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ドリトル先生の水族館

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第六幕その十

「もうね」
「気付く。僕は」
「そう、気付けばね」
「今以上に幸せになれるのよ」
 チープサイドの家族も言うことは皆と同じでした。
「先生自身がね」
「本当にそれだけなのに」
「これが中々ね」
「進まないわね」
「そこが先生なんだけれど」
 ジップは先生の性格から言うのでした。
「困ったことでもあるね」
「困ったこと。僕の」
「そうだよ、僕達は確かにいつもずっと先生と一緒にいるけれど」
 ホワイティも言います。
「新しい、ね」
「どうかな、先生」
「気付いたらいいだけだからね」 
 オシツオサレツが言うことはといいますと。
「気付く努力をしてくれたら」
「今以上に幸せになれるからね」
「ううん、僕は今が最高に幸せなんだけれど」 
 また言った先生でした。
「これ以上に幸せになれるのかな」
「そうだよ、だからね」
「ちょっと気付いてね」
「ほんの少しでいいから」
「頼むよ、そこは」
「何かわからないけれど幸せには限度がない」
 先生は首を傾げさせて述べました。
「そのことは覚えてくべきかな」
「是非ね」
「いい人はそのよさの分だけ幸せにならないと」
「だから先生はもっと幸せにならないと」
「先生みたいないい人はいないから」
 皆先生の素晴らしいお人柄を知っているからこそ言うのです。
「今以上にね」
「幸せになろうね」
「僕達との約束だよ」
「いいわよね」
「何かこれ以上幸せになると悪い気もするね」
 無欲な先生は皆の言葉に少し笑って返しました。
「何もかもがあるのに、今の僕は」
「それが違うんだけれど」
「もっとね」
「そこでだよ」
「欲を出していいから」
「欲もあっていいから」
 皆が言うにはそうです、この辺り先生と皆の考えは違います。先生はわかっていないのですがそれでもです。
 それで皆も言うのですがやっぱり先生はこれ以上の幸せはいいと言うばかりです、それで鶏肉のステーキを食べても言うのでした。
「このステーキだってね」
「凄く美味しいっていうのね」
「それもかなり」
「そう言うんだね」
「そうだよ、こんな美味しいステーキないよ」
 フォークとナイフで食べながらのお言葉です。
「こうしたステーキを食べられるのなら」
「最高に幸せ」
「そう言うんだね」
「だからなんだ」
「これ以上はいいんだ」
「しかもスープも美味しいし」
 こちらもいいというのです。
「あとパンもね」
「確かにここのレストランも美味しいね」
「大学の食堂もいいけれどね」
「このレストランもね」
「美味しいわね」
「そう思うよ。じゃあこれを食べて少し休憩して」
 午後はといいますと。 
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