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知っててやっている

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第三章

「うわ、何か」
「違うでしょ」
「今までは地味な感じだったけれど」
「かなり派手になったわね」
「もう別人みたいね」
「というか別人よ」
 それこそと言うのだった。
「これはね」
「そう、色気出してみたから」
「あんたのよさ出してみたわよ」
「それで後はね」
「しぐさよ」
「秀弥君の前でのそれよ」 
 動きのこともだ、ここで話された。
「それもね」
「見せるのよ」
「しぐさもなの」
 理央は友人達の言葉を受けてまずは考えた。
「それも」
「そう、さりげなくだけれど」
「秀弥君の見える場所にいたら」
「さりげなくよ」
「あくまでさりげなくだけれど」
 誰もが理央にこのことを強調した。
「髪の毛をかき分けたり」
「流し目作ってみせたり」
「大胆にいきたいなら胸元そっと見せたり」
「スカートもぎりぎりまでよ」
 皆かなり真剣に理央に話した。
「見せないけれど」
「もう見えそうになるまでよ」
「脚の付け根のところまで見せるの」
「胸だって谷間をよ」
「理央ちゃん胸もあるし脚も奇麗なのよ」
「さりげなく見せるの」
「体育の時は」 
 一人がこの授業の時のことを話した。
「うちの学校半ズボンでしょ」
「ええ」
 その通りだとだ、理央も頷いて答える。
「それがどうかしたの?」
「だから、そうした時にこそ脚を見せて」
 半ズボンだからこそだ、ここぞとばかりに脚を秀弥に見せろというのだ。
「あと極め付けのしぐさも見せるの」
「体育の時に」
「そう、ズボンの後ろのところに手をやって」
 その娘は理央にあえて背中を見せてだった、自分のお尻のところに両手をやり。
 半ズボンのお尻のところのめくれをなおすしぐさをしてみせてだ、それからまた理央に向かい合ってこう言ったのだった。
「こうするのよ」
「それが切り札なのね」
「そうよ、これをさりげなくね」
 あくまでそれを装って、というのだ。
「彼の前でやってみせるのよ」
「そうすればなのね」
「絶対に効くから」
 まさにだ、効果てきめんだというのだ。
「破壊力抜群だから」
「勿論他のしぐさもよ」
「やるのよ」
「もうさりげなくね」
「それでちらりとでもよ」
 友人達の言葉は続く、さらに。
「秀弥君を見るのよ」
「ちらりと」
「ちらりでいいの」
 見る基準はというのだ。
「いいわね、ちらりとよ」
「ちらりと見ればいいのね」
「そうよ、わかったわね」
「ええ、それじゃあ」
 理央は友人達の提案に頷いた、そしてだった。 
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