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オズのポリクローム

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第六幕その六

「いつも次から次に何かが起こる旅もいいけれどね」
「そんなこと言ってると起こるわよ」 
 二匹にです、ドロシーがにこりと笑って言いました。
「何かが」
「ああ、ドロシーといるとね」
「絶対に何かが起こるからね」
「ピンチに次ぐピンチ」
「そしてそれを乗り越えるんだよね」
「それが私の冒険だから」
 それでというのです。
「起こるわよ」
「ううん、そうなんだよね」
「それがまた楽しいけれどね」
「ドロシーがいるとね」
「何も起こらないってことはないからね」
「むしろオズの国ではね」
 ドロシーがどうとかいうよりもこの国そのものがというのです。
「何かが起こるから」
「だからですね」
「そのことはもう踏まえてですね」
「頭の中に入れておいて」
「常に動くべきですね」
「そういうことよ、じゃあいいわね」
 こう言ってでした、そしてです。
 ドロシーはにこにことしてです、皆にあらためてお話しました。
「いつも何が起こってもいい様に考えておきましょう」
「そうね、その方がすぐに何でも対応出来るから」
 ポリクロームがドロシーに応えました。
「その方がいいわね」
「だからね」
「そう心構えしておくべきね」
「その通りね」
 こう言ってドロシーの言葉に頷くのでした。
「それじゃあ何が起こっても皆で受け止めましょう」
「楽しんでね」
 こうしたこともです、ブラッシングをしつつお話をしてです。
 皆で飛行船に乗りつつ先に進んでいっていました。その時に。
 ジョージは上を見てです、驚いて言いました。
「上に凄く大きな金色の鳥がいますけれど」
「あっ、確かにね」
 神宝もジョージの言葉を受けて上を見ました、他の皆も。すると確かにそこに金色のとても大きな鳥が飛んでいました。
 飛行船の少し斜め上にです、鷲に似ている形の鳥がいます。しかも金色に輝くその身体の周りにはです。
 火が燃え盛っています、カルロスはそれを見て言いました。
「あれはフェニックス?」
「そうだよね」
 ジョージもカルロスのその言葉に頷きます。
「あれは」
「うん、そうだよね」
「まさかね」
「フェニックスまでいるなんて」
「フェニックスっていうと」
 恵理香もその大きな鳥を見つつ言います。
「五百年に一度生まれて生まれ変わり続けて」
「永遠に生きる鳥だよ」
「そうよね」
「フェニックスもオズの国にはいるのね」
 ナターシャも上を見ています。
「そうなのね」
「そうよ、オズの国にもフェニックスはいるのよ」
 その通りだとです、ポリクロームが五人に答えます。
「それでお空を飛んでいたりするの」
「雲の上をですか」
「この飛行船の上を」
「あの鳥は高く飛べるの。朱雀さんと一緒で特別な鳥だから」
 だからだというのです。
「飛んでいるの」
「そうなんですね」
「ただ、オズの国ではフェニックスは生まれ変わらないから」
 五百年に一度の転生はないというのです。 
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