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シュシュット

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第四章

「服ですか」
「服?」
「お給料入ってお金もあって」
 それでというのだ。
「そのこともありまして」
「そう、服ね」
「パキスタンの服ありますか?」
 理恵子はおかみさんに尋ねた。
「お国の服は」
「あるよ」
 これがおかみさんの返事だった。
「それも私達の服がね」
「ってことは」
「そう、カラーシャ族のね」
 その民族の服がというのだ。
「あるよ」
「それはまた」
「思わなかったかい?」
「はい、ちょっと」
 理恵子は率直に答えた。
「思わなかったです、ですが」
「それでいいわね」
「はい」
 やはり率直にだ、理恵子は答えた、
「それじゃあそれ買わせてもらいます」
「じゃあ私もね」
 智美も話に入って来た。
「買わせてもらおうかしら」
「あんたは買ってなかったの?」
「お店の商品は幾つも買ってるけれど」
 これまでだ、そうしてはきたというのだ。
「けれどね」
「それでも服はなの」
「買ってなかったのよ」
「そうだったのね」
「パキスタンの服はね」
 カラーシャ族の服もというのだ。
「買ってなかったのよ」
「だから」
「ええ、あんたが買うって聞いてね」
「それであんたもなのね」
「そう思ったから」 
 だからだというのだ。
「買わせてもらうわ」
「それじゃあ一緒にね」
「ええ、買いましょう」
「それじゃあ私達の服ね」
 ここでまたおかみさんが言って来た、今度は二人に。
「買ってくれるのね」
「jはい、そうさせてもらいます」
「私もね」
 二人でおかみさんに応えた。
「カラーシュ族の服を」
「そうさせてもらうわ」
「じゃあ帯やネックレスに」 
 おかみさんは早速だった、二人に商品を言って来た。
「シュシュットもね」
「シュシュット?」
「それ何なの?」
「こっちで言うヘアバンドよ」
 それだというのだ。
「私達カラーシャ族のね」
「ヘアバンドですか。そういえば」
 ヘアバンドと聞いてだ、理恵子はここでだった。
 おかみさんの髪型に気付いた、その髪型は独特のものだった。
「三つ編みが」
「三つあるっていうんだね」
「はい、前に一つで」
 そしてだった。
「横に一つずつで」
「合わせて三つね」
「それもですね」
「そう、カラーシャ族の髪型だよ」
「そうなんですね」
「別にこの髪型にしなくてもいいけれど」
 髪を短くしている智美も見て言うのだった。 
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