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サリー

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第二章

「自分達のものを守るのですから」
「だからですか」
「はい、それはです」
「自然ですか」
「そうです、自然のことなので」
「洋服は便利ですが」
「しかし自国即ち自分達のものなので」
 自然と、言うならば無意識でというのだ。
「守る為に動くものなのです」
「では」
「はい、皆さんの言うことは自然のことです」
 普通に出て然るべきものだというのだ。
「普通に」
「そうですか、では」
「はい、その自然のことをですね」
「どう動かしていくべきか」
 グプタはアミータラーに問うた、二人は校長室のソファーにそれぞれ座ってそのうえで向かい合って話している。
「それが問題だと思いますが」
「そうですね、一つ考えを思い浮かびました」
「そのお考えとは」
「私達もそして生徒達もです」
「学校全体で、ですか」
「服を着ましょう」 
 こう言うのだった。
「是非」
「服をですか」
「はい、インド伝統の服をです」
 これがアミータラーの提案だった。
「それを着ましょう」
「あのインドのですか」
「サリー等を」
「いいですね、では我々も頭にターバンを巻いて」
「はい、そしてです」
 そのうえでというのだ。
「私達はサリーを着ます」
「いいですね、では学校行事としてやってみましょう」
「全員で我が国の伝統の服を着る」
「それをしましょう」
「それぞれ家にある服を出して」
 しまわれているそれをだ。
「そしてですね」
「ない場合は余計に持っている人か子に貸してもらい」
「レンタルしたりして数を揃えて」
「皆で来ましょう」
 学校の全員でというのだ、先生も生徒もというのだ。
 そしてだった、実際に。
 グプタは学校の全教員及び職員、生徒にだった。こう言った。
「全員で我が国伝統の服を着ましょう」
「インド伝統の」
「サリーを着て」
「そしてターバンを巻く」
「そうするんですか」
「そうしましょう、男女共にです」
 全員がというのだ。
「インドの服を着ましょう」
「それでは」
「服を家から出して」
「洋服から着替えて」
「そしてですね」
「皆で来ましょう」
 グプタが提案してだ、そしてだった。
 全校でインド伝統の服を着ることになった、男はインドの礼装にターバンで。
 女はサリーだった、だが低学年の娘達はサリーについてだ。
 首を傾げさせてだ、こうそれぞれ言った。
「ええと、サリーってどうやって着るの?」
「一体」
「お洋服と違うから」
「どうやって着るのかわからなくて」
「家にはあったけれど」
「それでも」 
 こう言うのだった、それぞれ。
 その話を聞いてだ、アミータラーはグプタに言った。 
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