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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第1話 小猫グルメ世界へ、未知なる食の冒険の始まり

side:小猫


「ふんふ~ん♪」


 鼻歌を歌いながら私は家庭科室に向かう、今日もイッセー先輩いるかな?


「失礼しま…ってあれ?鍵が掛かってる…」


 おかしいな?大体放課後のこの時間には先輩がいるんだけど…何かあったのかな?


「ちょっと心配ですね…先輩のクラスに行ってみましょう」


 私はそう言って家庭科室を後にした。




ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


 私はイッセー先輩がいる二年生の教室に来ていた。


「あ、あの子塔城小猫ちゃんだ」
「あれが『学園のマスコット』かぁ」
「可愛いな~、告白したら付き合ってくれないかな?」
「お前じゃ無理だろ~、あんな可愛い子と付き合えるのなんて木場くらいじゃないか?」
「一緒の部活だし案外付き合ってるのかも…」
「うわ、何か想像したら悲しくなったわ…」
「イケメン爆発しろ!!」


 何だか周りの視線が集まってますね…というか男子の視線が凄いです。まあそんな事よりイッセー先輩を探さないと…先輩のクラスを見てみますが…う~ん、いない…もしかしてもう帰っちゃったのかな…


「あの、すみません」
「!?ッ、は、はい!何でしょうか!」


 私は近くにいた先輩に声をかけた、でも何で驚いた表情になってるんだろう?


(え、マジかよ…小猫ちゃんに声をかけられるなんて…もしかして我が世の春が来たーーーッ!?)


 何でしょうこの人……急にニヤニヤしたりしてもしかして危ない人なのかな?


「ゴホンッ!…何かご用かな、小猫ちゃん?」
「あの…イッセー先輩ってもう帰られたのですか?」
「イッセー…ああ、兵藤か。あいつは今日休みだよ」
「お休みですか?」


 いつもあんな元気なイッセー先輩が……?


「ああ、兵藤は一年の時から偶に学校を休んでたんだ、いつもは元気な奴なのにな」
「先輩が…」


 どうしたんだろう、何だか心配になってきました、様子を見にいこうかな……?


「そ、そんなことより小猫ちゃん、今暇かい?良かったら俺とデートにでも……ってあれ?……いない……」




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ーーー


 私はイッセー先輩のクラスの担任の先生に話して先輩の家の住所を教えてもらった。最初は渋っていたが私が「普段彼にお世話になっている、急にお休みされて心配です、どうか教えて頂けないでしょうか」と言ったら「塔城は先輩思いの優しい子だな。皆には内緒にしておけよ」と特別に教えてくれた。


「確かこの辺だって聞いたんだけど…あ、あれかな?」


 私は一つの家の表札を見る、そこには「兵藤」と書いてあった、ここが先輩の家なんだ。


 ピンポーン


 インターホンを鳴らすが反応が無い、何回か鳴らすがそれでも反応はない、誰もいないみたい、でも休んだのに家にいないなんてことあるのかな…?
 

 私はふとドアノブに手をかけた。


「開いてる…」


 ドアノブが回り扉が開いた、ということはやっぱり誰かいるんだ。私はイッセー先輩の家にお邪魔した。


「すみませーん、あの誰かいらっしゃいませんか?」


 …やっぱり反応が無い、まさか先輩に何かあったんじゃ…ドアの鍵もかわずに何処かに行くなんてことは無いと思うし…


「イッセー先輩。いるんですか?いるなら返事してください!」


 私は不法侵入しちゃったと思いながらもイッセー先輩を探した、だがイッセー先輩はおろか先輩のご家族の姿もない。一体どうしたんだろう…


「先輩…」


 その時だった、私はある部屋の隅で何やら光を放つものを見つけた。近づいてみるとそれは蝶だった、ケースの中で七色に輝く姿はとても美しかった。


「綺麗…こんな蝶見たことがない…」


 私は無意識にケースに手を伸ばした、すると…


「な、何この光…!?」


 突然蝶が光輝き私はその光に飲まれてしまった…



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー



「う~ん…あれ、ここは…?」


 一体何がどうなったんだろう、私は確かイッセー先輩の家で不思議な蝶を見つけてそれから…私は状況を把握するために辺りを見渡してみるがそこにあったのは…


「…お菓子?」


 そう、私がいた場所はイッセー先輩の家ではなく見た事もないお菓子で出来た家だった。


「どうなってるの…」


 さっきまで住宅街にいたはず…私はどこに来てしまったんだろう…


「…!ッ、先輩の匂いがする…」


 私はイッセー先輩の匂いを微かに嗅ぎ取った。先輩、この辺りにいるの…?私は先輩を探すため走り出した。

 
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ーーー


 森の中を彷徨いながら先輩の匂いを頼りに歩いていく、暫くすると大きな湖が目の前に現れた。


「大きな湖…先輩はこの辺に…?」
「お、来た来た来たーーー!!」


 突然誰かの声が響いた、私は声が聞こえた場所に向かった。


 私が駆けつけた場所に誰かがいた、間違いない、駒王学園の制服を着てるあの男性はイッセー先輩だ!私は直に駆け寄ろうとしたが先輩は持っていた釣竿のような物を大きく振り上げる、すると……


 ザッパーン!!


 湖から魚にザリガニの腕がくっ付いたような生物が現れた、そらにその魚目掛けて大きな五つの尾を持つ大鷲が魚にその鋭い爪を付き立てた。


「あ、ソイツは俺の得物だぞ!」


 先輩は釣竿を大きく振り回し魚と大鷲を地面に叩き付けた、何て筋力をしてるんだろう…


「うは~、ザリガニフィッシュにつられて五ツ尾オオワシまで捕獲できるなんてな、こりゃついてるぜ!」


 あの屈託のない笑顔、やっぱりイッセー先輩だ…!


「イッセー先輩!」
「なッ!こ、小猫ちゃん!?」


 私は勢いよく先輩に飛びついた。


「良かった……イッセー先輩に会えて……」
「小猫ちゃん、どうしてここに……って泣いているのか?」


 ……正直に言えば怖かった、得体の知れない場所に一人で来てしまって心細かった、だからイッセー先輩に会えて嬉しかったんです。


「小猫ちゃん……ごめんな、怖い思いさせて…」


 イッセー先輩も私をあやすように頭を撫でてくれる、先輩の手、大きくて暖かい……


 私は泣き止むまで先輩に頭を撫でてもらいました。



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ーーー


「小猫ちゃん、もう大丈夫か?」
「はい、ごめんなさい、いきなり泣き出してしまって…」
「いや今回は俺が悪かった、まさか鍵をかってなかったとはな…」


 数分後、泣き止んだ私はイッセー先輩が急に休んだこと、心配になった私は先輩の家に行った事、先輩の家で不思議な蝶を見つけた事、そして気が付いたら見知らぬ場所にいたこと、全て話した。


「先輩、ここは一体何処なんですか、さっきの生き物も見た事が無いし…」
「…小猫ちゃん、今から話す事は誰にも言わないでほしい、例えグレモリー先輩でもだ」


 先輩は普段はあまり見せない真剣な顔で私にそう言ってきた、恐らくとても重要な事なのかも知れない…


「…分かりました、これは私と先輩だけの秘密にします」
「よし…まず最初にここは俺達がいた地球とは全く異なる世界だ」


 ……えっ?予想を遥かに超える先輩の言葉に一瞬思考が停止しちゃいました。


「驚いただろう、でも事実なんだ。現にさっき見たザリガニフィッシュや五ツ尾オオワシなんて今まで見た事が無いだろう?」


 確かにあんな生き物は今まで見た事が無かった。


「この世界の地球は俺達がいた地球の何百倍も大きいんだ、これを見てくれ」


 先輩は懐から大きな地図を取り出した。


「この地図の中心が『人間界』、つまり人間が生きている場所でこの人間界を囲む広大な未開の地『グルメ界』が存在するんだ」
「グルメ界…?何だか美味しそうな名前ですね」
「ああ、実際昔はグルメ界っていうのは未知なる食材に溢れた楽園と呼ばれていたんだ、だが実際にグルメ界に行って戻ってきた人間はいなかった、唯一人を除いてな。その人間の名はハッチ、グルメ界の真実を教えた人だ」


 グルメ界の真実……?それは一体何でしょうか?


「グルメ界は楽園なんかじゃなかった。予想もつかない異常気象に人間界以上の凶暴な猛獣……まさしく地獄そのものだったらしい」
「地獄…この世界にはそんな危険な場所があるんですか?」
「ああ、それ以来グルメ界は非常に危険な場所だと世間に知れ渡りIGOは直に人間界とグルメ界の間に関所を作ったんだ」


 IGO…?また知らない単語が出てきました。


「あ、小猫ちゃんはIGOを知らないか、IGO…通称『国際グルメ機構』、世界中の食材の流通を適正にコントロールしている組織のことだ。IGOがしていることは新しいグルメ食材の発見、既に滅んだ食材の研究や新しい食材の開発、そしてさっきいった食の流通と食などに関する治安維持などがあるんだ」
「食…何というか凄いですね」
「あっちじゃ考えられない事だろ、こっちでは『美食』が世界的流行になっていてそれを『グルメ時代』と呼んでいるんだ、世界中に未知の食材が溢れ一つの食材に億単位の値段が付くこともあるんだぜ」
「億単位ですか…本当にあっちでは考えられないですね」


 グルメ時代…本当にここは異世界なんだ…あれ、でもどうしてその異世界に私達がいるんだろう?


「先輩はこっちの世界の人間なんですか?」
「いや元々は小猫ちゃんも知っているあっちの世界生まれだ、随分昔に俺は虹色に輝く不思議な蝶を見つけたんだ」


 不思議な蝶…先輩の家にいたあの蝶のことでしょうか…?


「俺はふとその蝶に触ってしまった、すると強い光に包まれて気がついたら見知らぬ海の上にあった小島に立っていたんだ、あの時は死ぬかと思ったよ、いきなり海から猛獣が現れて俺に襲い掛かってきたんだ」


 あははと笑いながら先輩はそう話す。というか先輩って何気に危険な橋を渡ってきたんですね…


「その時、後に俺を育ててくれた恩人が助けてくれたんだ。その後はその人の元で美食屋として修行を積んできた。美食屋っていうのは未知の味を求めて世界中を渡り歩き、様々な食材を捕獲、採取することを生業としている探検家のことさ」
「先輩が美食屋…」


 未知なる味を求め世界中を旅する…なんだか凄いスケールの大きい話ばかりで混乱しちゃいそうです。


「そんなある日、俺はこの世界に来る切っ掛けとなったあの蝶を見つけたんだ。俺は直にその蝶に触ってみると強い光に包まれて気がついたら元の世界に戻っていたんだ」


 先輩はリュックから写真を取り出した、それには私がイッセー先輩の家で見た七色に光る蝶が写っていた。


「『異次元七色チョウ』…この世界でもこの一匹しか見つけられていない非常に珍しい蝶だ、原理は分からないがこの蝶は二組のペアがあるらしく触れた物体をもう片方のペアの近くまで瞬間移動させる性質があるみたいんだ、どうしてあっちの世界にもう一匹がいたのかは分からないんだけどな」
「じゃああっちの世界には帰れるんですか?」
「ああ、ちゃんと帰れるよ。そこは安心してくれ」


 良かった、流石に帰れなかったら大変ですよね。



「一誠様…」


 突然第三者の声が後ろから聞こえた、私達が振り返るとそこにはスーツを来たサングラスの男性が立っていた。


「一誠様、お久しぶりです」
「アンタは確かIGOの…」


 どうやら先輩のお知り合いの方みたいです。


「先輩、この人は…?」
「ああ、この人はさっき言っていたIGOの関係者だ」
「お初にお目にかかります、私『IGO開発局食品開発部」』部長ヨハネスと申します」


 ピシッとお辞儀をしながら私に名詞を渡してきた、礼儀正しい人だな。


「一誠様、今回はIGO主催のグルメパーティに出されるメインデッシュの食材の捕獲依頼に参りました。」
「おいおい、IGOには専属の美食屋がいるだろ?どうして俺なんだ?」
「今回捕獲して頂きたいのは『ガララワニ』です」
「何、ガララワニだと!?」


 先輩が驚いた表情を浮かべる、ガララワニ…?


「はい、発見が困難な上、その生態も謎に包まれており戦車でも仕留めるのが難しいと言われている非常に凶暴な猛獣です」


 戦車でも仕留められないって…もう怪獣じゃないですか…


「一切れ十万円はするという最高級の食材、プリップリの高級タラバガニと霜降り脂たっぷりのA5ランクの高級和牛をあわせたような肉の旨み…ジュルリ…たまんねえな!」


 高級タラバガ二とA5ランクの高級和牛をあわせた肉…ジュルリ、私も何だか食べたくなってきました。


「では…」
「ああ、その依頼俺が受けるぜ、ガララワニ…相手にとって不測はねえ!!」
「あの、先輩…」
「ああ小猫ちゃん、悪いが俺はこれから依頼なんだ。小猫ちゃんは元の世界に……」
「私も連れて行ってください」
「…はあ!?」


 私の言葉に先輩は驚いた顔になる。


「小猫ちゃん、これは危険な事なんだぞ、命の保障はできねえ。それでも来たいって言うのか?」
「はい!」
「…そっか、なら付いてこいよ」


 あれ…?予想よりも早く折れてくれた…?


「『思い立ったら吉日、その日以降は全て凶日』ってな。小猫ちゃんが決めたことだ、俺はとやかく言わねえよ」
「それじゃあ…!」
「一緒に行こうぜ、小猫ちゃん。ガララワニが生息する島…『バロン諸島』によォッ!」







 これが後に『最強のグルメコンビ』と呼ばれる先輩と私の最初の一歩でした。














ーーー オリジナルグルメ食材 ---



『異次元七色チョウ』 捕獲レベル 不明


 七色に輝く蝶でグルメ界とイッセーと小猫が住む世界にそれぞれ一匹ずつしか発見されていない大変貴重な蝶。
 本来は二組のペアらしく触れた物体をもう片方のペアの近くに瞬間移動させる性質がある、イッセーがグルメ界に来ることになった切っ掛けの生物である。何故片方の異次元七色チョウがイッセーの住む世界にいたのかは不明、まだまだ謎に包まれた生き物である。
 因みに捕獲レベルが不明なのは数が少なすぎる上発見も困難なため。捕らえるだけなら捕獲レベルは1しかない。また非常にデリケートなため持ち運んだりするとショックで死んでしまうのでスイーツハウスとイッセーの家にあるIGOが開発した特別なケースに入れてある。





 
 

 
後書き
 こんにちは、小猫です、今回から次回予告を担当します。私たちは凶暴なガララワニを捕獲しにバロン諸島に向かいます、そこで私はイッセー先輩の本当の強さを知ることになります、次回「赤き龍の力、ガララワニを捕獲しろ!」
 ではまた次回お会いしましょう。 
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