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オズのカエルマン

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第十一幕その五

「どうして蛇さんの身体の調子が悪いのか、蛇さんは淡水だけれど」
「鯨は普通は海にいますね」
 恵梨香がカエルマンにこのことを言いました。
「外の世界では」
「それはオズの国でもだよ」
「海、つまり海水に」
「淡水の生物が海水に入りますと」
「それだけでね」
「よくないんですね」
「そう、だからね」 
 だからだというのです。
「そのことがあって」
「だからですか」
「蛇さんも調子が悪くなったんだよ」
「淡水に海水のものが入ると」
「よくないから」
「そういうことですか」
「オズの国では本当に滅多にないことだよ」
 それこそというのです。
「いや、実際にね」
「それでも起こったので」
「蛇さんも調子が悪くなったんだよ」
「そういうことですか」
「だからね」
 カエルマンの目がここで光りました、そして言うことはといいますと。
「モビーディッグさんに海に戻ってもらえば」
「それで、ですね」
「うん、蛇さんも元気になるよ」
「そうなんですね」 
 神宝はカエルマンのその言葉に頷きました。
「それじゃあすぐに帰ってもらいましょう」
「モビーディッグさんにもその方がいいよ」
「海の生物は海で暮らすべきですね」
「身体の構造がそうなっているからね」
「だからですよね」
「うん、ここは戻ってもらおう」
 是非にというのです。
「そうしよう、じゃあここは」
「よし、今度も」
 ここでこの場では喋っていなかった青龍が皆に言いました。
「皆私の背に乗ってくれ」
「それで、ですね」
「モビーディッグのところに行こう」
 ケーキにも答えるのでした。
「そうしよう」
「わかりました、それじゃあ」
 ケーキが最初に頷いてでした。
 皆はすぐにまた青龍の背中に乗りました、そのうえで。
 青龍はお空を飛んで、でした。川の中を泳いでいるモビーディッグのところに来ました。そしてまずは青龍がモビーディッグに声をかけました。
「いいかい?」
「龍かな」
「そう、青龍というんだ」
「ふうん、そうなんだ」 
 モビーディッグは穏やかな男の人の声で青龍に応えるのでした。今も泳ぎながら。
「名前通り身体が青いしね」
「この通りね、それでだけれど」
「何かな」
「君はどうしてここにいるのかな」
 かなりダイレクトにです、モビーディッグに尋ねたのでした。
「この国に」
「うん、そのことはね」
「そのことは?」
「実は探しものをしているんだ」
「探しもの?」
「この川にあるらしいんだ」
 ハドソン川にというのです。
「真珠がね」
「真珠?」
「そう、オズの国の真珠の中でも特別な七色に輝く真珠がね」
「真珠っていったら」
 どうかとです、青龍はモビーディッグにこう答えました。
「オズの国の海なら何処でもあるじゃない」
「だから。七色に輝くね」
「特別な真珠なんだ」
「それがこの川にあるらしいんだ」
「その真珠が欲しいんだ」
「その真珠をお腹の中に入れてね」
 そして、というのです。 
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