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ドリトル先生と森の狼達

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第九幕その五

「それで今もそこで暮らしているの」
「それは何よりだね」
「ええ、ここはいい場所よ」
「食べものもあるんだね」
「たっぷりとね、ただね」
「ただ?」
「ここの蜂は少し手強いのよ」 
 蜂についてはです、お母さん熊は笑ってお話しました。
「どうもね」
「スズメバチがだね」
「そう、強いのよ」
「大変なんだね」
「どうもね、けれどこの子達に蜂蜜は食べさせてあげられているわ」
「それは何よりだね」
「蜂の子も食べさせられているわ」
 蜂蜜だけでなくというのです。
「そちらもね」
「それは何よりだね」
「人も本当に滅多に来ないしね」
「それも何よりだよね」
「私達にとってはね、狼さん達とも仲良くやってるし」
 先生がお会いした彼等ともというのです。
「悪いことはないわ」
「それは何よりだよ」
「お陰で太りそうよ」
 お母さん熊は笑ってこうも言いました。
「子供達もね」
「そんなにいい場所なんだね、ここは」
「何か森の入口の方は昔は荒れてたみたいだけれど」
「そのことも聞いているんだ」
「少しね、けれど位まは違うって」
「随分よくなったよ、そのことは皆から聞いてるよ」
「そうなのね、やっぱり」
「森は悪くなることもあればよくなることもあるよ」
 その両方があるというのです。
「この森もそうだよ」
「じゃあ私達が住んでいるこの場所も」
「悪くなったりするんだよ」
「それは困るわね」
「僕達も気をつけてるけれどね」
「お願いね、先生は私達の友達と聞いてるわ」
「僕もそうありたいと思っているよ」
 先生も答えました。
「是非ね」
「じゃあね」
「うん、微力ながらね」
 この他にも色々とお話してでした。
 先生は熊さん達のこともお話から調べてです、そして。
 熊さん一家と別れました、その時にふと先生は思いました。
「野生の熊なら」
「野生の?」
「野生の熊なら?」
「何かあるの?」
「野生で」
「いや、野生の熊がいる場所なら」
 そこならというのです。
「ここに来る人も減るかな」
「ああ、熊を怖がって」
「それでだね」
「ここに来て荒らしたりするマスコミの人も減る」
「狼さんを調べるとか言って」
「そうなるかな」
 こう言うのでした、動物の皆に。
「これも知恵の使い方だね」
「人が怖がる話をして近付けさせない」
「幽霊話を出してその場所に人を寄せないとかあるしね」
「それを野生動物でもする」
「そうするんだね」
「野生の虎やライオンがいる場所に迂闊に進む人はいないよ」
 それこそ滅多にというのです。
「だからね」
「それじゃあ」
「野生の熊さんの話は公にするんだね」
「だから迂闊には入ったら危ない」
「そうした話も広めて」
「それがいいかもね」 
 こう言うのでした、ですが。 
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