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シュシュット

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第二章

「カラーシャ族っていうね」
「カラーシャ族ね」
「そう、金髪碧眼でムスリムじゃない」
 そうした人達だというのだ。
「アフガニスタンとの国境の谷のところにいるね」
「何か凄いところにいる民族みたいね」
「私達から見ればね。人口は三千人位よ」
「つまり少数民族」
「ええ、そうなるわ」
 実際にとだ、智美は理恵子に話した。
「パキスタンの中でもかなり珍しい民族よ」
「まああの国でイスラム教徒ってないだけでね」
 理恵子はこのことから言った、彼女の中ではパキスタンイコールイスラム教徒の国というイメージが強いからだ。
「相当珍しいわね」
「でしょ、それでそのカラーシャ族の人がね」
「日本に来てなの」
「雑貨屋さんやってるの」
「どういった経緯で日本に来たのかしら」
 理恵子はこのことにも興味を持って言った。
「アフガニスタンとの境にいる人達が」
「そこは私もわからないけれど」
「とにかくなのね」
「日本におられてね」
「お店をやってて」
「パキスタンものを売ってるの」
「そこまで聞いたら」
 どうしてもとだ、理恵子は答えた。
「興味を持たないではいられないわね」
「そうでしょ、そう思ってあんたにも話したの」 
 智美はにこりと笑って理恵子に話した。
「どうかって思ってね」
「そうなのね、紹介上手ね」
「そうしたサイトも持ってるわ、とにかくね」
「私をそのお店に案内してくれるのね」
「そうさせてもらうわ」
 こう笑顔で話してだ、そしてだった。
 理恵子は智美の案内を受けてだった、その雑貨屋に言った。その店は繁華街の端の方にあってだった。
 小さな店舗の中に様々な異国情緒に満ちたものが置かれていた、アラベスク模様に様々な色のものがだ。
 その商品達を見てだ、理恵子は智美に言った。
「インドはね」
「よく知ってるわよね」
「インド映画も観てるし」
「それで知識得たのね」
「まあね。凄い国よね」
 そのパキスタンと犬猿の仲、かつては同じイギリス領だったその国のことも言うのだった。
「あそこも」
「それでそのインドは知ってるのね」
「ええ、けれどね」
 それでもとだ、理恵子は智美に商品達を見つつ話した。
「インドとは違うわね」
「そうでしょ」
「イスラム教ね」
「ええ、インドはヒンズー教が多くてね」
「パキスタンはイスラム教だから」
「それの違いがあるの」
 かつては同じだったとしてもというのだ。
「だから模様もね」
「こうした感じなのね」
「色の使い方もね」
「そうなのね」
「ええ、それと」
「このお店の人はね」
「パキスタンの人でも」
 それでもというのだ。
「イスラム教徒じゃないから」
「そうよね、カラーシャ族の人で」
「また独特の人なのよ」
 そうだというのだ。 
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