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チャパン

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第三章

「西欧の小説に出るみたいな」
「多分この服を見た人が書いたこともあったろうな」
「吟遊詩人を」
「この辺りまで来た人がな」
「そうなんだ」
「実際に詠うからな」
 そのマナスをというのだ。
「だから吟遊詩人といってもな」
「あながち間違いじゃないんだ」
「そうだ、じゃあな」
「うん、今からだね」
「マナスを詠う、よく聞くんだ」
 こうしてだった。オルズベックは実際にだ。
 ビタリにそのマナスを詠って聞かせた、そして一節を終えてからだった。
 彼にだ、あらためて尋ねた。
「どうだ」
「うん、ただ覚えるよりもね」
「ずっと勉強になるな」
「実際にする姿を見たら」
「そうだ、マナスは覚えることも大事だがな」
「見ることもだね」
「耳にも入れるんだ」
 こう言うのだった、孫に。
「わかったな」
「そういうものなんだね」
「自分でも詠うんだ」
 そのマナスをというのだ。
「マナスチになったつもりでな」
「そうしたこともしていけば」
「絶対に全て覚えられる」
 その長いマナスをというのだ。
「わかったな、じゃあな」
「うん、僕読むだけじゃなくて」
「詠え」
「そして実際にだね」
「マナスチになれ、そうすればな」
「そのチャパンも着られるんだ」
「わしが今着ているこの服は全てだ」
 チャパンもアク=カルパクもというのだ・
「御前にやるからな」
「くれるんだ」
「そうだ、御前のお父さんにはもうある」
「僕にはまだないから」
「わしのチャパンは御前にやる」
「その帽子もだね」
「勿論だ、笛もな」
 手に持っているこれもというのだ。 
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