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Fate/EXTRA IN 衛宮士郎

作者:トドド
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unknown 2

 
前書き
おひさしぶりです。少し時間が出来たので相変わらず駄文ですが投稿します 

 
《三の月想海 第一層》

昨日と同じようにアリーナの奥へと進んでいく。このアリーナは一本道が続き広場に出るとまた一本道が続くというシンプルな地形だ。
迷うことなくバーサーカーが現れた場所にたどり着いた。昨日と同じであたりにはエネミーがいない。
この空間はバーサーカーのために作られたものと思われる。そしてその空間に踏み込んだものを全力で排除するのだろう。

「行くぞ」

アーチャーとともにその空間へと踏み込んだ。すると再び無骨な巨大な腕が空間のひずみをこじ開けると

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!!!!」

轟きを上げるバーサーカーが現れ、アーチャーと共に対峙する。此処に来るまでの負担はなるべく少なくしてきたつもりだ。

「アーチャー頼む」

「承知した。マスターは下がっていろ」

アーチャーは干将・莫邪を両手に構えバーサーカーに突っ込んでいく。一方バーサーカーはまずは様子見とそう言わんばかりに斧剣を振り下ろしてきたが、斧剣の先は空を切り地面に叩きつけられる。するとアリーナが揺れた。

「っと、な、なんだ?」

文字通り本当にアリーナ自体に揺れが発生。昨日はこんなことなかったが、その代わり斧剣が振り下ろされた場所には亀裂が入らずそのままの形を保っている。
知らない間に地面が壊されない代わりに揺れが発生するようになっていた。

「チッ」

アーチャーもこれは予想してなかったため、揺れに足を取られてバランスを崩したところにバーサーカーの斧剣が再び振り下ろされる。アーチャーは干将・莫邪で一瞬だけ斧剣を受け止めると円を描くように体を回転させ斬撃をそらす。
すぐさまアーチャーはバーサーカーから距離を取り干将・莫邪を投擲。干将・莫邪は弧を描きバーサーカーに迫るが

「■■■■■■■■■――!!」

斧剣の剣先で器用にも干将・莫邪を切り刻んだ。だが、バーサーカーにとっては一呼吸ほどではあるが隙が生じる。

「【gain_str(16) 】」

後方で待機している俺はすかさずアーチャーに対してコードキャストを発動。赤い光がアーチャーを包み込んだ。

投影開始(トレース・オン)

アーチャーは一本の剣を投影する。全体が真っ黒で、幾つかの刃が細い芯に螺旋を描いて巻きつき、そのままやや外側に反り出したような外観をした一本の剣。
手にした剣にアーチャーの魔力が込められる。すると、真っ黒な外見とは異なり剣に赤い光を纏う。弓に剣をつがえ弦を引き絞る。

「赤原を行け、緋の猟犬」

極限まで引き絞られた放たれた剣は紅い魔弾となって、戦場を駆け抜ける。バーサーカーは持ち前の身体能力で剣を回避するが、赤い魔弾は百八十度方向転換してバーサーカーを追尾。その姿は兎を追いかけ、食いつく猟犬のようだった。
赤原猟犬(フルンディング)
ライダー戦の時は俺が近くにいたいた為その効果は充分に発揮されることがなかったが、この宝具は例え弾かれようと射手が健在かつ狙い続ける限り標的を襲い続けるという効果を持つ。
赤い魔弾はバーサーカーの命を刈り取る為何度も体を突き抜ける。バーサーカーのステータスを持つエネミーとはいえ、耐えきれなくなったのかついに膝をついた。誰が見ても満身創痍であるが


投影開始(トレース・オン)

だめ押しと言わんばかりにアーチャーは新たな武器を投影する。アーチャーの左手に現れたのはバーサーカーと同じ斧剣。
持て余すような武器を投影するとはアーチャーらしくない。

「そんーーッ!」

そんなもの意味がないと言おうとしたが一瞬だけこちらに目を向けた。だが、それだけでアーチャーの意図は読み取れた気がする。

ーーー黙ってみていろーー

アーチャーは俺に何かを見せようとしている。それもかなり危険なことを…………アーチャーらしくもない。

「――――憑依経験、共感終了、投影装填(トリガー・オフ)

バーサーカーも何かを感じ取ったのか満身創痍の体とは思えない機敏な動きでアーチャーに向かって突っ込んできた。このままだと数秒後にはアーチャーはバーサーカーの巨体に吹き飛ばされる。

「来るがいい、バーサーカー。全工程投影完了(セット)

大声を上げながら斧剣を振り下ろす。気付いた時にはアーチャーは斧剣を振り切っていた。人間では踏み込むことさえできぬ音速をも超えた神速のレベルの剣技。
しかし、一瞬だけ斧剣の軌跡が確認することができた。振り下ろされた斧剣はバーサーカーの両足を切りつけ動きを止めたところで両目・胸部・水月・肩口・明星・首などの人体の急所とも呼べる部分を切りつけたのだ。

是、射殺す百頭(ナインライブズブレイドワークス)

斧剣から放たれたおよそ九連撃は神技だった。人の身では到底扱うことも出来ない程の剣を、人の身では不可能な技を、左手だけで振るうその姿は、恐ろしく、そして何より戦慄を覚える。そんな攻撃を受けたバーサーカーは膝をつき傷口から体が砕けていき消滅していった。

「……ッ、ォ……!」

口から血を吐き出すと、同時に腕と足は感覚が麻痺したのかアーチャーは地面に膝をつてしまう。そのうえ呼吸が荒く、投影の反動により神経がズタズタに引き裂かれ、骨も折れているようだ。

「【heal(16)】」

らしくないアーチャーの姿に見かねた俺は治療するため回復魔術を発動。アーチャーの体に緑色の光が降り注ぐ。すると、アーチャーの荒い呼吸が正しいリズムに戻り、少しだけ体調が戻ったのかアーチャーは立ち上がった。

「…………投影にはこのような使い方もある。理解したか?」

「理解したかじゃねえ!お前何やってんだよ!!」

アーチャーの胸倉を掴み睨みつける。投影とは諸刃の剣と言ったのはこの男だ。使いすぎれば自らの身をも滅ぼすもの。そのことをよく知っているのはアーチャー自身だ。

「貴様と違って私はサーヴァントだ。ここでは今のような治療する魔術を使い、少し休めば元に戻る」

確かに、俺とは違いこいつはサーヴァント。肉体そのものは仮初のものであり、サーヴァントは基本的に魔力が尽きない限り活動できると聞いた。実際、投影を俺より上手く使いこなしいるため投影にかかる負担も少ないはずだ。
寧ろ、アーチャーが投影したからこの程度で済んだかもしれない。俺が投影などしたら体ごと吹き飛んでいただろう。

「でも、アーチャーらしくないぞ。一体どうしたんだよ?」

「…………あれは本物のバーサーカーではなかった。しかし、先入観にとらわれず念には念を入れただけのこと。ただそれだけだ」

それだけ言うとアーチャーは一人先へと歩き始めた。これ以上の問答は無用と背中が語っているのわかる。

(これ以上のことを聞いても無駄か………)

主従関係になってわかったことだがこの時のアーチャーに何を聞いて話さないだろう。ため息をつき追求を諦めた俺はアーチャーの後ろに無言でついていく。
歩いて進んでいくと道幅は狭くなり一本道へと続いていた。そのまま進むとポツンとアイテムフォルダが一つだけあった。あのバーサーカーもどきが守っていたものだ。
開けてみると中には暗号鍵が入っていた。バーサーカーはこの暗号鍵を守る番人だったことになる。

(でも、なんでバーサーカーだったんだ?)

英霊は無数にいるそれこそ把握しきれないほど。その中でなぜヘラクレスが選ばれたんだ?偶然かそれとも……………

(幾ら何でも考えすぎか)

「……………どうした?」

「なんでもない」

アーチャーとともに出口へと向かう。リターンクリスタルもあるが、たいして疲れてもいないのに使うには少々勿体無い気がする。

「………………」

「………………」

道中鳥型のエネミーが出てくるがアーチャーが戦い、俺はサポートといった風に撃退していく。しかし、先ほどのことが尾を引くのか互いに無言の為、俺とアーチャーの足音以外音がしない。

(…………どうも釈然としないな)

前と同じようにアリーナを進みながらエネミーを倒していき暗号鍵を取ること。今回はバーサーカーもどきが出てきたがそれを倒して暗号鍵を手に入れた。しかし、それなのに釈然としない。アリーナ自体薄暗い雰囲気の為かそれとも……………。

(…………って考えすぎだよな)

そうこうしているうちに広場を超え出口への一本道に差し掛かった。此処までこればあと少しで学園に戻れる。肩の力を抜き歩き始めようと一歩前に足を出すと足元に違和感を覚えた。

「なんだ?」

足元に視線を移すと何かスイッチのようなものがおれの足を踏み込んだ位置に設置されいる。つまり、俺はスイッチを踏んでしまったようだ。

「離れろ!」

俺が踏んだとわかった瞬間、脊髄反射でアーチャーが声を上げる。アーチャーの声を聞いて反応すると同時に後ろに飛んだが、

パンッ!

という音だけ聞こえ目の前に閃光が走る。眩しすぎるため思わず目を閉じると突然の浮遊感が生まれ、地面の感覚がなくなり上下左右わからなくなった。

「ッ………ここは?」

目を開けると出口付近に居たはずなのに違う場所に立っている。周りの様子は相変わらず薄暗くアリーナのどこかに飛ばされたのだとと思う。近くにアーチャーの姿が見えない。

「アーチャー、返事をしろ!」

警戒レベルを最大まで上げて周りを見回しアーチャーを見つけようとする。すると

「こっちだ」

声が聞こえた方に振り向くと4メートルほど離れた場所にアーチャーが一人腕を組んで立っていた。よかった、二人ともただ別の場所に飛ばされただけだったみたいだ。安堵した俺はアーチャーの側へと歩きだして

「マスター動かない方がいいぞ」

「えっ?ぶっ!」

アーチャーが何か忠告をしたとところで顔面に痛みが走った。正確に言うなら顔面を思いっきりぶつけたようだ。予想外の出来事に思わず顔を抑えうずくまる。

「…………目には映らん壁があると言おうとしたが遅かったか?」

「遅すぎだろ!?もっと早く言え!」

「貴様の軽率な行動のせいだ。私に非があるとは思えんが………」

顔を抑えながら前を見るとアーチャーと俺との間に目を凝らさないと見えないが薄っすらと壁が存在していた。ぶつかった時の感触でかなりの硬度があるようだ。

「この壁壊せないのか?」

「壊せないこともないが…………これ程の強固な壁だ。労力と時間が必要になるだろう」

見えない壁をノックをするようにアーチャーが叩くと硬質のものをたたいたときの音が鳴った。壊すのはあまりいい手とは呼べないみたいだな。

「リターンクリスタルを使うってのはどうだ?」

あれなら強制的にアリーナの外へと転移される。さっきはもったいなくて使わなかったがこの状況ではそんなこと言ってられない。

「この壁に何か転移用の罠があったらどうする?早まった行動はするな」

「そんなの調べてみれば………」

「探知系統の魔術も使えぬマスターがか?」

「うっ………だったらお前が………」

「私が使えるのはあくまで基礎中の基礎だ。それにこの世界は法則が異なる。使ったところで意味がないだろ」

アーチャーの言う通りここリターンクリスタルを使うのはやめておこう。こんなことになるならリターンクリスタル使って帰ればよかったと思うが後の祭りだ。

「何処か合流できるところを探すしかないな」

「……………そうしたいのは山々だが生憎今は不可能だマスター」

アーチャーはため息をついた後、肩をすくめどこか自虐的な笑みを浮かべる。問いただそうとする前に笑みの理由が分かった。理由はアーチャーの後方に存在する。
気配も
足音も
吐息も
匂いも
全てを感じず、その場所に最初から存在していたと言わんばかりに【それは】佇んでいた。

「やれやれ、こんなところで顔を合わせることになるとは………」

アーチャーは後ろを振り向く。
後ろには頭のてっぺんからつま先まで不気味な黒い鎧に身を包み、二本の槍を携える騎士が佇んでいる。

「あいつ………!?」

前にアリーナ帰りの俺たちに襲いかかってきたサーヴァント。前回とは違い不可視ではなく姿を現し俺たちの前に現れた。だが、俺が驚いているのはこいつが現れたからじゃない。この場所(アリーナ)にいることに対してだ。アリーナは戦い合う両者のみが入れるものだと思っていた。

「どこもかしこも聖杯戦争のルールというものは破られるためにあるのか、マスター?」

「……………お前の気持ちはよくわかるよアーチャー。俺だってそう思いたいさ」

しかし、この黒騎士は平然とそのルールを破って俺たちの目の前に立っている。この世界はルールに守られているのにここにいるということは二つの可能性がある。
一つはこいつがキャスターのように何かルール破りを可能をする宝具か能力を持っているのか。

「まあ良い。それよりも、奴なら何か知っているかもしれん」

俺に背を向けアーチャーは剣を手にし黒騎士と対峙する。アーチャーも同じことを思っていたみたいだ。二つ目の可能性はこの黒騎士が黒幕或いは黒幕に関係しているためここに来ることが出来たということ。確信は一つとしてないが……………。

「………こいつなら俺がこの場所にいる理由を知っているかもしれない」

「…………期待を寄せるのは勝手だが、まだ、あくまで希望的観測ということを忘れるな。いまはおとなしくしていろ」

アーチャーは手にしている夫婦剣を黒騎士に投擲。黒騎士は縦回転をしながら真っ直ぐ飛んできた剣を手にしている槍で弾く。それが戦いの合図となった。
アーチャーは、黒騎士が二本の槍を構える前に懐に飛び込んだ。そのまま踏み込んだ足は止めることなく、空のままの両手を交差させ黒騎士に肉薄する。
両腕を翼のごとく展き、振り下ろす瞬間に時間差で干将・莫邪を投影。 突如襲い掛かる二振りの剣を、黒騎士は二本の槍で剣を防ぐ。 すると双剣と双槍がせめぎ合い、火花と魔力を散らす。
今のは互いに小手調べ。切り札である宝具はもちろん、武術の技も出し切ってはいない。

「………チッ」

らちがあかない互いに判断したのかほぼ同時にアーチャーと黒騎士が後ろに飛び退いた。距離が開くとアーチャーは手にしている干将・莫邪を消し、弓と数本の剣をを投影。
黒騎士は全身鎧に包まれているため、関節部を狙いアーチャーは剣を矢として放った。
一方、黒騎士の片方の槍が消え幅広の長槍のみで、迫り来る剣を叩き落としていく。
アーチャーはどこを狙ってくるか承知の上で、防がれるであろう攻撃と知ってさえ愚直に繰り出す。
叩き落された剣は地面に突き刺さっていく。その数は30本を超えた頃

「………そろそろか。マスター気をつけろ」

「えっ?」

I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)

アーチャーはこちらを見ずに一言だけ呟くと、次の瞬間、手にはあの捻じれた魔剣、いや矢が投影されていた。嫌な予感がする。こいつがこういうことを言うときは何かが準備できたのだろう。……………俺が全力で何かをやらなければ被害にあうようなことを。

偽・螺旋剣(カラドボルグ)

アーチャーの渾身の魔力、渾身の魔剣を使用した一撃は、魔弾と化して黒騎士を貫かんと大気を疾走する。
その螺旋剣を黒騎士は全身の力をもって軌道を逸らす。僅かに軌道はそれたがアーチャーはさらなる追い討ちをかける。

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

投影開始(トレース・オン)!」

アーチャーの言葉に反応して螺旋剣は眠る莫大な魔力が爆発した。かつてバーサーカーとの戦いにおいてAランクの宝具と同等の威力を持つと評価された一撃。更に誘爆が起こり周りに突き刺さっている剣も爆発し、前に見たときよりも爆発の規模がでかい。そのためアーチャーとおれとの間にあった透明な壁は壊れ、爆発の熱風と衝撃波がが此方まで襲ってきたが

「あ、危なかった…………」

爆発よりも先に身を隠せるだけの巨大な剣を投影し、その陰に隠れた。咄嗟のことだったので剣は脆くすぐに壊れてしまったが熱風と衝撃波を防ぐことに成功。あともう少し遅かったら直撃を受けていただろう。

「マスター、生きてるか?」

そんなおれのことなど尻目にアーチャーはあっけらかんな態度でおれのそばまでやってきた。

「生きてるかじゃねぇ、殺す気か!?」

「私はマスターを信用している。マスターならなんとかすると思考からの行動だ」

「嘘つけ!!」

「壁も壊れ、相手にも傷を負わせることができた。文句はあるまい」

アーチャーの言う通り、俺たちの間にあった透明な壁は壊れ合流することができたが…………………納得がいかない。
こんな行き当たりばったりの作戦ばかり立てるなんて……………やっぱりどこか妙な気がする。

「…………それよりもあの黒騎士はどうなったんだ?」

疑問はあるが今はあの黒騎士がどうなったのか知るのが先だ。硬質の壁が壊れるほどの爆発に至近距離から巻き込まれたんだから、倒せてはいなくても無傷ではない。
黒騎士が立っていた場所は今尚爆煙が上がって黒騎士の様子が伺えない。

「【view_status】」

おれはコードキャストを使い、黒騎士を確認してみるが何も見えない。どうやらこのコードキャストは対象の間に異物があると上手く発動しないようだ。一方アーチャーはおれを守るように前に立ち両手に干将・莫邪を手にする。そうこうしているうちに爆煙は徐々に晴れていき、爆発の中心部に

「……………この程度では倒せんか」

黒騎士は槍を構えたまま立ち尽くしていた。鎧には爆発によりできた傷を確認できるがそれだけだ。

「……………この程度か、弓兵?」

爆煙が完全に晴れると今まで黙っていた黒騎士が前と同じで作られたような声で訪ねてきた。

「ずいぶんと過大評価をしているようだが私は生憎、ただの弓兵だ。貴様が期待するような腕は持ってない」

「…………………そうか」

それだけ呟くと黒騎士は背を向けると、計ったかのように突如蹄の音が聞こえ、どこからともなく黒い馬が現れた。馬は黒騎士のそばまで寄ると立ち止まり、黒騎士はその馬に乗り込むとと再び俺たちに視線を合わせる。

「何かね?」

「貴様には興味がない。私が興味を持つのはやはりエミヤシロウだけだ」

「お、俺?」

突然の言葉に驚きを隠せない。こいつは俺を知っているのか?だけど、こんな黒騎士についての記憶などない。

「…………そのとおり、英霊(アーチャー)ではない貴様にな 」

黒騎士は前を向き、手綱を掴むと走り去って行く。咄嗟に止めようとしたが、アーチャーが手で待てと制してきた。そのため、黒騎士の後ろ姿をただ見送ることしかできず、姿が見えなくなると辺りが静粛に包まれる。

「深追いはするな。あの口ぶり…………どうやら私達の正体を知っているような口ぶりだったが」

「……………あいつは一体何者なんだ?」

二本の槍、黒い鎧、黒馬と真名をとく数々のヒントがあり、思い当たる英雄が何人かいるがいまいちピンとこない。なんだろう?かのなんとも言えないもどかしいこの感じは…………?

「…………考えても仕方がない。壁も壊れ帰りの心配もなくなった。一旦アリーナから出るとしよう」

「…………わかった。ちょっと待ってろ」

こんな場所で考えるよりもマイルームに戻って考えた方がいいな。何よりも今日はいろんなことが一気にあってもう疲れた。端末を操作してリターンクリスタルを使い、俺たちはアリーナを出た。


















サイド unknown

「…………エミヤシロウ。全く変わらない」

黒い騎士は高揚感に包まれ静かに笑う。自分が知っている頃と変わらない赤髪の少年の顔を思い出すたび言いようのない高揚感に包まれいる。

「…………だが、まずはあの邪魔者を消すべきだ」

黒い騎士は苛立ちと怒りを覚えた。少年の隣に佇んてねこちらを見ている赤い弓兵を思い出すたびふつふつと怒りが込みあがってくる。

「…………ええ、言われなくともそのくらいはわかっています」

黒い騎士は困惑と戸惑う。あの赤い弓兵を消し去りたいが、彼もまたあの少年であることには間違いはない。出来れば、殺したくはないがあの男の性格からこちらの言うことに耳を貸さないことは知っている。

「…………そろそろ我慢の限界だ。次で良いだろう。早く決めてしまえ」

黒い騎士はただ願う。今すぐにでもあの少年の元へと行き、この手で殺してしまいたい。そこには恨みも殺意もないが、この手であの少年の命を止める必要がある。

「…………わかっているはずだ。其方のミスで物語自体ねじ曲がってしまっていることを」

黒い騎士のいうとおり、些細なミスで物語はねじ曲がってしまった。しかし、些細なミスであることにかわりようはない。

「…………まあいいでしょ。やるべきとはやりますから心配する必要はない。其方もやりたいようにやればいい」

会話を終え、黒い騎士は姿を消す。
辺りには静粛に包まれ、そして誰もいなくなった。 
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