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IS〜もしもの世界

作者:にゃーす
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31話

ー学園祭当日ー





「いらっしゃいませ」

「あ!枢木くんだ!本当に燕尾服着てる!」

「お嬢様、ここは撮影禁止なのでお控えください。もちろん午後から織斑くんとのツーショットもあるので、ご理解頂けるとありがたいです」


と取り敢えず一夏に客を回す作業をしていた。まず執事の言葉遣いが分かんないのでシャルに学び、形だけでも真似たが正直疲れる。


「枢木く〜んちょっと厨房手伝って〜」


「了解ー」



とまあ、厨房兼接客なので本当にさっきから行ったり来たりである。


「湖畔に響くナイチンゲールのさえずりセット一つ」

「あいよ」

と手早く紅茶を淹れ、ケーキをだし、ついでに(一夏にご奉仕する、される券)をすっと入れる。ちなみに期限は10分。

ほんとネーミングセンス無いなと感じつつトレーを渡す。他にも色々あったがあんまり言いたく無いので伏せておく。
と、今度は接客が忙しくなったので交代する。



「いらっしゃいませー。はい2名様ですね。あちらの席にどうぞ。はい、一名様ですね。奥の方どうぞ」


と空いてる席に取り敢えず人を押し込むように捌く。

「あー枢木くん。あなたご指名なんだけどこれる?」

「少しキツイな。一夏は?」

「今、鈴の相手してる!」

「うーんその人断れない?」

「いやーその相手が生徒会長なんだよね・・・」

「・・・わかった、五分待っててくれ」


と今も列はバラバラで廊下にずらーっと並んでいるので、

「すみませーん!しっかりきた人から並んでくださーい。ちゃんと織斑くんと触れ合えるので落ち着いてくださーい。じゃ無いといつまでたっても中に誰一人入れませんよー」


と少し、飴を放り込む。するとみんなビシッと並び長蛇には変わりないが、なんとか整理することはできた。これなら少しは持つだろうとクラスの人に任せ、楯無さんの席に向かう。

「お待たせしました、お嬢様」


「ふふ。似合ってるわよ」


「・・・ありがとうございます。ご注文の方は?」

「そうね。・・・あら?この「執事に(の)ご褒美セット」って何かしら?」

「・・・当店おすすめのケーキセットはいかがですか?」

「・・・そうね」


なんとか回避できたと思った瞬間、

「やっぱり執事にご褒美セットでいいわ。あと、口調が少しおかしくて変だから普通の方が良いわ」


「・・・ほんとに後悔しますよ」

「なおさら楽しみだわ♪」


とニヤァと意地悪な笑みを浮かべてきた。


「・・・少し待っててください」


とその場を離れフォークとケーキを持ってくる。


「お待たせしました」

「・・・あら?普通じゃない」

と、少しつまらなさそうに言う。


「これを「オレに」半分食べさせるんですよ」

とおれが言ったら、すっとケーキをすくい俺に持ってきた。

「はい♡あーん」

「ぐっ。・・あーん」

と口の中にケーキを入れられる。何故だろう。凄く屈辱的な感じがするのは。
これを半分食い終わるまでずっと「あーん」のリピートなのでほんとに周りからの視線が怖いのと、ニヤニヤしながらずっと「あーん」を言い続けてきてそれを返す恥ずかしさがヤバかった。


「あら、もう半分なのね。無くなるまでしたかったなぁ」

「・・・もう帰りてぇ」

「そういえば残りの半分は?」

「普通にタベルダケデスヨ?」

「急に片言になったのは何故かしら?まさか、嘘ついてる?」

「いえいえ、まさかそんなお嬢様に嘘をつくなんて恥ずべき事を仰るなんてあろうございません」

「なにかいろいろ混ざってるわよってあら?」

とメニューを見る楯無さん。

「こんなところに(の)って書いてあるのは何?」

「・・・逃げるが勝(ry」

「逃がさないわよ?」

と脱兎の如く逃げようとする俺をがっしり掴み、結局食べさせる羽目になった。そして周りの声が「なにあれ?本当にお嬢様みたいじゃない」とか、「あんなのやらせるなんて・・・最高!」など、色々言っていたがなるべく聞かないようにしていた。それでも口に運ぶたびに本当に嬉しそうな顔をする楯無さんの顔は忘れられなかった。














そんなこんなで休憩が入り、少し一人になろうと正面ゲートの近くを通っていると、虚さんが誰かと喋っているので見てみると、なんと一夏の友人である五反田弾だった。前、一夏の家に遊びに行ったら行く途中であったのでお互い自己紹介しそのまま遊んだ覚えがあった。




「おーい弾ー何してんだー?」

「あ!泰人か!」

と何故か救いの目で見られる。なんで?

「あ、枢木くん。貴方の知り合い?」

「ええ。すいません。弾。これだろ?」

とポケットの中からすっと渡す。


「すまんすまん、渡し忘れてたんだよな」

「お、おお!ありがとう!」

と渡してるのを虚さんは見て、


「今回はそれで良いけど次は無いからね?」

「はは。すいません」

「す、すいません」


と、俺と弾は謝るが、弾は照れ臭そうに言っていた。あ、虚さんに惚れたな。
と、タイミングが良いのか電話でシャルから戻ってきてほしいとのこと。

「な、なに笑ってるんだよ」

「いやいや。じゃあ俺はこれで。あ、虚さん。暇なら少し弾に案内してやってくれませんか?俺と一夏と弾で行きたかったんですが野暮用が入ってしまって」


少し考えていたが「ええ、いいわよ」と帰って来たのでそのまま、クラスへ戻る。



そして戻ると何故か楯無さんがいて、捕まえられた。一夏も同じく捕まえられた。


「演劇に参加して欲しいのよ」

「演劇?」

「そう。観客参加型演劇」

「拒否権は?」

「ないわ。とにかくおねーさんと一緒に来なさい。はい、決定」


と、さすがに連れてかれるのはヤバイのかシャルが抗議するが、なにか耳打ちすると、すぐに逃げていった。なんだアレ。






そして現在、俺はとある場所にいる。一夏?ああ、あいつはー



「うわああああああ!」


「こらっ!王冠置いていきなさいよ!」


「置かねば斬る!」

などと言っていた。ほんとおっかないなあ。
などと言っていると急に真っ暗になり一夏の「うわっ!」がかすかに聞こえたまま、暗闇に包み込まれた。


「なんだ?楯無さん。一夏の現在位置は分かる?」

「分からないわ」

「じゃあ俺が行くんで信号を辿ってください。じゃあ「一夏の元へ転送」」


とつぶやくと目の前がぐにゃりとなり、何処かの更衣室、そして目の前でロッカーに叩きつけられている一夏とそのまま、蜘蛛の脚のような物で一夏を狙う誰かがいた。


「っ⁉︎なんだてめぇは!」

と脚を放ってくるが時止めで避け、一夏を俺の元へやる。


「っ⁉︎いつの間に?」

「来い雷神」

と叫ぶと同時にISを展開、そのまま相手の脚を4本切り落とした。


「てめぇ!ぶっ殺してやる!」

「無駄だ」

残り4本で攻撃するがすべて「観えている」。万華鏡写輪眼の見切りは常に相手の一本先を見据えれるのであとはその軌道に合わせて斬るだけである。

「ぐっ・・・こんなクソ餓鬼にいいい!」

と敵に向かって謎の白い霧がまとわりつく。


「『清き熱情(クリアパッション』」

と叫ぶと敵の周りにある霧が急に爆発する。
いつのまにか後ろには一夏のとなりにISを展開した楯無さんがいた。


「ぐっ・・・まだだ・・・」


と言って菱形のISコアを持っているが、

「来い!白式!」

と一夏が叫ぶと、持っていたISコアが消え、一夏は白式を身に纏っていた。

「これで終わりだ!」

と一夏が叫び敵に向かって零落白夜を放つ、そしてギリギリのところで、

「くそっここまでか」

と叫びIS本体から離れてそのままISが光に包まれる。


「ちっ!『素戔嗚!』」

と叫び、俺は一夏に覆い被さった。











「ー!ふう。ギリギリだったな」


「こ、これは?」

「細かい話は後だ。楯無さん一夏についていて下さい。俺はラウラ達の元へ向かいます」

とだけいい、ラウラ達へ向かった。







ー校庭ー


「ぐっ!セシリア!」

「はっ!」


「迎えにきたぞ」

「へえ。誰をかなあ?」

「⁉︎」

と襲撃者が敵を抱え逃げようとビットをすべて、こちらへ向けてきたが俺はすべて切り落とす。

「逃げれるとでも思ってんのか?」


「くっ!」

と振り向きざまにビームを放つがそれを避ける。そして、

「っらあ!ぐっ!」

と一撃目で襲撃者のバイザーを切り裂くが、二撃目に入る前に後ろから攻撃を喰らい態勢を崩され攻撃できなかった。

「ちっ!」

「っててあ、まてこ・・・!」

と振り向き相手を見ると、なんと顔が織斑先生そっくりだった。

「はっ!」

「っと!」

またビームを目くらましに放ってきて、それを切り裂くといつの間にか、敵は消えていた。


「泰人。敵は!」

「すまねぇ取り逃がしちまった」

「そうか・・・」

とだけいい、俺たちは学園に戻った。




 
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