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オズのカエルマン

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第九幕その一

                  第九幕  困っている熊
 一行は迷路の森を進んでいきます、その中で神宝は首を傾げながらカエルマンに対して尋ねたのでした。
「熊が不機嫌な理由は」
「狼君達が話していたことだね」
「はい、何もなくて不機嫌ということはないですよね」
「それはないね」
 カエルマンもこう答えます。
「何もなくてということは」
「そうですよね」
「誰でも不機嫌になるにはね」
「理由がありますね」
「そう、だからね」
「熊にしても」
 不機嫌な理由が必ずあるというのです。
「何かね」
「そうですよね、だから不機嫌なんですね」
「そうだよね、絶対に」
「熊が不機嫌な理由となると」
 それは何かとです、神宝は考えだしました。そして恵梨香に対して眉を顰めさせて尋ねました。
「日本で昔熊の騒動がなかった?」
「ええと、北海道の」 
 恵梨香は首を傾げさせつつ神宝に答えました。
「四年生の時先生がお話してくれたけれど」
「とんでもない事件だったよね」
「冬眠し損ねた熊が村を襲って」
「それで大変なことになったっていう」
「そうしたことがあったらしいわね」
「それかな」
「熊の中でもグリズリーじゃ」
 ジョージも言います。
「もうとんでもなく怖いから」
「大きくて強いね」
 カエルマンがジョージに答えます。
「グリズリーは」
「はい、熊の中でも一番」
「灰色熊ね、あの熊は本当に怖いわよ」 
 ナターシャも言うのでした。
「身体がとんでもなく大きいから」
「若しグリズリーだったら」
 ケーキはその手のクッキーをじっと見詰めました。眠り薬がたっぷりとかけられているそのお菓子をです。
「これを使わないとね」
「ケーキのクッキーだとね」
 カエルマンがケーキにすぐに答えます。
「誰でも飛びつくから」
「熊でもクズリでもね」
 魔法使いも言います、勿論魔法使いはその手に眠り薬が入っている霧吹きを持っています。何時でも使えられる様に。
「そして食べたらね」
「それで、だからね」
 カエルマンもまた言います。
「いいんだよ」
「それじゃあ」
「そう、安心してね」
 それこそというのです。
「進もう、警戒するのはいいけれど怯えることが一番よくない」
「そうだよ、それが一番よくないんだ」
 カエルマンだけでなく魔法使いも怯えることは注意します。
「怯えたら動けなくなるから」
「動けなくなってはどうしようもないよ」
「だからね」
「そのことは気をつけて」
「ですよね、動けなくなったら」
 カルロスも二人のその言葉に頷きます。
「クッキーも投げられないですし」
「他の動きをしようにもね」
「出来ないから」
「そう、気をつけてね」
 カエルマンはこうカルロスに答えました。
「くれぐれも」
「その通りだよ」 
 こうしたことをお話してでした、そのうえで。
 一行は先に進んでいきます、その途中でなのでした。 
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