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路地裏

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2部分:第二章


第二章

 春音はその道に入るとです。すぐにお兄さんに尋ねました。
「ここって」
「はじめて入る?春音は」
「こんな道があったの」
 これが彼女の返答でした。
「まさかって思ったけれど」
「あるんだよ。僕だってはじめて入ったけれどね」
「お兄ちゃんもなの」
「何か凄い道だね」
 こう妹に言います。
「いつもの道とは全然違うし」
「何か出たりするの?」
「ああ、それは大丈夫だよ」
 それはないというのです。
「いるとしても猫位だよ。大丈夫だよ」
「そうなの、猫ちゃん位なの」
 春音は猫が大好きです。ですからお兄さんのその言葉を聞いてまずは安心したのです。
 そしてそのうえで、です。二人で前に進みはじめました。すると。
 明人が足元にあるものを見つけました。
「あっ、これって」
「これって?」
「ビー球じゃない。それもこんなに一杯」
 足元にビー球が一杯転がっていたのです。誰かが捨てたものみたいです。
「凄いよ、色々なビー球があるよ」
「本当、どれもとても奇麗」
「そうだね、拾おう」
 二人はこう言い合ってそのうえでビー球を拾います。もうズボンのポケットもスカートもそれもパンパンになっています。ビー球で一杯です。
 全部拾って満足してです。二人はまた先に進むのでした。
「よし、じゃあまた行くか」
「そうね」
 春音が明人の言葉に頷きます。
「それじゃあまた先に」
「もう少し先があるから」
 明人は妹に対して述べました。
「けれど一直線の筈だから」
「歩いていけば着けるのね」
「うん、大丈夫」
 こう妹に対して話します。
「少しずつ行けばね。ただ」
「ただ?」
「何が出るかわからないかな」
 周りを見回しての言葉でした。
「ここはね。暗いしね」
「そうね。結構暗いわね」
「日が入りにくいからね。そう思うと少し怖いかな」
「そうかも」
 お兄さんの言葉にです。春音は困った顔になります。実は少し怖くなっていたのです。
 そしてそのうえで、です。また話すのでした。
「じゃあもう引き返す」
「ああ、大丈夫だよ」
「大丈夫なの?」
「春音の傍にずっといるから」
 こう妹に言うのでした。
「だからね。安心していいよ」
「お兄ちゃんずっと一緒にいてくれるの」
「一緒にいるよ。何があってもね」
「いてくれるの。だったら」
「先に行こう」
 明人はまた言いました。
「最後までね」
「わかったわ。それじゃあ先に行こう」
「うん、これからね」
 こうして二人は先に進むのでした。道は確かに少し暗いです。それでも先に進んでいきます。やがてその二人の前にまた何かが見えてきました。
 それはカードでした。二人がいつも遊んでいるカードです。それが道の端に落ちていたのです。
「カードよ、お兄ちゃん」
「うん、そうだね」
 明人は春音の言葉に頷きました。見れば道の端に何枚も落ちています。
 それを見てです。明人は驚きながらいいました。
「凄い珍しいカードばかりだし」
「そうよね、何であんなのが落ちてるのかしら」
「誰かがいらなくなって捨てたんじゃないかな」
 明人は首を傾げながらこう言いました。
「それでじゃないかな」
「それでなの」
「多分ね」
 はっきりとはわかりません。しかしでした。
 
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