(エルメス)が、遠距離からビット攻撃を行った。この攻撃で、連邦軍は7隻の艦艇と6機のMSを喪失したが効果的な対応はできず、正体不明の敵を「ソロモンの亡霊」と呼んで恐れた。

■U.C.0093,03 アクシズ防衛戦

 連邦軍外郭部隊ロンド・ベル隊による、アクシズへの核ミサイル攻撃に対し、ネオ・ジオンのサイコミュ搭載MSが応戦。ファンネルを使用し、飛来するミサイルの中から核ミサイルのみを迎撃した。ミサイルは直接的な動きしかしなかっため、遠距離からでも容易に狙撃できたようである。

——敵機に全周囲攻撃を仕掛ける「包囲」——

 MSが最もとく意図する近距離での戦闘において、目標を包囲するようにサイコミュ兵器を配置し、一斉攻撃や連続攻撃を仕掛ける攻撃法。ニュータイプ能力を持たない限り、全ての攻撃を回避することは難しく、被弾を余儀なくされる。また、目標の背面や側面に端末を移動させることで、MSの急所であるメイン・スラスターやジェネレーターにダメージを与えやすいという利点もある。また、交戦距離が近いため、無線式でも有線式でも問題なく実行できるが、母機が敵の射程距離内にいるため敵の攻撃を受ける可能性もある。

①攻撃端末射出

 敵機と遭遇したら、サイコミュ兵器を射出する。交戦前に射出する方が理想的だが、軽量かつ独自のスラスターを持つサイコミュ兵器はMSよりも移動性に優れているため、戦闘開始直後に射出しても問題ない。また、敵がサイコミュ兵器の存在を知っている場合、それ自体がプレッシャーとなることも有利な点といえる。

②攻撃端末の移動

 サイコミュ兵器は高速で移動するため、近距離であればすぐにて危機を補足出来る。また、母機を囮として、サイコミュ兵器は目標の側面や背面のどの死角に移動させるケースも見られる。無線式は数が多いために目標を包囲しやすいが、有線ビーム方の場合は搭載数が少ないため、サイコミュ兵器の移動位置や距離が固定されるという欠点を持つ。

③攻撃

 包囲陣の完成と同時に、複数のサイコミュ兵器から攻撃を行う。有線式ビーム方の場合、無線式に比べて数で劣るが、回避が難しい側背面からの攻撃を基本とするため、回避や防御は困難である。一度に複数のサイコミュ兵器から攻撃を行う無線式では、リアクションはさらに難しくなる。

■U.C.0088,01,25 アクシズ、ティターンズ決裂

 ハマーン・カーンのAMX-004(キュベレイ)と、パプテマス・シロッコ大尉のPMX-003(ジ・O)をはじめとする3機のMSが激突。この際、シロッコ側の3機がキュベレイを包囲したかに見えたが、実際には3機がキュベレイのファンネルに包囲されてしまい、一方的な攻撃にさらされてしまった。

■U.C.0089,01,17

 グレミー・トト残党軍の量産型キュベレイ部隊が、ハマーン・カーン指揮下のAMX-015(げーマルク)に、部隊単位でのオールレンジ攻撃を仕掛けた。数十基のファンネルの包囲射撃を浴びたゲーマルクはIフィールドだと思われるバリアでその攻撃を防ぐと、自らもファンネルで反撃を行っている。


——敵機の反応を利用する「フェイント」——

 包囲攻撃や死角からの攻撃だけでなく、制御端末へのリアクションを誘い、敵が端末に注目している隙を狙って攻撃を加える戦法も使用される。これが「フェイント」と呼ばれる攻撃法で、サイコミュ兵器よりも母機の火力が高い場合や敵機を撃破しながら高速移動を行うケース、または通常のオールレンジ攻撃を回避する敵に対抗するための手段として使用される。サイコミュ兵器を囮として使用するため、大量に放出されることは少ない。

①攻撃端末を囮する

 目標の教会内にサイコミュ兵器を配置する。人間は近距離にある対象に集中しやすいので、サイコミュ兵器を近づければ、殆どのパイロットは端末に注目するか、それに対し何らかのリアクションを取ろうとする。

②目標のリアクション

 囮とするサイコミュ兵器からの攻撃に反応した目標は回避やシールドなどによる防御を行う。サイコミュ兵器を打ち落とそうとする場合もあるが、囮に注目しているため、目標機は無防備かそれに近い状態となっているケースが多い。

③攻撃

 母機からの攻撃は目標のリアクションとほぼ同時に行われる。サイコミュ兵器からの攻撃にリアクションを取っている、または反応直後の目標に対して母機から攻撃を加える。つまり、サイコミュ兵器と母機による挟み撃ちとなる。端末に反応している状況下で、母機からの攻撃を察知、回避することはニュータイプといえど困難とされる。

■U.C.0088,01,15 ハマーン軍VSグレミー軍

 マシュマー・セロのAMX-011S(ザクⅢ改)と、AMX-014(ドーベン・ウルフ)に搭乗するスペース・ウルフ隊が激突。ラカン・ダカランに率いられたスペース・ウルフ隊は、電撃装置付きの有線ハンド・ビームでザクⅢ改の動きを封じ、メガ・ランチャーで攻撃を行ったが、撃破には至らなかった。

■U.C.0153,06,23 エンジェル・ハイロゥの戦闘

 大気圏内に降下したエンジェル・ハイロゥを巡る戦いで、LM314V21(V2ガンダム)とZMT-S34S(リグ・コンティオ)が行った戦闘。リグ・コンティオは射出したショット・クローにV2ガンダムの注意を向けさせ、その隙を点いて攻撃を行ったのだが、突撃時に反撃を受け、撃墜されている。



補足事項

——オールレンジ攻撃同士の戦闘——

■U.C.0088,10,31

 サイコミュ兵器を装備した機体同士の戦闘としては、U.C.0088,10,31、ダブリンにおけるAMX-004-2(キュベレイMk-Ⅱ)とサイコガンダムMK-Ⅱとの間に行われたものが初めてといわれる。キュベレイMK-ⅡのファンネルからのビームをサイコガンダムMK-Ⅱがリフレクター・ビットで反射・無効化している。

■U.C.0093,03,12

 第1次ネオ・ジオン戦争ではネオ・ジオンが分裂したため、オールレンジ攻撃の応酬があったが、続くシャアの反乱でもファンネル搭載機同士の戦闘が見られた。特にRX-93(νガンダム)とMSN-04(サザビー)の戦闘では、ファンネル同士がドッグ・ファイトを行い、これまでに見られなかった戦いが繰り広げられた。
 
 

 
後書き
次回 MSの格闘戦 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧