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魔法少女まどか☆マギカ こころのたまごと魂の宝石

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第16話


あたし達はマミさんの家で双樹あやせから沙々のソウルジェムを取り返す為の作戦会議をしていた。因みに、暁美さんだけは参加していない。

「彼女は私達が大勢で来たら撤退したわ。つまり、逆に考えれば単独行動をしていたらソウルジェムを奪う為に襲いかかって来ると言う事が考えられるわ。」

「つまり、誰かが囮になるって事ですか?」

情報を纏めたマミさんに対してまどかが質問する。

「そうね。その役は私がするわ。」

「でも、その作戦は危険過ぎるよ!」

「大丈夫よ。あなたは達には少し離れた所で待機して貰うわ。彼女が現れたらテレパシーで連絡するから、待っていて。」

反対するキリカにマミさんはそう言った。

「マミさん。それなら、囮はあたしに任せて下さい。」

「日奈森さんが?でも、あなたはソウルジェムは・・・」

「向こうはまだ、あたしやキリカが普通の魔法少女とは違うって気付いて無いよ。」

「確かにそうだけど、でもあなたが囮をやる意味は?」

「ミキが言ってた。無理にあやせを倒さなくても、沙々のソウルジェムを取り返す事が出来れば、こっちの勝ちだって。」




そして、沙々のソウルジェムが奪われた日の翌日。この日は日曜日だからあたしはキリカと2人で昼間に路地裏を歩いていた。流石に、1人で居ると罠だと怪しまれるだろうからと言うのと、キュウべえの話だとあやせは2人ぐらいなら襲って来るって言う事だから。それで、何でキリカなのかと言うと、この作戦はしゅごキャラが見える方が都合がいいから。それと、昨日キャラなりしたばかりのまどかに2人ぐらいなら相手出来るって言う手練れのあやせの相手をさせるのは危険だというのがある。そして・・・

「2人で居れば襲われ無いと思った?」

ついに、あやせが現れた。もちろん、既に変身している。

「ラン、作戦通りに行くよ。」

「オッケー!」

あたしが小声で告げると、ランが動き出す。

「行くよ、ミキ!」

「うん!」

「レン!」

「ああ!!」

それを確認すると、あたし達は自分のしゅごキャラに呼びかけ、キャラなりを開始した。

「私のこころ」

「あたしのこころ」

「「アンロック!!」」

たまごに戻ったミキとレンがあたし達の胸に吸い込まれて、光が弾けると姿が変わる。

「キャラなり!ブレイクファング!!」

「キャラなり!アミュレットスペード!!」

「あら?」

ここで、あやせがあたしの姿を見て首を傾げた。昨日、あたしが見せた姿はアミュレットハート。だから、これなら少しは意表を突けると思ったんだけど、思ったより驚いていない。

「あなたも、私と同じね。」

すると、あやせはそう言って一度変身を解くと、“もう一つのソウルジェム”を取り出した。すると、今度は赤いドレスの魔法少女姿へと変身する。

「これは!?」

「初めまして私は双樹ルカと申します。あやせと同じ身体に宿りし、もう一つのこころと言った所です。」

「もう一つの、こころ・・・?」

雰囲気まで変わったあやせの姿に、あたしはしゅごキャラ達の事が頭をよぎった。

「そうです。あなたも同じなのでしょう?」

あやせ…じゃなくてルカがそう言ってきたので、あたしは話を合わせる。

「ふっ、そうだね。僕はミキ。君と同じようにあむちゃんと身体を共有している存在さ。だが、僕達はあと2つソウルジェムを持っているよ。」

「ほう。それは素晴らしい。一度にそれだけ手に入れば、あやせも喜びますね。」

そう言ってルカは剣を構える。その時、あたしの中に居るミキが話しかけて来た。

『あむちゃん。今のって・・・』

「え?ミキのマネの積もりだけど。」

『僕ってあむちゃんから見てあんなのなの!?』

え?違った?でも、今はそれより、目の前の相手に集中しないと・・・




あたし達の戦いはまず、キリカの突撃から始まった。

「スラッシュファング!!」

キリカが鉤爪を振るうと、ルカは剣でそれを受け止めた。

「カーゾ・フレッド!!」

すると、キリカの鉤爪が剣に触れた所から凍り始める。

「プリズムミュージック!!」

あたしは音符をルカに向かって飛ばした。ルカは氷を解除すると、その場から離れて回避する。そして、すかさずあやせにチェンジした。

「アヴィーソ・デルスティオーネ!!」

あやせはルカとは対照的に火球を飛ばして来た。あたしはタクトを筆に変化させる。

「カラフルキャンバス!!」

そして、空中に虹色の絵の具を塗って火球を防いだ。

「うふふ。どんな願いで契約したのか、わかりやすいわね。」

そう言いながらあやせはあたしに斬りかかって来る。あたしはそれを筆で受け止めた。でも、あやせの力は強く、ジリジリと押され始める。

「へえ、そうかい。なら、僕の願いを当ててみたらどうだい?」

『いや、だから僕そんなナルシストっぽい感じじゃないから!!』

あたしのモノマネにミキが文句を言うけど無視する。そして、動きが止まっている今がチャンス!

「ラン!」

「それ!!」

姿が見えないのを利用して、ランがあやせからソウルジェムを入れたケースを奪い取った。今回、アミュレットハートじゃなかったのは、すばしっこいランにこの役目を任せる意味もあったの。

「私のジェムが!?」

「それ!!」

あやせがケースを取り返そうと手を伸ばすけど、その隙にキリカが横から斬りかかる。あやせは咄嗟に後ろに下がって避けた。

「ナイスキリカ!スゥ、行くよ!!」

「はいですぅ!!」

「キャラなり!アミュレットクローバー!!」

「それが3つ目のソウルジェムの力ね!」

あやせは再びあたしに突撃して来る。

「スィートアップリケ!!」

それに対し、あたしは技を発動させて、あやせの剣を綺麗な色のリボンや布で飾り付けした。

「何これ!?」

「からの、ハニーバブルス!!」

さらに、手に持った泡立て器の形をクローバーに変化させて、そこから無数のシャボン玉を飛ばした。シャボン玉に当たったあやせは動きを封じられる。

「くっ、こんなもの!」

あやせはシャボン玉をあっさり割った。でも、慌てる必要は無い。ランが逃げる時間さえ稼げれば・・・

「私をコケにして・・・これは、本気で相手しないといけないわね!!」

すると、あやせはルカの方のソウルジェムも取り出した。そして、ルカの衣装は右側が赤、左側が白へと変化する。

「って!それどこの2人で1人の仮面ライダー!?」

「そう!私達は2人で1人の魔法少女!!」

あたしのツッコミにそう答えると、あやせは右側から冷気、左側から炎を出して混ぜ合わせる。

「ピッチ・ジェネラーティー!!」

そして、冷気と熱気の混ざったそれをあたし達に向かって撃ち出して来た。あたし達は二手に分かれて避けるけど、着弾点で大爆発が起きて吹き飛ばされる。

「な、何。今の・・・」

「何だと思う?」

そう言うとあやせはジリジリとあたしに近付いて来た。

「さて、どんな手品を使ったのかは知りませんが、あやせのコレクションを返して貰いますよ、」

口調からして、今度はルカが言った。そして、落ちているケースに手を伸ばす。でも、まだそれにはランがしがみついていた。

「ラン!!」

あたしが叫ぶと、ランはケースを持って飛ぶ。

「またしても!!」

ルカはケースを追いかける。でも、その時・・・

「そこまでよ。」

念話で呼んでおいたマミさん達が到着した。

「多勢に無勢…それに、これ以上派手に暴れれば人に気付かれるわね。」

ルカとあやせはそう言うと、この場から逃げ出した。

「待て!!」

それを見たさやかが追いかけようとする。でも、マミさんが止めた。

「美樹さんは2人の治療をして、後から追って来て。彼女は私と鹿目さんで追うわ。」

そして、まどかを連れてあやせとルカを追って行った。


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双樹あやせと双樹ルカは逃げながら後方を確認していた。彼女達は必殺技の“ピッチ・ジェネラーティー”を連発しても一般人に気付かれにくい場所をあらかじめ見繕っていたので、そこに誘い込む積もりでいた。そして、増援として来た魔法少女のうち2人が追って来る。あやせとルカは2人で1人。ゆえに2人くらいなら相手をする事が可能だ。そして、彼女はついに町外れの廃工場で足を止めた。

「観念したかしら?」

マミが銃を構えながらそう問いかける。

「まさか?」

それに対するあやせとルカの答えは。

「ピッチ・ジェネラーティー!!」

自身の必殺の魔法だった。


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私達の目の前に熱気と冷気の混ざった閃光が迫って来る。

「散会よ!鹿目さん!!」

「はい!!」

私とマミさんは散会して避けた。でも、爆発の威力は強くて、横から爆風が襲って来る。

「キャア!!」

そして、吹き飛ばされた私はキャラなりが解けてしまった。まだ、キャラなり出来るようになってから2日目。まだ、力を使いこなせない・・・

「うふふ。まず、あなたのソウルジェムを貰うわ。」

双樹あやせが私に近付いて来た。どうしよう、動け無い・・・

「まどか!!」

すると、エイミーがたまごに戻ってあやせに体当たりした。エイミーは彼女の頬にめり込む。

「うぐっ!?何なのこれは!?」

あやせはエイミーを掴んで頬から離した。エイミーはかなりの勢いで体当たりしたみたいで、頬には青い痣が出来ている。

「たまごのおもちゃ?こんな物が何で?」

「か、返して!!」

私は痛む身体に鞭打って立ち上がった。

「まさか、これがあなたのソウルジェムだとでも言うの?なら、期待外れもいい所ね。こんな何の輝きも無いおもちゃだなんて。」

その言葉に、私の中で怒りが湧いて来た。

「それは、おもちゃじゃないよ・・・」

「は?」

「それは…エイミーは私のなりたい自分なの!それに、輝きが無いなんて事は無い!こころのたまごには、輝きが詰まってるんだもの!!」

「さっきから何を訳の分からないことを言ってるのかしら?そう言うの、スキく無い!」

そう言ってあやせはエイミーを握る手に力を込める。

「こんなガラクタ、要らないわ。」

「やめてえええええええええええええええええ!!!」

私が叫んだ時だった。

「それをされては困るわ。」

突然、ほむらちゃんが現れて、エイミーを握るあやせの腕にナイフを突き刺したのは。

「ぐあああああああああ!?わ、私の腕があああああああ!!」

いきなり腕を刺されて苦しむあやせ。ほむらちゃんはそこへさらに膝蹴りを叩き込む。そして、エイミーをあやせの手から奪うと、時間停止を使って一瞬で私の間の前まで移動した。

「まどか。大丈夫かしら?」

「うん。でも、ちょっとやり過ぎじゃ・・・」

「やらなければまどかのたまごは握り潰されていたわ。」

そう言ってほむらちゃんはエイミーの入ったたまごを私に差し出す。そして、中からエイミーが出て来た。

「ただいま、まどか。」

「エイミー。無茶しないでよ・・・」

「ごめんなさい。でも、まどかを助けるにはあれしか無かったわ。でも、今はそれより。」

エイミーはあやせの方を見た。私も視線をそっちに向けると、あやせは刺された腕を押さえながら、ほむらちゃんを睨んでいた。

「今更現れて、ヒーローの積もり?そう言うのスキく無い。」

「言ってなさい。さて、これからどうするのかしら?」

ほむらちゃんがそう言うと同時に、さやかちゃんと回復したあむちゃん達が合流してきた。

「お待たせ!って、転校生1号!?何でここに!?」

「別に、ただ通りかかっただけよ。それより、双樹あやせ。手負いの状態でこの数を相手出来るかしら?」

「くっ・・・覚えておきなさい!!」

すると、あやせは氷塊を作って上に打ち上げた後、それに火球をぶつけた。それによって氷塊は蒸発して霧になり、私達の視界を遮る。霧が晴れた頃には、あやせの姿は消えていた。


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「あの黒い魔法少女・・・次に会ったらタダじゃおかないわ。」

あやせはほむら達から逃げた後、鉄道橋の橋桁の陰に隠れながら治癒魔法で傷を治していた。しかし、さやかのように治癒に特化してる訳ではないので、治りは遅い。

「なら、いいものがあるわよ。」

すると、1人の少女が声を掛けて来た。

「誰?」

「そうね。“ヒュアデス”とでも名乗っておくわ。それで、あなたにはこれをあげる。」

少女は服のポケットからグリーフシードとよく似た物体を取り出した。

「これを使えば、あなたが復讐したい相手をギャフンと言わせられるわよ。」

「それはいいわね。」

「でも、タダでは無いのでしょう?」

あやせとルカが交互に聞いた。

「ええ。あなたには少し私の手伝いをしてもらうわ。」

そう、対価を求める少女の容姿は、聖夜市に居るハズのプレアデス聖団のメンバーの1人、ニコと瓜二つだった。


続く





 
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