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オズのポリクローム

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第二幕その七

「オズの国はね」
「色は決まっていてもその色でないといけないということはない」
「そうなんだよ」
「成程ね」
「そうだよ、それぞれが好きな色の服を着ていいから」
「じゃあ僕達それぞれ好きな服でいいんだね」
 しみじみとして言うジョージでした。
「赤でも」
「そうだよ、その色を楽しんでいいから」
「じゃあそうさせてもらうね」
「そうしてね、それじゃあ御飯だよ」
 トトは嬉しそうに五人全員に言いました。
「皆でステーキを食べようね」
「うん、今からね」
「サラダもスープもあるからね」
「いいね、そういえばいい匂いがしてきたよ」
 ジョージはお鼻に入って来た匂いから述べました。
「これは玉葱の匂いかな」
「そうだね、玉葱だね」
 トトはもっとはっきりとわかります、流石は犬です。
「玉葱を使ってるね」
「どんなステーキになるのかな」
「それは食べてみてからのお楽しみにしましょう」
 ここで笑顔で言ったドロシーでした。
「皆でテーブルに来た時に」
「その時にですか」
「そう、食べましょう」
 是非にというのです。
「その時のお楽しみということで」
「そうですね、それじゃあ」
「ええ、今からね」
 こう笑顔でジョージに答えてでした、ジョージも皆も頷いてです。そのうえで皆で王宮の食堂に向かったのでした。
 そしてそこで、です。皆でまずはサラダにスープを食べました。どちらもエメラルドの都で採れたお野菜をたっぷりと入れた美味しいものでした。
 次には鯉をオリーブオイルとワインで煮たものです、勿論ワインのアルコールは熱されていて抜けています。
 その鯉を食べてです、モジャボロは唸って言いました。
「美味しいよね、鯉も」
「はい、ただ」
 ジョージはモジャボロに目を丸くさせてモジャボロに言いました。
「僕鯉はあまり」
「食べていないんだ」
「はい」
 そうだというのです。
「アメリカでは鯉はあまり」
「そうそう、食べないんだよね」
「そうですよね」
「そうした人が多いんだよね」
「ですから鯉が増えて困っています」
「あれっ、美味しいのに」
 神宝は実際にその鯉をフォークとナイフで美味そうに食べながらジョージに突っ込みを入れました。
「鯉って」
「うん、僕は食べるけれど」
「アメリカ人はなんだ」
「食べない人が多いんだ」
「そうなんだ」
「中国系や日系の人は違うみたいだけれど」
 それでもというのです。
「多くの人はね」
「ううん、アメリカ人って何でも食べると思ってたけれど」
「いや、それがね」
「食べないものもあるんだね」
「そうなんだ」
「僕達みたいに何でも食べると思ってたけれど」
 中国の人達の様にというのです。
「食べないものもあるんだね」
「実はね」
「それで鯉も食べないんだ」
「そうなんだよ」
 ジョージはまた答えました。 
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