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転生特典をもらっても全て得になるとは限らない

作者:フリーK
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機動戦士ガンダムSEED編
  第20話

 
前書き
 正直言って今のところ一番どういう風に喋らせたらいいかわかりずらいキャラがキラだったりする。今回も結構迷いましたね。あんまり喋ってる場面はないんですが。
 

 
 キラとカガリが行方不明になったり、フレイ・アルスターがムウの下でパイロットの訓練を受けていると発覚してから数日後。オレは現在ついにアークエンジェルと明けの砂漠によるバルトフェルド隊との決着をつける時がきた。
 アークエンジェルにとってはアフリカ共同体を出てアラスカに辿り着く為にどうしても戦わなくてはならない相手であり、明けの砂漠にとっては自分達の土地を奪いに来た奪略者。
 そしてバルトフェルド隊からしても明けの砂漠の方はともかくアークエンジェルに関してはあちらにとって確実に倒しておかなければならない敵で、この戦いは絶対に避けては通れないものなのだ。
 明けの砂漠は地雷原を使って敵の陣形を崩す作戦を立てているようで、マリューやナタルもそれが有効打になると考えて戦場はその地雷原を大量に設置してあるポイント近くの廃鉱の坑道になる予定だ。確かに明けの砂漠が保有している地雷原は原作でもバクゥ数機を撃破する程威力を有している。作戦通りにいけばバルトフェルド隊に十分な打撃を与えられる事だろう。
 ……しかし、その作戦は事前にバルトフェルドに読まれており、戦闘開始前に全て地雷処理が為されてしまうのをオレは知っている。この作戦に関して打ち合わせをしている場にオレもいたのだが、はっきり言ってそれが全部パァになるのを知ってるだけに何だか聞いているのが辛くなってしまった。だからといってそんな知っている筈のない情報を言う訳にもいかないし、ここで流れを変えてしまうとこの戦いに勝てるかどうかが全くわからなくなるので、ますます言えず仕舞いになってしまいどうにもできない状態に陥ってしまった。全く、何ともうまくいかないもんだ……。

「一応祈っとくか。地雷処理されない事を」

 まあ、それが叶う確率はかなり低そうだが。そんな事を思いながら歩くのを再開し始めた。
 オレは現在、戦いが始まる前に腹ごしらえの為に食堂に向かっている最中だ。明けの砂漠は既に前線基地から目的の廃鉱に向けて出発しており、アークエンジェルもそれに追随している。恐らくもう少しすればバルトフェルド隊と接触する頃なので時間がある内に食べれるものは食べておきたいといったところだ。
 そうして食堂に到着し、どこに座ろうかと食堂内を見回していると一人で食事をしているキラを発見した。
 よく見ると何やら溜め息をついておりあまり元気がない様子だ。あれは十中八九バルトフェルドの事について悩んでいるみたいだが、戦闘開始までもうそんなに時間がないというのにあの有り様なのはマズいな。
 バルトフェルドは何としてもでもオレが戦うつもりではあるが、他の奴をキラに任せるにしてもあれじゃあ隙をつかれて敵に墜とされかねない。それにバルトフェルド隊には原作なら地球に落ちたイザークとディアッカがジブラルタルから合流する。この世界だとイザークではなくニコルが地球に落ちたが、ニコルはイザークと違いプライドの高い性格ではなくクルーゼ隊の四人の中ではかなり物事を冷静に見られる方だと記憶している。下手をすれば砂漠でも戦えるよう予めOSを設定してから挑んでくる可能性があると思うんだよな…。まあ、ただの予想でしかないがそういう事は有り得る話だと思っておいた方がいい。戦場で絶対なんていう言葉は通用しないのだから。
 オレは自分の分の食事を取ってからキラの座っているテーブルに向かった。キラの正面の席に座るとあちらもこっちの存在に気付いたようで少しばかり驚いた表情になっていた。

「悠凪さん、いつからここに…」
「今来たとこだよ。しかし随分と悩んでるように見えたが何かあったか?」
「……そんなに顔に出てましたか?」
「ああ。如何にも何かあったって察せる位にはな」

 それを聞いてキラは意外にすんなりとこちらを見据えながら話をし始めた。それを見て、こうしてすぐに話してくれるのはかなりこちらの事を信用してくれているんだろうな、と思いながらそれに耳を傾ける。

「……あの日。町に行った時僕とあの子と二人で、虎に会ったんです」
「虎って、砂漠の虎か?」
「はい。虎に……あの人に聞かれたんです。「どうすればこの戦争は終わると思う?」って」
「戦争の終わらせ方ねぇ……」
「そう言われて考えてみたんです。でも、考えれば考える程、どうすればいいかわからなくなっていって……。…悠凪さんはどうしたらいいと思いますか?」
「」

 いや、オレに聞くなよ。今の肩書きはフリーの傭兵であって、そんなオレにこんな事を聞くのは間違いだろうに……。
 それにこの戦争ははっきり言ってそれこそどちらかが殲滅されるまで続くだろう。片や地球連合を牛耳っているのはコーディネイターへの恨みを晴らし、プラントを壊滅させる事にも何の罪悪感も抱かないムルタ・アズラエル率いるブルーコスモス。もう一方はナチュラルを根絶やしにしようと本気で考え戦略兵器であるジェネシスを地球に向けて発射しようとするパトリック・ザラ率いる(今はまだ穏健派のシーゲル・クラインがプラントの最高評議会議長だが、後1ヶ月程でパトリックが議長に就任する)ザフトもといプラントだ。……これでは和平交渉とかで終わらせるのはまず無理だろう。それぞれの方針を穏健派主導で決めれる状態にするか、原作のように第三勢力が介入でもしない限り事態が良くなる事はない。
 だが、こいつが聞きたいのはそんな情報ではなくオレ個人としての意見だ。………正直言ってそんな方法が個人で導き出せれば誰も苦労はしないだろうというのが本音ではあるが、キラは本気でこの件について考えているようだし、たったそれだけで終わらせる事はできないな…。そうだな、真面目に答えてみますか。

「……そんな事、考えた事はないな。何せオレは傭兵だからな。戦場で戦うのを仕事にしてるんだからそれが実現したら職を失う訳だし」
「あ……。そ、そうですよね。すいません……」
「いや、話まだ終わってないから。……そうだな。まず戦争が終わるのは戦ってる各陣営のトップがお互い妥協点を見つけて和平が成立する。またはどちらかがもう一方の勢力に敗北と言っていい程の被害を被った時などだな」
「敗北と言っていい程の被害って……」
「要は兵器を作る事ができない位に経済的に疲弊し、同時にまともな兵士を育成する余裕が無くなる程に人的被害を出した時……かね。だがそこまでいくとなると最悪歯止めが効かなくなる。それこそどちらかが滅びるまでの殲滅戦に移行するかもな」
「じゃあ和平交渉………でも」
「地球側は「エイプリル・フール・クライシス」の被害でプラントに反感を持っている国々が多い。一方でプラント側も「血のバレンタイン」でナチュラルを敵視する者がほとんどだ。……今の状況で和平交渉なんて夢のまた夢だな」

 それを聞いてキラは項垂れてしまった。あまりにも絶望的な情報を聞いて落ち込んでしまったのだろう。

「だがナチュラルとコーディネイターの融和を考えている人間もいるし諦めるのはまだ早すぎる。……それとだな。具体的な案って訳じゃないが、同じような考えを持ってる人間同士で意見を出し合う事が必要になってくると思うぞ」
「意見を出し合う……ですか?」

 キラは今の言葉が気になったようで、項垂れていた顔を少し上げてオレの話の続きを聞く事にしたようだ。この後の戦闘で問題なく戦えるよう話をしているのに、それでますます状態が悪くなったら本末転倒だからな。ちゃんと立ち直ってもらわないと。

「ああ。まずこの問題は到底一人で解決策を思いつける程簡単なものじゃないし、だったら人にも意見を募った方が良い案が出やすいだろ。……ただし、これには注意点がある。それは意見の出し合いにならずにワンマン状態に陥る事だ」
「ワンマンって……つまり、一人の意見だけで物事が決まる事……ですよね」
「そうだな。そういう意見を出し合う筈の場でそんな事になってしまったら目も当てられない。どんな崇高な理念やら主張でも所詮は人間の考える事だ。絶対に正しいなんて事はないし、そんなものが既にあるんならそもそも話し合う必要さえ無い。
 要はワンマンで物事が決まるとその考えに間違いがあってもそれに気付く事なくそれを実行するまでに発展しちまう。そうなると、気付いた時には取り返しの付かない失敗をしてしまった、とかになるんだよ」

 実際、「SEED DESTINY」でのクライン派の連中ってそんなんだったよな。あの中に強くラクスやらの考えに異を唱える者は一人もいなかったからこその意味のない戦場介入だったりするし。スパロボZだと自軍にまで戦いを仕掛けてくるから最悪だよ。……スパロボLの状態だったらどんなに良いことか。
 ふとキラを見てみると何か納得がいったような顔をしていた。オレの話で何か思うところがあったらしい。
 ……スパロボZの時期にオレの話を思い出してくれたら幸いだ。頼むから原作通りの行動なんて起こさないで欲しい。切実に願う。

「参考になったか?」
「はい。まだ何となくですけど……どうすればいいのか見えてきた気がします」

 その顔は食堂に入った時とは違い、憑き物がとれたように迷いのないものに代わっていた。少なくともこの後の戦闘は大丈夫そうだ。そう思った時、唐突に誰かがオレの肩を軽く叩いてきた。 
 誰かと思いその人物の方へ振り向くと、そこにはトレイを手に持ったムウが立っていた。

「よう。お二人さん、何話してたんだ?」
「フラガ少佐。どうしたんですか?」
「どうしたって、飯を食いに来たんだよ。食える時に食っとかなきゃいざという時力が出ないからな」

 その言葉を聞いて、ああそういえばオレも腹ごしらえにここに来たんだったと今更ながらに思い出した。
 …キラとの話に夢中で食事に手を着けるのも忘れていた。全く、ムウが来なかったら食べ損ねるとこだった。危ない危ない。
 急いで目の前の食事を掻き込むように胃袋に入れていく中、ムウはオレの行動に若干呆れながらこちらの隣に座った。

「そんなに急いで食わなくてもいいだろ……。まあそれだけ食い意地張ってりゃこの後の戦いも大丈夫か。
 そうだ、坊主も食っとけ。現地調達だからうまいぞぉ、これは」

 そう言ってムウは自分のトレイに入れてあったケバブの一つをキラに渡したのだった。………オレの分は無いんですか?

「フラガ少佐、オレの分もプリーズ」
「そんだけの量を食っといてまだ欲しがるのかよ…」
「いや、人が食べてるの見ると欲しくなる時ってあるだろ?という訳でください」
「はぁ……、別にいいけどよ。お前周りからよく食うなって言われないか?」

 そう言われてここに来るまでの事を思い出してみる。……そういやハロに結構言われてたっけ。『お前一人でそれなりに食費が掛かる』とか何とか。何か転生してこの体になってからよく腹が減って仕方がないんだよなぁ。疲れた時なんかは特に。……この体って人より燃費が悪いのかね?
 そんなオレ達の様子をキラはケバブにヨーグルトソースをつけて食べながら見ていた。

「おっ、ケバブにヨーグルトソースとはわかってるねぇ。やっぱケバブはヨーグルトがうまいよな」

 オレのトレイにもケバブを入れながら、ムウは自分の好みと同じ食べ方をしているのを見て嬉しかったのか知らないがそうキラに話していた。それに対しキラは何か思い出したようにムウに喋りかける。

「あの人の影響…ですね。虎もケバブにはヨーグルトソースが合うって言ってましたから」
「…ふーん、虎も味のわかる男なんだな。けど、敵の事なんか知らない方がいいんだ。早く忘れちまえ」
「えっ?」
「これから命のやり取りをしようって相手の事なんか知ってたってやりにくいだけだぜ?」

 そう言われてキラはまた何やら考え込んでしまった。多分アスランの事を思い出したんだろう。……ムウめ。今回ばかりは余計な事を言ってくれたな。せっかく立ち直らせたのにまた振り出しに戻ったとかやめてくれ……。いや、もういいか。精神的に疲れるし、あまり時間もない。暗い気分のままだとまずいし食べて忘れよう。うん。

「フラガ少佐、ヨーグルトソース使わせてもらうぞ」
「おっ、悠凪もヨーグルト派か」
「いや、実のところケバブは一度も食った事がなくてな。二人共ヨーグルトで食べてるし、だったら試しにこれで食べてみようかと」
「そうか、なら是非使ってくれ。こいつは病みつきになるぞ」

 容器を手渡され、蓋を開けてケバブへヨーグルトソースを掛けていく。食欲をそそられ、思いっきりかぶりつこうとしたその時


 ドガァァァァァアン!!!!

 突然、爆発音が食堂内に響いたのだった。食堂内の面々はこれに動揺し、目の前のキラとムウも何が起こったのかと驚いている。それに対しオレは爆発音に驚きはしたもののこれが何かは検討がついていた。
 ムウは急いで食堂内に設置されている通信装置を起動させブリッジへと連絡をとっている。それからそう経たない内にこちらへ戻ってきたのを見て、キラはその内容を問い質した。

「一体、艦長は何て」
「どうやら明けの砂漠の地雷原があった方角かららしい。虎に存在がバレてたんだろうよ」
「…じゃあ」
「ああ。すぐに出撃準備だ。行くぞお前等!」

 そう言ってムウは食堂を飛び出していき、キラもそれに続いていった。
 ……やっぱり地雷処理されてしまったか。どうやらお祈りは全くもって意味を為さなかったらしい。………しかし、本当に空気を読んでほしいものだ。結局ケバブに一口もありつけないとは。……帰ってきたらまた注文しよう。
 ケバブを名残惜しみつつも、食堂を出て格納庫へと急ぐ。しかし、やっとこの時がきたか。アンドリュー・バルトフェルド、首を洗って待っていろ。必ずお前に勝利して、オレの目的を完遂させてやろうじゃないか。 
 

 
後書き
名前:天原 洸

  Lv:18
 
  PP:291

  格闘:178

  射撃:173

  技量:174

  防御:154

  回避:193

  命中:181

  SP:159

  エースボーナス:不明

  空:A

  陸:A

  海:C

  宇:A

精神:直感(SP:15)

   直撃(SP:20)

   ???

   ???

   ???

スキル:???

   精神耐性

   ???

   ???

   ???

   ???

撃墜数:53 
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