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オズのポリクローム

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第四幕その三

「穴を開けてそうして中にお顔を入れて食べるのよね」
「僕の場合はそうだけれど」
「そんなことしたら駄目よ」
 絶対にというのです。
「無作法な食べ方だし毛が西瓜のお汁で濡れるでしょ」
「うん、確かにね」
「だから駄目よ。若し食べたくなったらね」 
 その西瓜をというのです。
「私が切ってあげるから」
「その西瓜を食べればいいんだね」
「そう、だからね」
「そのまま食べたら駄目なんだね」
「そうよ」
「ううん、僕達だとね」
「皮ごと食べるけれどね」
 これが腹ペコタイガーや臆病ライオンの食べ方でした。
「そこはね」
「身体の大きさが違うからね」
「そうだね、動物によって食べ方が違うのは当然だね」
 ジョージは二匹の言葉を聞いて頷きました。
「それは。まあね」
「まあ?」
「まあっていうと?」
「うん、オズの国のことがまた一つわかったよ」
「僕達もお野菜を食べることがだね」
「そのことがだね」
「そういえば前からだったね、タイガーさんもライオンさんもお野菜も果物も食べてたよ」
 ジョージはここでこのことも思い出しました。
「お菓子だってね」
「そうだよ、僕達も色々とね」
「食べるんだよ」
「だからね」
「西瓜だって大好きなんだよ」
「そうだね、じゃあ皆で西瓜もね」
 それもとです、皆でお話しながらでした。
 お空の旅の中でお昼御飯も楽しみました、そのお昼の後は飛行船の中のお風呂にも入りました。そしてです。
 お風呂から出てです、ジョージは魔法使いに尋ねました。今飛行船は雲の中を飛んでいて一面白くふわふわしています。
「あの、飛行船の中にお風呂があるのは」
「そうそうないよね」
「はい、やっぱりオズの国の飛行船だからですね」
「そうだよ」
 まさにそれが為にというのです。
「だからなんだよ」
「それでお風呂もあるんですね」
「うん、普通の飛行船にはないから」
「そこは飛行機と同じですね」
「だから特別だよ、けれど気分がいいね」
「はい、凄いお風呂ですよね」
 そのお風呂のことをです、ジョージは魔法使いに目を輝かせて応えました。
「一面、横も下も上もガラスで」
「透明になっていてね」
「お空が三百六十度見えていて」
「魔法のガラスだからね」
 それでというのです。
「飛行船の袋になっている部分もね」
「お空がですね」
「見えるんだ」
 そうなっているというのです。
「あそこはね」
「そうなんですね」
「僕も後で入るよ」
 魔法使いはにこにことしてジョージに言いました。
「そして景色も楽しんでくるよ」
「そうされるんですね」
「女の子達も入ったかな」
「はい、ドロシーさんと一緒に」
「楽しませてもらいました」
 すっきりとしたお顔で身体から湯気をほかほかと出しながらです、女の子二人も魔法使いに答えました。 
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