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どうやら俺は主人公を殺したらしい

作者:パワタス
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原作介入前
  二話、色々あってエクソシストになってました。

 
前書き
一誠くん殺すまで二ヶ月弱遡りました。……すみません、不謹慎でした。 

 
 最初に言っておくが、俺はNPCだったらしい。
 NPCとは、「ノンプレイヤーキャクター」の略であるが、そこは置いといて。
 まあ、NPCは簡単に表すと、ゲームの中の主人公の「引き立て役」に過ぎないものだと思ってほしい。または、アニメで言えば、とある背景にいるだけの飾り物とも言える。
 他には……いや、もういいや、なんかこれ以上はもう胸が痛いです。

 と、まあ、こんな雑な説明をしたのだけれど。俺にとっては、自分がNPCだったということは、「らしい」であって、俺はそれに対して明確なものは得ていない。
 なぜなら記憶がないから。
 自分の本来の名前のことも。家族のことも。友人のことも。そして、性別も、自身の容姿さえも覚えていない。
 例えるとしたら、俺はフォーマットされた空っぽなデータだった。
 どうやら、神様は、俺を転生させたのと同時に、余分な記憶を消去したらしい。
 あ、因みにその神様は、ハイスクールD×Dの世界の神とは別物。
 いや、もともと、ハイスクールD×Dの世界の神話体系自体が、まがい物だとか言っていた気がする。或いは弱体化などとも。そもそも、その神様とは別の神が創造したもので、その神本人さえも曖昧な存在だという。
 ……っと、話が逸れたけど、俺は記憶がない。それに、俺を転生させた神様さえも教えてはくれない。教えてほしいけど、頑なに断られる。

 なぜに俺の記憶を教えてくれない、返してくれないのは、ある事情があってこそのものなのだろう。
 もしかしたら、俺の記憶の中に神さえも恐れられるものが内包されたりして……なんて思ってみたりするが、今となっては関係ないことだ。
 ああ、一つ忘れていたが、俺はある知識を与えられた。
 それはとあるラノベ小説の知識だ。その小説の名前は、「ハイスクールD×D」といって、まあ、安直言えば、ハーレムものであった。
 ……うん、それだけ。てかそれしか知らん。だって、俺は三巻辺りから、読むのが耐えきれなくて殴り捨てたから。
 その理由としてはまず、主人公補正があからさまというか、気に入らん。そして気持ち悪かった。だっておかしいよ。なんで、主人公の相手のほとんどは噛ませなの? 神といってもあれはただ神の名を被った噛ませだよ!、しかもいつの間にか惚れているヒロインもいるし。あと、やっぱ、なんでもエロで解決は虫酸が走りました、はい。まあ、流石に殺すほど嫌いというわけではない。むしろどうでもいい。どうぞ、主人公補正を十二分発揮してはイカサマハーレム作ってくださいというまでである。

 だが、そんな気持ちは俺が転生した理由とは何ら関係ない。ただ、俺は神様の悪戯に付き合わされただけであって、俺の意思は尊重されない。
 でも俺は、正直な話嬉しかった。だって命を与えられたから。NPCのような決められた行動だけでしか動けない人形ではなく、今の俺は俺だから。
 例え、NPCとしての記憶はなくとも、おそらく、NPC魂が刻みついているからなのだろう。その時はやはり嬉しかったのだ。

 そして更に嬉しいことに転生する際に特典もGETしました。やったね!

「おい、デクタ」
「……やあ」

 俺の自分の脳内での回想は、とある人物からの声掛けにより、中断される。てか、俺何気にキモっ! 何一人で語ってんの……キムいよ……。

「おい、無視するな」
「あ、ああ、ごめんごめんゼノヴィアさん」

 俺が素直に謝ると、幼馴染の彼女は、フンと不機嫌に俺から顔を背け、そのまま朝食を摂る、あ、因みに今のはツンデレのフン、ではなくて、ただのフンです。
 俺は止まっていた手でスプーンを動かし、朝の食卓を口へと運ぶ。まあ、朝の食卓といっても朝なのかはわからない。周りを見れば、まだ暗く、夜といっても、疑わないくらい真っ暗だ。だが、教会にある古ぼけた時計は午前5時ごろを指していた。おそらく三十分ほど経てば、日の出が訪れる。
 俺は時計から再び、自分の食卓へ目を移したが、スプーンは金属製の食器に何の抵抗もなく、カチャっとした音だけを残し、俺はすべて食べ終わったことを今更ながら気づく。
 俺は何時ものように食器を片付けようと、木製の椅子から腰を上げると彼女は何気なく言った。

「……フッ、もう2年も経つんだな」

 ゼノヴィアさんは昔を懐かしむように、ボソッと独り言。
 俺は聞くべきか、そのまま立ち去るか一瞬立止まったが、直ぐに聞くべきだと再び椅子に腰を下ろす。
 
「……あの時、お前と別れてから私がエクソシストの見習いとして、3年。そして、お前と再会してから、私達が本格的エクソシストになってからはもう2年経っているが……」
「あ、うん、そだね」

 俺は片言の相槌だけを打ち、自分もその流れに沿って記憶を掘り起こす。
 俺は転生した。記憶もないまま、いや、データのないキャラクターとしてここに転生した。名前はデクタ・テイン。性別は男で、容姿は多分いいのかもしれない。
 ただこの世界の主要人物からしたら地味……かな?いや、気にしたらナルシストになりそうだからもう触れねぇよ。ツケメーンになるから………うん。
 まあ、そこまで良いんだよ、ゼノヴィアさんに会うまではね。
 てかなんで、兵藤くんのハーレムメンバーとなる一員が、俺の幼馴染なの……。おい、まさか俺は引き立て役になるか……兵藤くんのハーレムへと導く。
 いや、考えたら負けな気がするし、どうせ、原作知識は消えるのだ。まあ、消えるといっても断片的である。どうやら転生による仕様らしい。
 てかその知識もおぼろげで、もう今になっては自分の妄想だったんではないかと思っている、少しだけ。

「おい、お前は私を無視するのが趣味なのか?」
「はいはい、さーせんさーせんっ」
「フン、全く、昔から変わらないなお前は」

 え……、なんかラブコメの波動を感じるよ、これは期待しても良いのかな。

「やっぱり、お前は私の幼馴染だよ」
「デスヨネー」

 うん、とても爽やかな笑顔ありがとう!
 俺は少しだけガックリとうな垂れたが、別段気にしてはいない。それに恋愛なんて興味ないし……興味ないし…………ぐすん。
 俺は目にゴミが入ったのか、目に一筋涙が滴るのを感じた。
 それを周りにいる奴らに見せまいと、自分が使った食器をそそくさと片付け、皆共同の大所へいざなう。
 その過程でゼノヴィアさんに何か言われた気がするが、もう良いです。勘弁してください。
 俺もこの後用事があるので、とだけ言い残し、すでに、食器を片付け終えた俺は、タッと教会内にある自室へ急いだ。



 俺は自分の部屋へと続く、廊下をゆっくりと突き進む。
 先ほど、ゼノヴィアさんには用事があるとは言っていてはいたが、それは本当のことであり、俺にとっても大事な仕事がある。
 そう、明日から原作介入だ。……明日から原作介入だ。
 おそらく今原作の進み具合は二巻である木場祐斗が、聖剣に対して何らかの恨みとかどうたら、こうたら……になる前の状況のはず。
 それと並行して俺は、堕天使幹部コカビエルを黒幕とした、俺たち天使側からの聖剣剥奪を機に、日本に行くことになった。
 そして原作通りになるとすれば、俺がそのコカビエルらのいる拠点の視察をした後に、ゼノヴィアさん、イリナさんが来るはずである。だが、俺が存在する時点で原作崩壊といっても過言ではない。てか俺が選んだ転生する際に得た特典のせいで、ある人物はあるものを失っているのだ。
 っとその前に、俺が貰った転生特典というものを確認しよう。

 まず一つは、「天閃の聖剣」である。
 はい、ちょい待て、ここで一つの矛盾が起こるのだ。それは本来の原作では、コカビエルの下っ端となるフリード・セルゼンが、教会から「天閃の聖剣」「夢幻の聖剣」「透明の聖剣」を奪ったことにより、ゼノヴィア達が日本に来る要因となる。
 だが、その聖剣の内にある「天閃の聖剣」は俺を転生させた神により、おそらく事象ごと改変されたのだろう。そのフリードから奪われた聖剣は「天閃の聖剣」ではなく、あの紫藤イリナがもつはずだった「擬態の聖剣」が奪われたことになっている。
 つまり入れ替わったのだ。入れ替わったといっても、まんまではある……が、となると、紫藤イリナがもつべき聖剣は、俺が用いる聖剣である。
 ええ、つまるところ、俺が 彼女の聖剣を奪いました、はい。だが、まあ、彼女は原作同様、ゼノヴィアと一緒、サポート役として来日するのだろう。ただし、原作同様捨て駒としてだと思う。もちろん俺もだ。

 でも俺は簡単に死ぬ気はない。だから俺は更に二つ目の転生特典を用意した。
 それは、「天閃の聖剣」を5000%使えこなせる体質である。てか転生特典はそれまでしかできなかった。
 まず、二つ目の転生特典については割愛するが、俺の神から与えせしめられる特典には、どうやらもともと人間ですらない俺にとっては、限界を超えていたらしく、対価として、既に記憶を売っていたらしい。いや、NPC時代のデータなのだろう。
 まあ、それが理由で、一つ目の特典もぴんと来ないものであっのだが。要するに、ギリギリな訳です。
 フン、別にいいもんね! 俺だってとある爺さんから仙術を小さい頃に教えてもらったんだからね!!

 俺はまたもや、誰にもうちあけられない回想に浸り終わったところで、ようやく自室のドア付近に行き着いた。
 というより、自室ではなく、寮なのだが。もともと、ここは教会であり、俺たちはエクソシストもとい神父なのだ。
 だから、そこまで贅沢な生活はできない。幾らか仕入れている筈の本教会の資金も何処かへ流される。イッタイドコニナガレテルンダロウ。
 として、俺は当然ながら共同生活している野郎と居るわけで。
 はぁ、と嘆息を吐き、ポケットから鍵を弄る。
 取り出したその鍵は、肌と密接していたポケットに入っていた所為なのか、独特の生ぬるい温かみがあった。
 そんな些細なことなど気にせず、古式な鍵をガチャリと鍵口へ差し込み、そして開けた。
 だが、ここで俺にとって、ある意味、今日一番の不運がおこった。まだ朝なんだけどね。

「ーーっ!?」

 俺は思わず、目を見開く。そして口は半開き。
 それは当然。俺の視線の先いたのは、一番気まずい相手がそこにいるのであって。すると当然ながら俺は土下座をするのであって。

「あの………もう勘弁してください……ッ!」

 俺はそう言った。だが、いきなりそうされた栗毛のツインテールの少女は戸惑うしかなく。

「え、ええ!?」
「聖剣の件はもう諦めてください、つきまとうのは勘弁してください」
「ちょっ、待ってくださいよ!?」
「それじゃあ、さようなら、またいつか」

 俺は栗毛ツインテールを押し退けようと、ガシっと彼女の腰を掴み、男子寮の外へレッツラゴー。

「ちょ、何処触ってるんですか!?」

 え……腰ですが何か?

「え……腰の辺り。……もしかして自意識過剰?」
「どういうことよ!」

 うわ、暴れないで、あれが揺れているから……。主にあれが……。
 おっと、だめだめ。

「アーメン!」
「へ!?」

 俺は栗毛ツインテールを驚かすほどの声量でそう叫び、邪になりかけた心を即座に切る。
 一応、神父が本職ですから。アーメンアーメン。

「って、ちがう! 勝負しなさいしてください! 勝負!!」
「いや、なんなの君」
「なんなの君……じゃっないの!」
「ちょっ、暴れんな……うっ」

 俺が栗毛ツインテールこと紫藤イリナを、未だに、たかいたかーい! をしているのにも関わらず、足をジタバタと動かし、必死に抜け出そうとする。
 そこまで筋力がない俺は当然、あっけなく、それを許してしまうわけで。
 俺の手から抜け出したイリナさんは、一体何度見たことだろうか謎の決めポーズを決め、そして、彼女のほしいものが入っているだろう剣帯を指差し、いつもの様に言い放つ。

「私と勝負しなさい! その聖剣を賭けて!」

 何度も繰り返した、その似たようなやり取りを、俺はただただ眺めるだけであった。

 
 

 
後書き
デクタ・テイン(16歳)です。
ゼノヴィア達より年下です。
名前はテキトー、特典もテキトーです。俺最強は無理だと思います。もうそろそろですが、原作崩壊はすると思います。後はオリ主のヒロイン………いないかも。
あと、この中に書き入れていませんでしたが、原作介入も転生特典の代価の一つです。またどっかに書き入れます。 
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